「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門 (ちくまプリマー新書 169)

著者 :
  • 筑摩書房
3.53
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本棚登録 : 907
感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688712

作品紹介・あらすじ

社会とは、私たちの「こころ」が作り出す「しがらみ」だ。いじめを止めたいのに傍観してしまう子どものように、望んでもいない行動をとるよう、私たちに仕向ける。そんな社会の構造を解き明かし、自由に生きる道を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 若いときに読むと人生が変わる本かも。平易な文書が大人には回り口説く感じられるので星一つ減点。しかし社会とは?社会で生きる意味は?社会を眺めるときに社会学が果たす重要な役割など大切なことが一杯詰まっています。大人はあとがきと第5章から読むといいかも。山岸俊男先生が監修した「徹底図鑑 社会心理学」新星出版社を並行して読むとより具体的に理解できるのでオススメ。

  • 内容はタイトルほど科学的ではなく、思春期の子たちに話し掛けるような文体で、社会はしがらみで構成される事を説いていく本でした。
    では「しがらみ」とは?人に配慮することがしがらみを生み出すのなら、好き勝手に生きた方がいいのか?という事を、しっかりと論理的に説明してくれる本なので、大人でも一読する価値はあるかも。
    イジメを生み出す、逆になくすことができる可能性の単純さの説明や、人の話を鵜呑みにせず、自分で調べて考えて行動する事の重要性を説いてるので、もっと世に広まって欲しい本でした。

  • 「社会」というのは、そこで生きている人にとって、あるしかたで行動せざるをえないようにしているものなんだよ。そうしないと大変な目にあってしまう。例えば、労働者の敵になるのは嫌だと思ってストライキ破りの職につかないでいると、ほかに仕事がないから飢え死にしてしまう。あるいは、泥棒や強盗になって生きていかないといけない。(中略)私たちが社会を作って生きているってことは、その中ではあるしかたで行動せざるを得ない状態ができあがっているってことなんだよ。(p.77)

    「分かる」ということには、説明できるという意味と、理解できるという意味の、二つの意味が含まれているんだよ。そして、「なぜ」「どうして」という問いをぼく達が問うときには、どちらの意味で「分かりたい」のかが、暗黙のうちに前提とされているんですね。(pp.140-141)

     そもそも、実態を観察するといっても、「理論」がなければ何を観察したらいいのかを決めることさえできないんですね。逆に言えば、何を観察すべきなのかを教えてくれるのが理論なんです。現実をぼーっと眺めていただけでは見えてこないものがある。そうした場合には、私たちは理論をサーチライトとして使うことで、無数にある「現実」の中から観察すべきものを明るみに引き出すんですね。(p.149)

    「社会」には、人々の間で起こっているさまざまなできごとという意味での「世の中」だけじゃなくて、契約とか法律に基づいて作られているいろんな組織や制度も含まれているんだけど、「世間」という言葉にはそうした意味での「社会」的な組織や制度が含まれていないからなんだ。(p.165)

  • 誰もが望んでいない社会のしがらみ。
    それは私達が人の目を気にして、自分自身を縛る行動から発生していたのは驚き。
    物事を考える時は、部分ではなく全体を見るのが重要。
    何かの現象の原因を心に求めがちであるが、そうではない場合も多い。
    社会の中で、なぜ自分が望んでいない行動を取ることになってしまうのか理解できた。

  • 確かに…みんなそうは思ってないのに、誰も何も言わないからそうなってしまうことってあるある。
    周りを気にしながら、人の気持ちを探りながら生きていくなんて本当は嫌なんだけど、今の日本の社会ではそうしないと生きていけない。窮屈ですなあ。

  • 2011年12月27日
    KYと言われる「空気読めない」と言われている人たちは、人の心に共感するのが苦手。
    でも、人には誰でも、得意・不得意があるんだから、人の心に共感するのが苦手だからと言って、劣った人間と言うわけではない。

    ―直感的に人の気持ちや空気を読むのが苦手なら、筋道立てて社会を理解すればいいということです。―

    というわけで、社会(世間)のことを筋道立てて、説明してくれています。
    サブタイトルが「高校生からの社会心理学入門」というだけあって、とてもわかりやすい。

  • 記録。

    社会のしがらみ。やっぱり「自分がどうしたいか」を突き詰めながら生きていこうと思った。

  • しがらみばかりの社会から逸脱するにはひきこもるしかない。ひきこもる人たちに必要なのは、実は契約関係で割り切った社会参加、というケースがある。そのことを暗に示している。現代でいえば生活保護へのバッシングはそれに当たると思われる。また、メディアでいえば少年犯罪に対して「心の闇」をベースに事件を描く記事が非常に多いことは別の本でも指摘されており、それが本当に現代特有のものなのか、そろそろ問い直すことが求められる。

  • 読みだしてすぐ気付いたけど高校生向けか。丁寧に書かれてる。アスペのための社会学。

  • 私の行動を縛っているのは、他の多くの人たちはこのように思考・行動するだろうという私の人間観だとのこと。ならば、より自分が好ましいと思うタイプの人達と接する時間を長くすれば、平均的人間観が自分の好ましい方向に矯正され、より自由になれるんじゃないだろうか。

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著者プロフィール

COEリーダー・北海道大学大学院文学研究科教授

「2007年 『集団生活の論理と実践』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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