女子のキャリア: 〈男社会〉のしくみ、教えます (ちくまプリマー新書 188)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688903

作品紹介・あらすじ

ハピキャリでいくかバリキャリでいくか、「雇用のカリスマ」が徹底検証。

感想・レビュー・書評

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  • 勝間和代や上野千鶴子、三砂ちづる。
    宮台真司、三浦展。
    働き方や女性の生き方、社会の構造分析、そういう本はあったけど、
    こういう本はなかったと思う。
    40代あたりまでの女性を対象に、女性のキャリアについて非常に具体的な話をする本でした。

    中学生が読んでもいいと思います。
    現実を知るのは早いほうがいいから。
    まだまだ全然、女子がキャリアを積むのは厳しいから。
    でも、知っていれば、何を意識して社会に出ていけばいいかわかる。

    ああ、女子としては、あと20年遅く生まれたかったな。
    せめて10年遅く生まれたかった。
    ただ、30年前よりは今のほうがいい。
    生まれる時代を選ぶことはできないし、社会が一気に変化することもないから、
    今の状況の中で、現実を見て、潰されないように、実力をつけていけるように、立ち回ってがんばっていくしかないですね。
    もちろん、今までそうしてきたけど、まだまだ続くのかと思うと、しんどいなあ。女子をやるのも。別に、好きで女に生まれたわけじゃないもん。
    ということで、がんばるけれど、
    しんどさを理解してくれて、一緒に歩いてくれるパートナーは必須だと思います。
    たぶん、これは、男子も必須じゃないかな。
    男子の場合は、30年早く生まれたかった・・・だと思うけどね。

    本の内容はとても現実的、具体的で、
    私が今までなんとなく思っていた「仕事ができる」イメージを、
    はっきりまとめてくれていました。
    単線・複線・複々線。なるほど。
    与えられた仕事だけやってちゃだめだよね(単線)。
    「仕事ができる人、というのは、自分の仕事ができる人のことを言うのではなく、誰の仕事でもない部分についても自分の仕事だと思ってやれる人のことを言う」と、たしか内田樹が書いていた気がするけど、
    複線・複々線というのはそういうことも含むのだと思います。

    私は今まで、わりと専門職の業界にいますが、
    公・民問わず、専門職の人たちってかなり単線。
    最近も、どうしてこういう仕事の投げ方する?ということがあって、
    なんやねんと思ったのでした。
    専門知識は当然必要だけど、仕事って、頭と体と心でやるんだよー!

    最後の章で、最近の「20代で産んでおかなきゃキャンペーン」を批判検証してくれていて、30代女子としてはちょっとほっとしました。
    大学でて8年で、キャリアも積んで結婚相手も見つけて、出産までたどり着けというのは、女性を追い詰め過ぎだと。全く同感。
    20代の女子と付き合っている男子は、その女子を妊娠させて出産させなければならないから別れてはならない、ということになったら男子はどうしますか?と。
    ほんとです・・・。
    昔は40代でも子供産んでいたんだよね。
    高度成長期からバブルにかけての、30代初めくらいで子供を産み終える・・・というのが、むしろ特殊。
    そういえば明治生まれの私の祖母も高齢で産んでる。
    ・・・私も、変なキャンペーンに影響されていたなと思いました。
    まだまだ希望はあるね。

    社会は不公平だし不平等だし、だいだい性別選んで生まれることはできないし、おうちも選べないわけで。
    それでもやっていくしかなく。
    まともにぶつかったら消耗するだけなので、
    こういう本読んで、ほかの本も読んで、
    人の話も聞いて、考えて、方針立てて、やってみて、
    支えあって、積み重ねていきたいですね。

  • 同じ大学、学部を卒業した妻(僕は浪人、彼女は現役、単位の「優」の数ももちろん彼女が多い)と、子供が出来てどちらか一方が育児に専念する必要があるときに、稼ぎ手に残ったのは男の僕の方だ。
    当たり前と思うかもしれないが、要は本人の能力よりも、男社会のルールのもとでどちらが効率よく稼げるかということだったのだよな。

    キャリアコンサルタントとして名著をいくつも著してる海老沢さんによる女子のキャリアをめぐるこの国の課題と希望の本。語学・資格取得とキャリアアップの相関、早期出産などキャリア形成にノイズとなる迷信についてもバッサリで目から鱗。

    働く女子、女子を部下にもつ男性管理職、娘を持つ親、それぞれが読むべき名著だと思う。

  • 2012年初版のこの本。10年積読していた私が悪いのだけど、今読んだら全然ピンと来ない。軽さが売りだけど時代遅れのおじさんが、飲み屋で絡んできた感じで途中でやめることにした。

    でもひょっとしたら、2005年からずっと「男社会」で働いてきた私がこう感じることは、世の中がマシになっている兆しなのかもしれない・・・?

  • 新書は滅多に読まないんですが、自分のキャリアについて色々考えてた時期、この本が雑誌で紹介されていて、吸い寄せられるように読みました。
    その時の自分にとって、プラスになりました。
    働く女子は読んで損はないと思います!

  • 女性が長く働き続けるためにどうすればよいのかを考察した本。

    社会的な女性参画の要望が高まった現在、女性が働きやすい社会になるために社会全体の意識の変革が求められる段階になりました。かつての社会常識・雇用常識から新たな時代に合ったものに変えていかなければいけません。そのためには、何が問題なのかを理解する必要があります。

    本書は、女性が働きやすい社会にするために必要なことをわかりやすく説いています。女性はもちろんのこと、多くの男性(特に管理職の男性)に読んでほしい一冊です。

  • あとがきに

    この本は、10代後半から30代後半までの女性に広く読んでもらえば、という思いで書いたとのこと。

    ①10代後半から20代前半の学生さんたちには、1・2章を重点に読んでもらえれば。
     ここでは、女性が働くことの歴史や企業の中の雰囲気など、まだ働いたことのない人に対して、社会の構造を知ってもらえるように構成してあるとのこと。


    ②20代の働く女性には、3・4章が興味の中心になるのでは。企業や社会の仕組みをわかっていて、「現実的にどう対応すべきなの?」という具体性を大切にしている。


    ③30代女性、結婚している人なら5章、そうでない場合6章が現実の生活と関連が深いのでは、とのこと。


    ・1970年代は女子大生も少なく、価値観も「女子は事務職」だったため、総合職的な女性はほとんど採用されていない。

    ・1980年代後半は、均等法とバブルで女子総合職採用(第一世代)が進んだが、それでも女子四大生は数が少なく、しかも、入社後の受け入れ態勢が整わなかったため、早期離職者が目立った。そのため、第一世代で現在まで長期勤務する女性はやはり少ない。

    ・1990年代初頭のバブル末期は、第一世代の早期離職が多発したため、「女性総合職は育成しづらい」というイメージが浸透し、次第に女子総合職の採用が下火となった。

    ・1990年代中盤は、バブル崩壊後の採用削減により、そもそも新卒ワク自体が非常に小さくなったため、やはり女性の総合職採用は進まなかった。


    ほとんどの事務職女性が単線ワーカー

    転職エージェントでは、事務職の「腕」を見る方法として、「単線」「複線」「複々線」という言葉を用いる。

    これは、線路の形態を示す鉄道用語なのですが、単線とは、「仕事」という電車が「あなた」という駅をただ通り過ぎていくだけ。あなたは何の判断もせず、ただルールで決まった「処理」をするだけなので、その電車(仕事)は、必ず決められた一つの行先にたどり着くことになる。

    ルールに従って、事務処理をする。
    定型的なフォーマットのデータを作るetc.
    専門的でも単線 経理仕訳、給与計算

    一方、複線とは、線路は「あなた」という駅を起点に二つの方向に分かれる。あなたの「判断」しだいで、電車(仕事)の行先は変わる。その状態を言う。

    データや書類を自由形式で作る、顧客折衝等。
    [複線の例]会議抄録、営業資料作り、営業代行

    さらにこの上に複々線がある。これは、あなたの判断や対応が、いくつも重なっていく、という形で複雑な仕事をこなしている場合を指す。

    たくさんのひとを相手に、業務を指示。多くの業務が絡むので、調整が大変。随時判断を求められる。

    複々線の例:受注生産製品の発注~納品管理


    「大企業=男性社会」の構造

    ①八方男性に囲まれる
      ↓
    ②ホワイトカラー職務は職人以上にマニュアル教育が難しい。
     営業のツボ
     クレームのツボ
     謝絶のツボ
     回収のツボ
     根回しのツボ
     関係構築のツボ
      ↓
    ③先輩が背中を見せて教える。叱り、連れ添い、飲んで
      ↓
    ④女性相手には難しい。・かわいそう・気まずい
      ↓
    女性活用が進んでいる企業は、ここがことなる。

     特別視しない。平気でしかる。連れ回す。

    一般的な対応

    ●比較的女性に多い部署(4R※)

    ※4R・・・IR(財務)、PR(広宣)、HR(人事)、CR(お客様センター)

    ●可能な範囲でマニュアル化・システム化を推進する。


    資格や知識よりも「腕」が重要

    資格や語学がかえってキャリアを狭める


    女性が働きやすい社会になるまでの6つのステージ

    ①女性が社会でも働けるようにする(雇用形態や職務内容は関係なく、単に働ける)

    ②辞めなくても済むようにする(出産者が継続雇用される。続けられる)

    ③女性の意識を変える(女性は家計労働の補助ではなく、キャリアを謳歌する)

    ④キャリアのブランクを縮める(育児ブランクを短く、短時間服飾時の評価を公平に)

    ⑤男性の意識を変える(女性をしっかり育成し、重用する)
    ⑥男性も負担を分かち合う(家事・育児・介護に男性もしっかり参加する)

  • 男性からみた女性論ってこんなものか、と怒りと苛立ちを感じながら読んだ。
    特に、高齢出産を勧める章。スーパーで野菜を買うような気楽さで、高度医療を進めているが、そこが多いに間違っていると思った。実際に不妊になれば、精神的な苦痛や度重なる病院通いによる時間的経済的負荷。(当然だが、土日だけで治療ができるはずはないので、仕事にも差し障る。)統計的に低くはなくても、自分がその低い方の人間かどうかは、45近くなるまでわからず、長く苦しむことになる。
    こういったデメリットを全く記載しなければ、誤解を産む。全員が結婚し、子供を産む人生を選ばなくてもいいが、子供が欲しい人にとって、キャリアを優先するリスクをきちんと説明するべきだと思った。

  • ハピキャリでいくか、バリキャリで行くか。そんなお話の本。

    まだこの著者の本意を理解していないだけかもしれないが、、、言ってることは次の2点が私には気になった。

    ・キャリア思考の人間にとって2択「勝間たんみたいに自論ぶっ続け気合戦略とかスーパーウーマンタイプ」か「出産したら、ま、キャリアダウンして諦めてね」あるから。あとの選択は、まぁ、あんまないね。

    ・「これまでは23歳から35歳くらいの10年くらいしか女子キャリア積めなかったけど、高齢出産おkだから40歳までキャリア積めるから、5年延びたしよかったじゃん!!」っていう締め。


    色々とこういう現実と観点があるのかと勉強になりましたが、圧倒的に絶望的になりました(笑)

    1000年後に生まれ変わったらどうなってるのか知りたいです、ニッポン。悟りを開くきっかけの本なのかといま錯覚中(笑)

  • 私は大学でジェンダーについて学んでいます。
    そのような観点から見ても面白い本でした。

    とある先生は、きれいごとだけの主張しかなさいませんでした。
    あなたたちが変えていかなくては、と。
    もちろんその意識は大事ですが、なんとなく腑に落ちませんでした。

    この本を読んで納得しました。
    具体的に今の日本社会でどう生き抜くかについて触れてありました。
    来年の春から社会人となります。
    男性同様に怒られたいと思います。

  • 日本の女性管理職がなぜ少ないか、それを論理的に示している。納得。自分のキャリアデザインを考える上で参考になった。「バリキャリ」「ハピキャリ」であろうが、大切なことは考えることを放棄しないことだと思う。「何か資格とれば・・」「手に職をつけて」等の発送は思考を止めることに他ならない。どの選択をしようと考え抜くことが大切であると思う。これから働く女性にも働いている女性にもすすめたい一冊。

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著者プロフィール

雇用ジャーナリスト、経済産業研究所コア研究員、人材・経営誌『HRmics』編集長、ニッチモ代表取締役、リクルートキャリア社フェロー(特別研究員)。
1964年、東京生まれ、大手メーカーを経て、リクルート人材センター(リクルートエージェント→リクルートキャリアに社名変更)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計などに携わる。その後、リクルートワークス研究所にて「Works」編集長に。2008年、人事コンサルティング会社「ニッチモ」を立ち上げる。『エンゼルバンク─ドラゴン桜外伝』(「モーニング」連載)の主人公、海老沢康生のモデル。
主な著書に、『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』(イースト・プレス)、『雇用の常識「本当に見えるウソ」』(ちくま文庫)、『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(小学館文庫)、『仕事をしたつもり』(星海社新書)、『女子のキャリア』(ちくまプリマー新書)、『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論』『経済ってこうなってるんだ教室』(ともにプレジデント社)など。

「2018年 『名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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