虹の西洋美術史

  • 筑摩書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784480688910

感想・レビュー・書評

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  • ノアの方舟、ギリシャ神話の女神、権力の象徴、プリズム、滝に架かる虹など、古くから神話や宗教の題材として描かれてきた虹をテーマに、虹が登場するさまざまな西洋の絵画作品を読み解いてゆく。なかでも、「虹を何色で描くか」という話題は、時代ごとに思想や科学からの影響を受けて変化していることが興味深かったし、自画像の中の画家のパレットというだけでもひとつのテーマになり、いろいろな発見があるものだ、とおもしろかった。
    口絵は可能な限りカラーでいれられているが、やはり新書という性格上、モノクロの図版も多くサイズも小さいのが惜しい。絵の隅々まで読みとるような解説を読みながら、できるだけ大きな絵で自分の目で確かめられたらなぁ、という欲求不満が常にあった。でも、一見あまり興味を持てない絵でも、人物や背景など解説を読むにつれてとてもおもしろくみられるようになるもので、その意味では楽しい一冊だった。

  • 西洋美術で虹を描いた絵画を取り上げ、ギリシャ神話、旧約聖書、新約聖書において虹がを象徴していたもの、17世紀以降の風景画での虹の扱い等数々の興味深いトピックを紹介している。更に、ニュートンが発見した光のスペクトルによる虹の7色説とそれに反対する3色説の争いも面白い。虹が描かれた西洋美術とニュートン以降の光と色彩の科学の歴史だけで本1冊が書けるとは驚いた。

  • ふむ

  • 虹を切り口とした西洋美術史。
    カラー図版が32ページもあり、
    白黒ページの図版の理解の助けになっている。

    約180ページに15章と、
    著者の意図した通り「虹の紙芝居」を聞いているかのような印象。
    「人間にとっての虹」を考える入口になるような本で、
    プリマー新書だが大人にもオススメ。

    神話・宗教と科学・芸術の架け橋として、
    また、あなたとこなたの橋渡し役としての虹を楽しめる。

    虹の色について、ニュートンの『光学』以後も
    アリストテレス伝来の3色が根強く支持された背景が面白い。
    印象派の作例に虹が少ない理由も納得。

  • 面白かったです!

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著者プロフィール

1954年、広島県に生まれる。2020年、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を退職。現在は、京都大学名誉教授、京都精華大学特任教授。専攻は、西洋美術史。
 著書に、『キリストと性』(岩波新書、2023)、『反戦と西洋美術』(ちくま新書、2023)、『ネオレアリズモ──イタリアの戦後と映画』(みすず書房、2022)、『フロイトのイタリア──旅・芸術・精神分析』(人文書院、2008、読売文学賞)、『モランディとその時代』(人文書院、2003、吉田秀和賞)など多数、
 訳書に、ジョルジョ・アガンベン『創造とアナーキー──資本主義宗教の時代における作品』(共訳、月曜社、2022)、同『王国と楽園』(共訳、平凡社、2021)など多数がある。

「2024年 『アートの潜勢力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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