つむじ風食堂と僕 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.84
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感想 : 170
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480689023

感想・レビュー・書評

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  • どちらを先に読むべきか迷ったのだが、
    あとがきに「レインコートを着た犬」を執筆中とあったので、読む順番は本書が先で良かったのかと思う。

    ちくまプリマー新書の表紙の絵は、全てクラフト・エヴィング商會が描いている。
    そんな縁もあって、200冊目(本書)を吉田篤弘さんが書くことになったようだ。
    月舟町シリーズの最後に読む予定の「物語のあるところ ――月舟町ダイアローグ」もちくまプリマー新書で、なんと400冊目だった。
    となると、300冊目も気になりますよね。これも吉田篤弘さんで「雲と鉛筆」という作品でした。
    100冊目も無視できず調べたら、これは、赤木かん子さんの「今こそ読みたい児童文学100」でした。

    月舟町三部作の「つむじ風食堂の夜」と「それからはスープ…」の登場人物が総出演の本作品は、リツ君が大人たちに仕事のことを聞く話。

    文房具屋も肉屋もどの人も自分の仕事に誇りを持っていて、自慢するようにリツ君に仕事の話をする。

    大昔は何でも一人でやっていた。
    家や家具を作り、食器や服も作り、魚を獲り、鳥や獣を捕まえて、料理もして…
    生きていくためには、やらざるを得なかったのだ。
    だが、人がたくさん集まって来ると、役割分担することを思いついた。
    魚を獲る人、パンを焼く人、服を作る人、畑で野菜をつくる人。

    やることは沢山あるから、きっと自分に合っていることが見つかるはずだ。
    何かをやるのなら、自分が好きで得意なことがいい。
    いや、自分の好きな事だけして暮らしていけるなんて世の中そんなに甘くない。

    いろんな意見があり、いろんなヒントがある。
    この本を読んだ子供たちは、大人たちの会話の中から自分に合っていそうなことを探し出すのだろう。

    途中から始まった物語は、途中で終わるのがちょうどいい---。でこの物語は終わる。

    吉田篤弘さんの作品はいつでも日常の一コマみたいな様子を切り取っている感じだ。
    喜怒哀楽を感じることなく、プツリと終わる。
    読んでいる間にいろいろと考え、なにか1つでも記憶に残ったらそれでいいのでしょう。

    • ぐっちょんさん
      プツンと終わる感じ。
      余韻と余白。
      いいですよね〜
      プツンと終わる感じ。
      余韻と余白。
      いいですよね〜
      2024/03/02
  • 「月舟町三部作」番外編。
    大人の人たちは、それぞれ違うことを言うけれど、12歳のリツ君は、大人の話を聞くのが好きだ。
    路面電車に乗って隣町へ出かけ、十字路の角にある食堂〈つむじ風食堂〉で会った大人のひとに、「仕事は何ですか」と聞くことにしている。
    本の中で、仕事についてあれやこれやとみんなの声が渦巻いています。
    親切な、月船町の商店街の人たちの話に耳を傾け、将来のこと、仕事のことを考えているリツくんが、とても微笑ましいです。

    ちくまプリマー新書は、「子どもたちにひとつだけ何かを伝える」というテーマが基本なのだけれど、最後にリツ君のお父さんの〈トロワ〉というサンドイッチ屋さんの話で締めくくられていて、月船町ファンにとって、ほんとうに喜ばしい内容でした。

    あとがきの、吉田篤弘さんの子どもの頃の話もとてもよかったです。

    物語は、まだまだ途中で、路面電車は今も走り続けているようです。
    仕事のことを語るのは難しくて、尽きることがないのだなと思います。

  • つむじ風食堂の夜を読む前にこっちを読んでしまった。
    表紙が可愛かったから。

    そもそもちくまプリマー新書というのは、『子どもたちに何か一つだけ伝えたいこと』というテーマを基本に据えて、原稿用紙100枚で書くというコンセプトで、当時編集者だった松田哲夫さんが立ち上げたものだそうで、その話を最初に聞いた吉田篤弘さんと浩美さん(クラフトエヴィング商会)のお二人が「そういうことなら」と、『子どもたちにリボンをかけた小箱をひとつひとつプレゼントするイメージで』新書としては大変珍しい、一冊ごとに表紙を変えるスタイルにする事を提案されたのだそうです。

    そんなわけで、子どもたちに向けて書かれていているだけあって、平易で読みやすいお話でした。

    話し合って決めたわけでもないのにいつの間にか役割分担ができていて、野菜を作る人、魚を獲る人、それらを売る人、荷物を配達する人、などなど、いろんな人がそれぞれの役割を誇りを持って、あるいは好きでもないけど我慢しながらこなすことによって、世の中が上手いこと回っていることに、宇宙人目線で感心するくだりが面白かったです。

    小学校中学年くらいから読めると思います。

  • 『月舟町三部作』番外編。
    今回の主役は、サンドイッチ屋〈トロワ〉のご主人の息子・リツ君12歳。
    「生きてゆくことは、毎日、少しずつ〈むかし〉をつくってゆくこと」
    そして〈むかし〉はやりなおしが出来ないもの…。
    リツ君、のっけからなかなか大人びたことを言いますね〜。
    悩み多きリツ君は〈つむじ風食堂〉で食事をしながら、食堂の常連客たちに仕事について尋ねる。
    仕事の話から始まって、商店街、町、幸せ、将来…とみんな語り出すと止まらない。
    自分の仕事に誇りを持っている大人たちの話を真剣に聴くリツ君。
    リツ君の物語はほのぼのと温かな人たちに囲まれて、これからもずっと続いていくんだね。

    常連客たちがリツ君を子供扱いしないで、対等に話しているのが読んでいて心地良かった。
    人生は楽しいのが一番。
    気の合う人たちと語り合いながら、美味しいものを「美味しいね」と言いながら食べる。
    これこそがシアワセなんだと思うよ。

    『ちくまプリマー新書』の記念すべき200冊目にあたる今作。
    なんと200冊全ての装幀デザインを吉田さんご夫妻で担当されてきた、とのこと。素晴らしい!
    子供たちにリボンをかけた小箱をひとつひとつプレゼントするイメージでデザインされた、とのこと。
    この話を聴いただけでわくわくしてくる。

    『ちくまプリマー新書』の基本コンセプトは「子供たちにひとつだけ何かを伝える」。
    「子供に語りかけるということは、語りかける前に自分自身を見なおすことであり、子供に語るべきかとは大人もまた傾聴すべきことで、大事なのは、子供とか大人とかではなく、初心に戻ること、〈最初の思い〉に戻ること」
    『あとがき』に書かれた吉田さんの言葉がダイレクトに心に入ってくる。
    〈むかし〉思い描いたことは何だったのか、そこから逸脱していないか…。
    時折指差し確認しながら、前へ進みたい。
    ちょいとひと駅途中下車して、暢気な人たちの集まる食堂で一休みするのもいいものだ。
    このシリーズの新たな番外編を、またいつか読ませてほしい。

  • 色々な視点で描かれている。とくに宇宙人が良かった。

  • いやぁ~
    あの大好きな
    「つむじ風食堂」の面々と再会できたことだけで
    満点を献上しますよ(笑)


    「それからはスープのことばかり考えて暮らした」で
    最も印象的だった登場人物の一人、リツ君。

    トロワというサンドイッチ屋の息子で
    12歳の彼は、
    店を継ぐよりも
    自分で考えた道に進みたいと常々思っている。

    彼は一人で路面電車に乗って
    隣町のつむじ風食堂へ行き、
    大人たちに混じって
    クロケット定食を食べながら
    将来のことを思い悩む日々。


    文房具屋さん、肉屋さん、電気屋さん、魚屋さん、八百屋さん、新聞記者、ダンサーなど
    いろんな職業の大人に
    仕事の話を聞くリツ君。


    この様々な職業にまつわる話が
    本当にためになるし、
    (転職や就職を考えてる人は絶対読むべし!)

    商店街愛あふれる
    この大人たちがみな
    ホンマにカッコいいんですよ~


    しかしつむじ風食堂のように、
    誰もがごはんを分け合いながら食べることの
    素晴らしさよ。


    「それ、ちょっとちょうだい」
    「これとそれ、交換しない?」
    「なぁ、おいしいだろ?」
    「うん、おいしいね」

    美味しいものを
    人と共有することの幸せが
    人生をさらに
    味わい深いものにしてくれる。



    オーリィさんや
    タバコ好きのマダム、
    帽子屋の桜田さん、
    食堂で働いているサエコさん、
    果物屋の青年、
    そして食堂にいる
    白黒猫のオセロなどなど、
    過去の名作に出てきたオールスターキャストが
    チョイ役で出てくるところも
    ファンにはたまらない点でしょう。


    悩めるリツ君に
    自分から言いたいことは、
    「やりたいことが
    自分のすべきこと」。


    そして
    仕事でも読書でも音楽でも何でもいいけど、
    いろんな『好き』を増やしていくこと。

    「好き」をどんどん増やしていけば、
    ツラいことがあっても
    自分の好きなものが
    必ず君を救ってくれるよ。


    最後に、
    吉田さんが最も言いたかったことは、
    本文に出てくる
    自転車屋のおじさんの話に尽きると思います。


    「好きこそ物の上手なれ」ってことわざがあるけど、
    逆に言うと
    好きじゃないなら、

    何でも小器用にこなすけど
    そこに愛がないなら、

    いくら上手くても
    意味ないよって話だよ。


    「好きや愛してる」、
    何をするにしても
    これが物事の基本だよ(^_^)v

    • 円軌道の外さん


      MOTOさん、明けましておめでとうございます!

      今年もよろしくお願いします!(^o^)


      あっ、MOTOさんも
      最近...


      MOTOさん、明けましておめでとうございます!

      今年もよろしくお願いします!(^o^)


      あっ、MOTOさんも
      最近はあまり読まれてなかったんですね(汗)


      個人的には
      風邪引いて熱が出ても
      食欲だけはなくならないように(笑)、
      どんなことがあっても
      読書欲がなくなることは一度もなかっただけに
      今回本が読めなくなったことは
      本当にショックだったし自分でもビックリでした(。>A<。)


      そうなんです!
      あのリツ君がつむじ風食堂の常連になる展開なんです(笑)

      懐かしのキャラたちにも再び会えて
      本当に幸せな読書体験でした(^ー^)


      自分を動かす原動力は
      昔から「好き」に突き動かされたものばかりなんですよね(笑)(^^;)

      何かを好きになる気持ちは
      ときにとんでもないパワーを与えてくれるし、
      自分の中で「好き」を増やしていけば
      生きることもそうそう悪くないって思えてきます。

      だから吉田さんの言葉にはスッゴい共感したし、
      自分は何かを憎んだり否定することにパワーを使うよりは
      自分だけの「好き」を見つける方向に
      力を入れていきたいって思います。

      そしてそれが誰かの「好き」と偶然重なったら
      こんな嬉しいことはないですしね(笑)


      MOTOさんにしか書けないレビューで
      今年も共鳴の瞬間が持てるよう
      楽しみにしています!(^^)


      2014/01/02
    • 日曜日さん
      こんばんは!「それからは…」は読んでいましたがこの本、存じませんでした。ありがとうございます。円軌道の外さんの愛情あふれるレビュー、素敵なも...
      こんばんは!「それからは…」は読んでいましたがこの本、存じませんでした。ありがとうございます。円軌道の外さんの愛情あふれるレビュー、素敵なもの、面白いものを広めようとする心がありがたいです。私は「つまらないものはやっつけよう」と言う気持ちが強すぎると、反省した次第です。
      2014年は円軌道の外さんの優しい心を見習い、精進したいです。今年もよろしくお願い申し上げます。
      2014/01/04
    • 円軌道の外さん

      日曜日さん、
      遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!
      今年もよろしくお願いします(^o^)

      「それからは…」や「つ...

      日曜日さん、
      遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!
      今年もよろしくお願いします(^o^)

      「それからは…」や「つむじ風食堂の夜」を読んでる人であれば
      この作品はニヤニヤが止まらなくなりますよ(笑)

      吉田さんのつむじ風シリーズに登場するキャストが
      勢揃いするので(笑)


      いやぁ~、日曜日さん、褒め上手ですね~(笑)
      恐縮しまくりっスよ(。>ω<。)

      人生は短いので、
      自分の場合は嫌なものや嫌いなものに費やす時間やエネルギーをなるだけ少なくしたいんですよね。

      それなら好きなものを好きなだけ語ったり、
      好きな気持ちをありったけの言葉で伝えていきたいし、
      いいと思ったものは
      沢山の人に知ってもらいたいんです。

      人がこの本を好きだという気持ちが
      ありったけ込められたレビューって
      読んでいても自然と微笑んでしまうし、
      そんなに面白いって言うなら
      読んでみようかなって気持ちになるし(笑)


      自分のレビューは好きな作品しか書いてないので(笑)
      他人が読むと愛情が溢れていると感じるのかもしれないし、
      そう思っていただけたなら
      スゴく光栄です(^o^)

      こちらこそ、丁寧であったかいコメントありがとうございました!

      お互いいい本に巡り会いたいですよね。



      2014/01/13
  • 12才の少年、リツ君は隣町の食堂に一人で通い、そこで出会う大人たちの仕事について尋ねる。
    自分の将来の仕事を考えるためだが、読んでいる私たちにも改めて、どんな職業に就いている人たちも、その仕事に遣り甲斐を感じて、誰かの喜びのために一生懸命働いてるんだと思い出させてくれる。

    自らを振り返り、そんなに遣り甲斐を感じたり、誰かを喜ばせることができていいるのか、とちょっと反省。

    将来の職が決められずにいる子供たちだけでなく、仕事に行き詰まりを感じている大人たちにも読んでほしい一冊。

  • <月舟町三部作>の番外篇。
    主人公は『それからはスープのことばかり考えて暮らした』にも登場するリツ君。
    お久しぶりな人が他にもたくさん登場するのがとても嬉しい。
    つむじ風食堂のクロケット定食もやっぱりいいなぁ。

    リツ君はつむじ風食堂で出会う大人達から仕事の話を聞く。
    自分に合う仕事は何だろう?と考えながら。

    私だったらリツ君に自分の仕事のことをなんと説明するだろう?と考える。
    彼に胸を張っていい仕事だと話せるだろうか?
    彼は興味を持ってくれるだろうか?

    「好きじゃないなら、やめた方がいい。好き、愛してる。これが基本だよ。うん。」
    自転車屋さんの言葉には妙な説得力がある。
    私は今の仕事を「愛して」はいない。悲しいことだけどもそれが現状。
    でも安藤さんのサンドイッチみたいに目標のある仕事だよな…と改めて思った。
    届ける相手のいる仕事だよな…と。

    リツ君と一緒に聞いて、考えて、リツ君とはちょっと違う(?)結論に至ったみたい。
    ちょっと立ち止まって考えたくなったらまたリツ君と一緒につむじ風食堂に行きたいな。

    • 円軌道の外さん

      お久しぶりです!

      今年は異常に暑い日々が続いてるけど
      お変わりないですか?

      ちょうど今この本
      買って読もうかと思ってたと...

      お久しぶりです!

      今年は異常に暑い日々が続いてるけど
      お変わりないですか?

      ちょうど今この本
      買って読もうかと思ってたところで、
      takanatsuさんのレビューを見つけて
      嬉しくなりました(^O^)


      自分も自分自身の「好き」に誇りを持って
      「好き」に助けられて
      この歳まで生きてきたんで、
      takanatsuさんが引用した
      自転車屋さんの言葉には
      大いに頷いてしまいましたよ(笑)(*^o^*)


      また読んだら
      レビューアップするので
      暇つぶしがてらにでも
      覗いてみてくださいね♪


      2013/08/21
    • takanatsuさん
      円軌道の外さん、コメントありがとうございます!
      「今年は異常に暑い日々が続いてるけど
      お変わりないですか?」
      クーラーでのどが痛くなって...
      円軌道の外さん、コメントありがとうございます!
      「今年は異常に暑い日々が続いてるけど
      お変わりないですか?」
      クーラーでのどが痛くなってしまう時がありますが、概ね元気です。
      円軌道の外さんはいかがですか?
      コメントを読む限りお元気そうでほっとしています。
      「自分も自分自身の「好き」に誇りを持って
      「好き」に助けられて
      この歳まで生きてきたんで、 」
      素晴らしいですね!
      円軌道の外さんがリツ君に語る言葉を私も横で拝聴したいです。
      その時は呼んでください(笑)
      「また読んだら
      レビューアップするので
      暇つぶしがてらにでも
      覗いてみてくださいね♪ 」
      とっても楽しみです!
      絶対読みます♪
      2013/08/21
  • 月舟町シリーズの番外編ということだが、先にこちらが手に入ったので、先に読み始めた

    吉野源三郎さんの「君たちはどう生きるか」を彷彿させる
    語り口はやさしいがまるで哲学書のようだった

    りつ君がつむじ風食堂を訪れるお客さんに  
    「お仕事は何ですか」
    と尋ね、それぞれが自分の仕事や職業観を語って聞かせる

    文房具屋さん、肉屋さん、八百屋さん、魚屋さん、果物屋さん、コンビニの店員、宅配運転手、ダンサー・・・
    みんなそれぞれが自分の仕事に世の中とのつながりを見出し、誇りを持っている

    世の中は、適材適所、それぞれの役割分担で回っていること、それは人間平等であるべきとはまた違った話で、神様の粋なはからいであること

    どんな仕事も「好きであること」「愛があること」が基本

    しかし、自分の仕事に夢中になるのもほどほどに、適当に遊びながら

    コンビニ店員のタモツさんの話もなかなかおもしろい

    「コンビニは商店街の救急病院みたいなもの。深夜とかの。それ以外の時は、ちゃんと商店街の専門店で買うべきだよ。それなのに、勘違いしてみんなコンビニに頼り過ぎだよ」

    最後は、サンドイッチ屋『トロワ』を営んでいる父親の仕事観で結ばれる

    子供たちが、この本で未来をどう生きていくべきか少しでも希望を感じてくれたらいいなと思った

  • 本書の主人公はリツ君。
    リツ君のお父さんは桜川という町で「3(トロワ)」という名前のサンドイッチ屋を営んでいます。
    リツ君の最近の楽しみは、隣町の月舟町にある食堂に行くこと。
    その食堂には名前はありませんが、店のある十字路に吹く風にちなんで「つむじ風食堂」と呼ばれています…

    …ということで、吉田篤弘さん作品を好きな方にはうれしい月舟町にまつわる物語のスピンオフです。
    ちくまプリマー新書200冊目を記念して書かれた本書。
    この新書の原点である問いかけ、すなわち「子供たちに、ひとつだけ伝えるとしたら、あなたは何を伝えますか」ということに著者自身が立ち返って書かれています。
    何をするにも、最初の心を忘れないということ。
    物語の伝えるメッセージはシンプルですが、いくつになっても忘れずにいたい姿勢だと改めて思いました。
    食堂に集う人たちのように、私も自分の仕事を語れる日がくるかしら。。。

    月舟町のぬくもりに包まれて、ほぅっと肩の力が抜けていきました。
    また明日からがんばろう、と思える1冊です。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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