- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480689160
作品紹介・あらすじ
恋、食べ物、家族、動物、時間、お金、固有名詞の歌、トリッキーな歌など、様々な短歌を元に歌人の二人が短歌とは何かについて語る。短歌の本質がわかる!
感想・レビュー・書評
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歌人の東直子さんと穂村弘さんの二人がいろいろな歌人の短歌について語り合う対談集。
対談が、短歌の解説になっているので、短歌の意味がよくわかり勉強になりました。
第一章 やっぱり基本は恋の歌
より。
P39より
東「性欲を伴わない愛はないと確定しているってことなのかな。妄想も性欲から来てるのかなあ。そういえば恋の歌をいろいろ集めてみておもしろいなと思ったのは、恋の歌の中に食欲の歌が混ざっていることたとえばこんなのです」
○焼肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き 俵万智
東「焼肉とグラタンが好きというのは少女の食欲の部分で、それと後の「好き」は性的欲求の「好き」なんですよね」
穂村「これは、じつは初案は「焼肉と漫画」だったそうです。それをわざわざ「グラタン」という食べ物にしたわけだからあえてえぐくしてるよね」
東「そうか。グラタンがさらにえぐさを増して、全体がぐっと性的になったんだね。焼肉と漫画だと普通だけど、グラタンとすることで、その質感が生々しくて怖ろしくなる」
穂村「背後には少女にごはんを作る母の存在が隠れている。そこもこわいよね」
東「言語感覚がすごい。俵さんの歌ってわかりにくいところはなくて、一瞬で理解できる。わからないことを詠っていないから、自分にも出来るんじゃないかと思いがちなんだけれども、同じようには絶対に出来ない」
「焼肉とグラタン」の俵さんの歌は私も知っていましたが、こんなに深い意味が隠されていたことには気づきませんでした。
ただ、不倫相手の子どもと対面した時の言葉にできなかった声を語っているのだろうと思っていました。
俵さん恐るべしと思いました。
こういった感じで、東さんと穂村さんが歌をどんどん解説していき、最近の歌壇周辺の事情や歌人になるにはどうしたらいいのかなどにも触れ、最後は穂村さんが東さんの作風を真似して歌を詠み、東さんも穂村さんの真似をして歌を詠んだりしてもいます。凄いと思いました。 -
まことのレビューを読んで面白そうだと思い読んだ。有名歌人の東(ひがし)直子と穂村弘が様々な短歌について語り合っている。
様々な短歌について二人が対談形式で解説していて面白い。同じ短歌でも二人の感じ方が違う短歌もあって、そういう点も興味深かった。
いくつか短歌を紹介したい。
箸立てにまだ立ててある妻の箸かたりと動く箸取るたびに 岩間啓二
いもうとの小さき歩みいそがせて千代紙かひに行く月夜かな 木下利玄
好きなのかあんなところが自転車のサドルにいつも乗っている猫 池本一郎
(この短歌については、人間のことかと思って読んでいくと最後に猫だとわかるところが、茶目っ気があって面白い、と解説されている)
また、付録の「歌人ってどうやってなるの?」は二人の歌人になるまでの実体験が書かれてあってそれも面白かった。-
張飛さん。
おお、中日新聞をゲットされたんですね!
祖母の遺品の大量の五円玉を見た途端、歌にできるかも!と、思ったので、こうして新聞に掲載...張飛さん。
おお、中日新聞をゲットされたんですね!
祖母の遺品の大量の五円玉を見た途端、歌にできるかも!と、思ったので、こうして新聞に掲載されて万感の思いです。
張飛のブログへの掲載はもちろんOKですよ!
もしできれば、市名は分からないようにモザイクか黒塗りか何かを掛けてほしいのですが。2023/09/15 -
2023/09/15
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2023/09/15
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東さんと穂村さんが気になる短歌を持ち寄って語り合った対談集。
恋の歌、食べ物の歌、固有名詞の歌にトリッキーな歌…各章ごとにテーマに沿ったさまざまな短歌を紹介してくれます。
ただ歌だけを読んだときと、その歌の詠まれた時代背景を知ったときで印象ががらっと変わる短歌があったりして、歌集を読むのとはまた違った楽しさがありました。
短歌の余白は、詠われた情景や感情をより生々しく感じさせるなぁ…。
本編だけでなく、付録もおもしろかったです。
特に「歌人ってどうやってなるの?」の章では、お二人が歌人としてデビューするに至った道のりや短歌界の事情が書かれていて、初めて知ることばかりでした。
歌集は名刺代わり、だから自腹で100万円を持ち出して歌集を作って、自分で配る…そ、そんな世界なのか…。 -
東さんと穂村さんの対談本。鑑賞の手助けではなく、「こんなのもあるよ」「このカテゴリーならこれは?」みたいな。軽い会話の中に知性が…さすがすぎる。
どの章にもはっと気づきをもらいました。読んで良かった。
恋の章では、女性の感性や社会的価値の移り変わり。家族の章では文化・歴史的、社会的な役割の変化。お金の章では物の豊富さと本当の貧しさ。
言葉や固有名詞の普遍性とノスタルジック効果、文字や音の表現などに触れている章もあり、
とても読んで面白かった。 -
これは鑑賞する時のためにも
作るときのためにもとても勉強になったよ。
面白かった。
今の若い人達が
ハーゲンダッツのアイスを食べるときの気持ちと
私が食べる時の気持ちは絶対違う。
私の若いときはスーパーには売ってなかったし。
同じように私がバナナと食べる時の気持ちと
お婆ちゃんがバナナ食べる時の気持ちは
絶対違う。
きっと、平成の次の世代には
スタバの立ち位置が変わってる可能性は大いにあるだろう。
恋愛もセックスもお金も、
家族の役割も時代によって大きく変わる。
それでも変わらないものもやっぱりあって
それがわかっていれば、
短歌はもっと楽しめる、そう思った。
うん、しびれるね。 -
これも短歌?と、先入観をぶち壊す
セレクション。
こんな歌あるよ、って周囲と話すのも
楽しい。
通して読むと、歌人に必要なのは
人と違った角度から切り取る視点なんだな、
と思った。 -
生前は無名であった鶏がからあげクンとして蘇る
木下龍也
現代短歌がおもしろい、という大学生が増えた。なるほど、大喜利的な、思わず膝を打つ受け答えのような短歌が流通しているからだろう。
たとえば掲出歌。命名によって新たな価値観が生まれ得ることを、やや冷めたトーンで歌っている。具体的な商品名=固有名詞の選択も、親近感を持たせている。
一秒でもいいから早く帰ってきて ふえるわかめがすごいことなの
伊藤真也
乾燥わかめを戻しすぎた、という状況だが、助けを求めるほどの量ではないはずだ。けれどもそれを、同居人の帰宅をうながす話題に転化したところがおもしろい。
こういった現代短歌が引用された「しびれる短歌」は、従来の短歌入門とは趣の異なる作品に出合える。「ちくまプリマー新書」という、初めて新書を読む若い世代向けのレーベルでもあり、先入観なしに短歌に親しむことができそうだ。
しかも、若い世代の歌ばかりが引用されているわけでもない。
くちづけをしてくるる者あらば待つ二宮冬鳥七十七歳 二宮冬鳥
作者は、1913年(大正2年)生まれの医師。自分の筆名を詠み込み、既成の価値観にとらわれない、自由な発想を作品化したベテランであった。
むやみに深刻ぶらない、重すぎないのが現代短歌だよ、というメッセージも伝わり、視野を拡張させられる新刊である。(2019年3月17日掲載) -
いろんな歌とその所感に触れられるところがいい。いまいちわからなかったりもするけど。
最後のほうにある短歌の出版事情(自費出版当たり前)に驚いた。独特の世界だ -
歌人の雑談を聴いている感じ。こういうものの見方があるんだ、と思わされる短歌がたくさんあって、面白く読めた。
NHK短歌通信教育、私もこの春から受講しています。
はじめての短歌は、とばして、初級を受けています。
まだ、3回目提出...
NHK短歌通信教育、私もこの春から受講しています。
はじめての短歌は、とばして、初級を受けています。
まだ、3回目提出したばかりですが。
鑑賞の課題も、上級になるとあるみたいですね。
短歌は、一度も採用されていませんが、昔やっていたシナリオは、やはり通信教育で、最後の課題だった向田邦子さんの、小説の『花の名前』を脚色したものを、月刊『シナリオ』誌という雑誌に全文掲載されたことがあります。20代半ばの頃ですが、あれが頂点だったのかも(笑)。
やっぱり、九州だったのですね。
ニュースで見て、ベルガモットさんのお住まいのところだなあ、と心配していました。
ご心配おかけしました。晴れ間が見えてほっとしているところです。
NHK短歌通信教育仲間なんですね、嬉しいです♪...
ご心配おかけしました。晴れ間が見えてほっとしているところです。
NHK短歌通信教育仲間なんですね、嬉しいです♪赤ペン先生のコメントは勉強になります。
月刊『シナリオ』誌という雑誌に全文掲載のご経験があるんですね、凄い!!!課題が難しそう~。小説を読んでの脚本ですか?!掲載されたときの喜びは忘れられない体験となりそう♡貴重な体験教えてくださり、ありがとうございます!
そちらも晴れ間がみえたのですね。
よかったです。こちらは昨日の大雨の予報が外れ、曇天ながらも全然降っ...
そちらも晴れ間がみえたのですね。
よかったです。こちらは昨日の大雨の予報が外れ、曇天ながらも全然降っていません。申し訳ないくらいです。
そうなんです。私もNHK通信教育を受講しているので、他のテキスト等はあまり浮気すると贅沢だし、今は読売歌壇とうたらばだけでいいかなあと思っています。才能もないような気もするし(笑)。
月刊『シナリオ』のことは未だに覚えている忘れられない思い出です。
受講生には毎月送られてきていたのですが、「なんか、読んだことのある文章だなあ」と思ったら自分の習作が載っていてびっくりしました。