科学は未来をひらく: 〈中学生からの大学講義〉3 (ちくまプリマ―新書)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480689337

感想・レビュー・書評

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  • そうそうたる大人による執筆。
    コンセプトは、中学生向けに大学並みに深いことを伝える、というものだろう。
    第3巻は、「科学」がテーマ。本当に題名通りなのか、はやや疑問。「どうひらく」と言えるのか。科学に対する懐疑もところどころに見られるが、基本は礼賛

    読中
    以下、ポイント。
    村上陽一郎 科学の二つの顔・・・科学に参加すべし
    ・science =知識
    ・アイザック・ニュートン=哲学者
    ・ヒューエル=サイエンティストという語
    ・イスト=狭い概念=汚い言葉、イアン=広い概念
    ・哲学者=神の御業の確認から科学者=好奇心の追求へ(一つ目の顔)
    ・科学者共同体=学会
    ・エポニム=仲間内からのご褒美
    ・行政や産業が科学の力を利用(二つ目の顔)
    ・原理的+実際的懐疑=科学に関する意思決定に関わる

    中村桂子 私の中にある38億年の歴史ー生命論的世界観で考える
    ・機械論的世界観 対 生命論的世界観
    ・共存共栄 イチジクとハチ・・・「キープラント」の研究
    ・アゲハチョウと食性
    ・「生きものの上陸」:ひれ=手、エラ=あご
    ・機械と火から生命と水へ
    ・人間は自然の一部である

    佐藤勝彦 宇宙はどのように生まれたかー現代物理学が迫るその誕生の謎
    ・時間も空間も歪んでいる
    ・エネルギー(つまり物質)と時間と空間は三位一体で一緒に変化する
    ・元素は4%に過ぎない。ダークマター

    高薮縁 宇宙から観る熱帯の雨 ー 衛星観測がひもとくもの
    ・雨粒は雲粒の100万倍

    西成活裕 社会の役に立つ数理科学
    ・フラクタルとセルオートマトン
    ・思考体力と多段思考

    長谷川真理子 ヒトはなぜヒトになったか
    ・つかむための足から走るための足へ。
    ・平原進出に立ちはだかる困難

    藤田紘一郎 「共生の意味論」きれい社会の落とし穴 アトピーからガンまで
    ・サナダムシ
    ・1965年以前。アレルギー性疾患のなかった頃の日本
    ・自然治癒力

    福岡伸一 生命を考えるキーワード それは“動的平衡“
    ・新しくなる私と変わらない私
    ・ジグソーパズル
    ・DNAはカタログブック
    ・エントロピーの法則に追いつかれた時に死ぬ

  • これがすべて同じ中学での講演会をもとに作られているとしたらなんと贅沢なことか。子どもたちはそれを分かっているのだろうか。3年間で10人くらいの先生の話が聞けるのだろうか。それとも、中3だけなら、2、3人だけだろうか。いずれにしても、うらやましい。私にとって初めての話は高薮先生のもので、気象の変動が地球1周続いているなんていう話は感動もの。西成先生の数学の話などは中学生には全く縁のないもので、興味を覚えた生徒はのめり込んでいくかもしれない。福岡先生の話で、同じ人だと思っていても、実は半年もすれば物質としてのヒトはすっかり変わってしまっているなんていう話もビックリだろう。でもやっぱり一番強烈なのは、藤田先生のキャラクター。ダジャレの連発。確かに笑いは免疫機能を高めるのかもしれないけれど、中学生への受け具合はいかほどであったのだろうか。まあでも、生き方を考え直さないといけない。赤ワイン飲もうっと。

  • 中高生への講義をまとめた、とのことで読みやすい…かと思いきや、前半はなかなか難しかった。気象の先生とか、ほんとに100%気象の話だし。
    それぞれの先生が自分の研究や体験をもとに、科学の考え方、面白さを伝える良い本だけど、ほんと、熱中するものを見つけられるところがすごいなあ…

  • 昔買って読みかけていたものを改めて読み終えた。
    本書のテーマは科学。科学史・科学哲学の大家である村上陽一郎を筆頭に8人の学者が登場する。
    それぞれ自分の研究を噛み砕いて紹介する内容で、そこに至る過程にも触れている。例えば、渋滞学の西成活裕は数学の応用をやりたくて、渋滞学が認められるまで7年かかったという話を披露する。数学の面白さや有効性を強調した語り口だった。
    また、福岡伸一の話から全てはコミュニケーションであると思った。経済はお金を媒介にしたコミュニケーションだが、生きることそのものが他者とのコミュニケーションなのではないか。植物や動物の命を頂くことも含めた広い意味のそれである。
    8人の中で最も印象深いのは宇宙物理学の佐藤勝彦。「インフレーション宇宙論」の権威でありながら、それを発見したときの驚きを臨場感を持って語っている。「宇宙の不思議を解明したい」という瑞々しい探究心が伝わってくる。対面ではなく、佐藤勝彦の横で一緒に宇宙を見ながら話を聞いているようだった。

  • 科学を勉強することの意味を科学者たちが教えてくれる本。

    いろいろと考えさせられることが多い。

  • 分かりやすく書いてるのは分かるけど、やっぱり専門用語は難しいというか、聞きなれないだけで難しく感じた。それに興味のない分野だと、更に拒絶反応。

    それでも、興味のない分野を知る、いい機会になり、そんな世界があったんだと、新鮮だった。ただ、やっぱりそれ以上は興味が持てなかった。
    興味のある分野は、面白く、もっと知りたくもなった。

    宇宙とか物理とか興味津々だけど、その概念自体が難しい。
    社会に役立つ数学は面白い。渋滞学は初耳。それがどう繋がっていくのか。具体的な実験例、出口に柱だったり、フラクタル、セルオートマトン、もっと知りたい。「思考体力」と「多段思考」の大事さは説得力があった。「全体を見渡す」周辺視野を数学で例えるのも興味深い。社会全体の幸せが数学で表せるところは、分かりそうで分からなかったけど。
    免疫学のきれい社会の落とし穴は、聞いたことあるような内容を具体的に分かりやすく書いてあった。だからといって生活習慣は変えられないけど、大事なことを知ることができた。
    動的平衡。細胞レベルで常に生まれ変わっている事実は言われてみれば、当たり前のようなことでも、考え出したら不思議。考えたこともなかった。
    こういう話って、やっぱり中高生時代に呼んでいるとまた違った視点が持てたと思う。

  • 面白い

  • 請求記号 404/Mu 43

  • 2016.11.04 ちくまプリマ―新書のサイトを見て
    2018.06.29 くまざわ書店品川店で再発見する。
    2018.08.05 予約

  • 色々な分野の研究者が自分の研究分野をわかりやすく、科学の魅力を説いています。それが正しいのか、自分にあってるかどうかは置いておいても、文系だから理系だから他のことは関係ないとか思わずに是非読んでほしい一冊。
    数学って実際なんの役に立つかとか、自分の中の細胞のこととか、この講義を実際受けられた子供たちが羨ましい。無駄かもしれないけれど無駄にならないかもしれない。知るということはどんどん知らないことが増えていく、でもそれが面白くて楽しいと思わせてくれるような一冊。
    ちょうど対象年齢になる、親友のお子さんにこれ贈りたいな。他のシリーズ本も読んでみたい。
    時間切れで読めなかった2つの話もいつか読みたいです。

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著者プロフィール

1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学教養学部卒業、同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。東京大学教養学部教授、同先端科学技術研究センター長、国際基督教大学教養学部教授、東洋英和女学院大学学長などを歴任。東京大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授。『ペスト大流行』『コロナ後の世界を生きる』(ともに岩波新書)、『科学の現代を問う』(講談社現代新書)、『あらためて教養とは』(新潮文庫)、『人間にとって科学とは何か』(新潮選書)、『死ねない時代の哲学』(文春新書)など著書多数。

「2022年 『「専門家」とは誰か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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