本屋になりたい: この島の本を売る (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 593
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480689399

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄で古本屋を一人で営んでいる女性のそのお店にまつわる本。

    沖縄の商店街の古本屋が閉店するのを聞き、新刊書店に勤めていた筆者が会社を辞め、その古本屋を引き継ぐ。

    客観的に聞くと、筆者は決断力、行動力も非常にあるように見えるが、この本からは、淡々と、自分がやりたいことに素直に実直に従っていたら、このような結果となったというようなニュアンスで。この安定感のあるスタンスが、芯が感じられ安心できる。
    これは本屋さんのスタンスとしても同様なのだろう、色々な古本屋仲間が助けてくれているようだ。

    また、商店街の中の小さな古本屋なのにもかかわらず、自分の生活を成り立たせている利益をあげている。これは商店街という立地(観光客がたくさん来る)と、沖縄ならではの沖縄本の収集(強み、ニッチ産業的なアプローチ)が合致して、ここでしか買えない沖縄本を観光客が買えるというところにあるのでしょう。

    また、本文内にあるように本を売ってくれる70代世代の沖縄の方々との交流もあるように、地元の人との交流も確かにあることが大きい。

    出版不況、電子書店の台頭という中で、新刊販売のリアル書店(特に小さい書店)は苦境に立たされている。
    自ら本を買い取り、自分で値付けして売る、売れなくても本は返品できない、いつでも自分が売りたい本が揃えられる訳ではない、と一見新刊書店と比べると不利な古本屋も、その本屋なりの特色を出すということは、新刊書店よりも勝った部分である。

    大きく状況が変わり、苦境にたっているからこそ、その生き残りの戦略の中に新しい価値がうまれるのだと思った。

    この作者は自分の実施いしてることをビジネス本のように高らかに講釈するのではなく、自分のやっていることを実直に報告している形式なので、非常に読みやすい。

  • 読んだ後、自分の街の本屋さんに行き、本を買いに行こうと、思った。

    元じゅんく堂書店員が沖縄で狭小の古本屋を開いた。沖縄の本を専門に扱う古本屋。

    なぜ沖縄で、沖縄の本専門の古本屋なのか。
    沖縄の歴史的な背景からも独自の出発文化がつくられてきた。地域にあるもの、地域に生きる人が多様であるならば、本、本と人が会う場も多様。
    沖縄の本を沖縄の人、沖縄に来る人に届けていきたいと開いた古本屋さん。
    図書館、新刊書店も本のある世界をつくる機能として大切だと考えてるところが素敵でした。
    全国一律の超大型書店の対極にある世界で、本と人が出会う場をつくっている。
    応援したい!

    自分が本屋、図書館、古本屋になりたい、そこでプロになりたいのではなく、それらの本と人が出会う機能、
    担う人を応援してたい、中間支援の立場をとっていたいのだなぁと思った。

  • 沖縄の市場で小さな古本屋を営む著者のエッセイ。
    以前ボーダーインクから出版された本は古本屋になるまでのことを多く語っていたけれど、こちらはおもに古本屋として板についてきた日々が描かれていて、より落ち着いたやさしい語り口で、本を大切にしている気持ちが伝わってくる。

    「沖縄の人には、自分たちのために書かれた本がこんなにある」

    沖縄で本屋をする、ということがとてもうらやましく思える言葉だと思う。

  • 分かりやすい文体で本を人々に届けることの秘めた情熱が書かれている。お店に行って筆者とお話ししたいと感じた。

  • 2019/5/30購入
    2019/6/7読了

  • 先月、沖縄に行った時に立ち寄った市場の古本屋ウララさん。私の同居人と知り合いということで、せっかくなのでと何の気なしに購入した店主の宇田智子さんが書いた本。『本屋になりたい』というタイトルの本で、まさか自分が涙を流すとは微塵も思っていなかった。人の心を動かすのは、声高に何かを訴えるよりも、淡々と自分の思いを持って行動してそれを誠実なことばで綴ることなのだと実感する。辺野古の問題が取り沙汰される今、静かに沖縄県産本を市場の小さな本屋で売る彼女こそ、私の目のまえの世界を変える存在だった。

    沖縄県産本。私は、その存在すら知らなかった。沖縄は文化や歴史が多く、沖縄県内の出版社による本が沢山ある。しかし、本土から離れていることによる輸送量などがハードルとなり、県内でのみ出回ることがほとんどだそうだ。地産地消の県産本は、それでも成り立つほど需要がある。その県産本を、大きな本屋ではなく牧志公設市場のすぐわき、水上店舗と呼ばれる古い建物の軒先の、人が4名やっと入れるスペースで売っているのが神奈川出身の宇田さんだ。ジュンク堂という大型書店で働いていた宇田さんが、那覇店オープンを機に異動し、ついには古本屋を営むようになった経緯が丁寧に書かれている。

    出張買取も行う宇田さんは、コミュニティナースならぬコミュニティ古本屋さんだ。家に伺って、その方の本を通してそれにまつわる家や町の話を伺う。誠実な積み重ね。めちゃくちゃかっこいい女性。彼女に会いに、また沖縄に行こうと思う。

    −−−−−−−−−−
    私には、そこに張りあえるような知識も在庫もありません。店も狭すぎます。でも、人通りだけはあります。それを活かして、沖縄本の入口になる店をつくりたいのです。

    もちろん私だって一人前の古本屋になりたいし、沖縄本に詳しくなりたいです。でも、たとえ店が広くても、ほかの専門店のように作家や大学の先生を相手にする自信はありません。そのかわりに、ふだん本を読まない人や沖縄本を知らない人に本を売るのも楽しそうだし、それならできるかもしれないと思いました。ほかの店と同じようにはなれないので、この店ならではのかたちを見つけようとしたのです。

    −−−−−−−−−−—
    自分の世界、目のまえの人の世界。小さな小さな世界ですが、確かに一冊の本が変えました。本を読むことで、借りることで、売ることで、風景や行動や関係が変わりました。積み重ねるうちに、もう少し大きな世界も変わっていったかもしれません。

  • 本屋になりたい。

    2回目なんだけど、1回目とは違う部分に惹かれたり、
    違うこと考えたりする。
    それが本の良さなんだよなあ。

    1 お金をどう使うのか
    2 本屋のシステム
    3 新刊書店と古本屋の違いとこれから

    とくに、お金の使い方。
    ただ、欲しい、なになにしたい、ではなく
    そのお金が誰の元に入るのか。
    そのあとどうなるのか。
    そんなことまで考えて使えたらステキだなあ

  • ・仕入れの方法がたくさんあり、自由に値づけできるのが古本屋。
    ・本は天下の回りもの
    ・本は触ると売れる
    ・ひとりだからこそ、採算がとれる仕事、出せる本がある。
    ・誰かの力を堂々と借りるために、お金がある。

  • 宇田さんが周りの方々に助けられながら、小さなお店を続けてきたお話で、遠くから応援したくなりました。高野文子さんの挿し絵も素敵です。

  • 面白かった。身の丈にあった小さい場所で、小さい商売して、暮らして行くのもきっと楽しい。沖縄に住んで好きなことやって、って言うとなんか楽しいことばかりに思えるけど、失敗や嫌なこともきっとあるだろう。どんな本があるのか、いつか行ってみたいな〜♪~(´ε` )

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著者プロフィール

1980年、神奈川県生まれ。2002年にジュンク堂書店に入社し、池袋本店で人文書を担当する。09年、那覇店開店にともない異動。11年7月に退職し、同年11月11日、那覇市の第一牧志公設市場の向かいに「市場の古本屋ウララ」を開店。著書に『那覇の市場で古本屋──ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』(ボーダーインク、第7回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞)、『本屋になりたい──この島の本を売る』(ちくまプリマー新書)がある。現在、古本屋店主として働きながら、さまざまな新聞、雑誌に執筆活動を行っている。

「2018年 『市場のことば、本の声』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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