ヨーロッパ文明の起源: 聖書が伝える古代オリエントの世界 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.68
  • (3)
  • (8)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 136
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480689924

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  神話、聖書、叙事詩、碑文。メソポタミアやエジプトの古代の物語的要素が取り込まれた記録物を基に、ピラミッドやウルのスタンダードなどの考古学的遺物の話も交えつつ、古代オリエント文明の実相を広く描いた一冊。少しまとまりがない気もしたが、メソポタミア文明がシュメール→アッカド→アッシリアと続き、エジプトをも征服したアケメネス朝ペルシアのもと、現在のイランからエジプトまでの領域を支配するオリエントの一大帝国が成立し、それが更にギリシャを支配下に置いたマケドニアのアレクサンドロス大王によって征服される事で、現在の西洋文明における文化的礎となった事が改めて学び直せて良かったです。メソポタミア南部のシュメールの洪水伝説がのちのオリエントの民族の物語にも引き継がれ、ユダヤ教の旧約聖書やオウィディウスの『変身譚』に記された事、ハンムラビ法典が「損害に見合う罰の相場を示しただけの、非常に冷静で客観的な法典」である事など始めて知る事も多く、肩の力を抜いて楽しく読む事ができました。
     個人的にはシュメールについてもう少し詳しく知りたいと思ったので、機会があればまた関連の本を探して読みたいと思いました。あと、ヘロドトスの『歴史』を読みかけているので、それを促す契機となりそうです。ただ通史として知りたい方は、別に山川出版社から出ている教科書的な書籍に一度目を通した方が良いのかな、という気がしました。オリエントの故事を楽しく知りたい方には最適だと思います。

  • 仏教、キリスト教からユダヤ教と遡って、ついに四大文明であるエジプトそしてオリエントにたどりつきました。その文明がどのような成り立ちをしてきたのか、平明な文章でまとめた一冊ですが、ここまでくるとまるで別世界の観があります。

  • オリエントについて、専門家でない人が書いている。内容はさておき、編集は専門家に頼むことはできなかったんだろうか。

  • めちゃくちゃ面白い

  • 面白い!シュメール文明について、紹介されていた本も読みたい。
    大洪水伝説が他にもいくつかある…というのは知っていたけれど、その大洪水伝説の変遷を見ると文化の伝播が可視化されて興味深い。

    それぞれの地理的特徴と都市の在り方も興味深かった。
    例えば、ギリシャは肥沃な土地ではなかった為各都市はそこそこの規模で栄え、人口が増えると他の土地へ植民していったがエジプトはナイル河岸が肥沃だった為外へ出る動機がなかった…等

    古代オリエントや聖書について、ひいてはヨーロッパ文明の起源についてなにか読みたいなら入り口としてぜひ薦めたい。

  • 個人的に今まであまり触れることのなかった古代オリエントについての一冊。思いのほか教科書的な記述であまり楽しめなかったが、エジプトでは一神教を認めるとファラオの聖性が否定され、権威が失墜する危険性があるため一神教と専制君主制は相容れない関係にある等、楽しい知識もぼつぼつ。古代史の復習にもなった。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

池上 英洋(いけがみ・ひでひろ):1967年、広島県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。現在、東京造形大学教授。専門はイタリアンルネサンスを中心とする西洋美術史、文化史。『レオナルド・ダ・ヴィンチ―生涯と芸術のすべて』(筑摩書房)で第4回フォスコ・マライーニ賞を受賞、2007年に開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」では日本側の監修者となった。『錬金術の歴史』(創元社)、『「失われた名画」の展覧会』(大和書房)、『西洋美術史入門』、『西洋美術史入門〈実践編〉』、『死と復活――「狂気の母」の図像から読むキリスト教』(筑摩書房)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(東京堂出版)など著書多数。


「2024年 『パリ 華の都の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池上英洋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×