源氏物語の教え――もし紫式部があなたの家庭教師だったら (ちくまプリマー新書)
- 筑摩書房 (2018年3月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480689993
作品紹介・あらすじ
シングルマザー紫式部が中宮彰子の家庭教師となり、宮中サロンを盛り立てるために書いた源氏物語。
そこには、女子が幸せをつかむにはどうしたらいいのか、自身の苦い思いと経験と、そして知恵が詰まっている。
『源氏物語』は面白い。そこに、「教え」やら「実用性」を見出すほど野暮な話はないだろう。が、今回、野暮を承知で、それを試みた。なぜなら、何が凄いって、大きな事件や動きがあるたび、あ、これって『源氏物語』に書いてあるのと同じ……というようなことがあるからだ。
(「あとがき」より抜粋)
感想・レビュー・書評
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何度も読んだ源氏物語だけれど、新しい視点から色々と知れて、再び読みたくなりました。人との関わり方やかわし方を現代の自分たちの生活にも結びつけて考えていくと、なるほど納得のいくことも多く勉強にもなりました。源氏物語は面白い。
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刊行されたタイミングで買って、ずっと積読になっていた(当時高校生だった長女はたぶん読んでる)。大河ドラマで「源氏物語」ブームなので、思い出して発掘してきた。大塚ひかりさんは、学生時代に『源氏の男はみんなサイテー 親子小説としての源氏物語』を読み個人全訳(現代語訳)も読んでいたので、大体の路線の想像はついていたが、この本はそのなかではかなりマイルドで、当時の読者(貴族たち)にとっての「物語」の立ち位置、女性たちへの教育の実態、この物語に託された紫式部の考え(自らの体験と広い見聞から得た女性が幸せに生きるための教訓)がわかりやすくまとまっているし、それ(自己肯定感や自己決定の大切さなど)が案外いまもまったく古びていないことがわかる。
「光る君へ」は「紫式部日記」や当時の史実に基づきつつ「源氏物語」のさまざまな要素をまひろと道長の物語にちりばめたような構成になっているので、こういう知識があるのもドラマを楽しむ助けになるかも。 -
この本を読むと紫式部のイメージが変わるなぁ〜
単純なので大好きになってしまった。
また野暮なことと言いつつ「教訓」という側面から物語を解いた作者もまたすごい。
とにかく!!
女はつらいよ、でも…
自分だけは唯一の自分
他人にとっては誰かの代わりでも自分だけは自分なので大切にすること
人の幸せは人が決めることじゃない自分が決めること
(難しいけど)
人として扱ってくれる人といること
人は変わること
とまぁ、不変的なことなんだけどそれがまぁいかに大変か。正直、こんなにも過去の偉人から励まされるとは思わなった。
その紫式部の思い、当時は自分の子供世代に思いを馳せて書いたのかもしれないけど、1000年後に生まれた私もなるほどと共感しながら読み進めた。
そして昔も今も人の営み、男女の営みのベースはあまり変わっていないんだぁということに少し驚く。もちろんいろんな人がいることは承知の上で。
ただ声を上げるようになったということだ。物語の中でも声を出せなかっことが現実で声をあげられるようになった。ここまでで1000年(笑)長いな…
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2020/08/05
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高校時代の古典の時間が思い出された。
すっかり人物相関図は忘れてしまっていたけれど、それぞれの立ち位置で生きるための駆け引きがこんな風にあったとは!
源氏物語に現代に通じる教えがあるという考察は、面白味があった。 -
紫式部が源氏物語を通して伝えたかったことをわかりやすく解説している本。
今年の大河ドラマ「光る君へ」の影響で気になって読み始めたが、当時の文化(通い婚など)を踏まえて源氏物語の描写がどういう意味を持つのか、が描かれており、大河を観ているとより楽しめる。
紫式部は彰子の教育係という立場ではあったものの、それは決して立場が強いということではなく、人数(ひとかず)にも数えられないようなものと知り、私が思っていた以上に当時のヒエラルキーがあったことに驚いた。
またパワハラだけでなくセクハラもかなりあったことにも驚き。何となく平安時代は雅で煌びやかなイメージしかなかったが、源氏物語には女性を”まわす””誰かの代わりに犯す”といった表現が堂々とセリフとして描かれているなど、女性にとって生きづらい時代だったと思う。社会的運動として改善され始めている現代に生まれた私よりもずっと苦しかったはず。
「そんな時代、源氏物語では女性自身が強く、自立する必要性を「男は女の往生を妨げる罪深い生き物」として書かれている」という著者の表現はかなり興味深かった(「女は男の往生を妨げる罪深い生き物」として描かれる仏教説法との対比)
「パワーカップル」や「キャリアウーマン」などの言葉が流行ってきたのは最近。これらの言葉は経済的な自立に近い意味だとは思うが、女性の自立という観点では1000年も前から同じことが言われていた。
精神的な面で言えば、「親や男に決断を委ねるな」「他人から見てダメでも落ちぶれて見えても、自分自身がダメなわけでは決してない」という教えは今にも通ずる。紫式部自身もそんな考えを持ちつつ、「不倫」をテーマにした源氏物語を書いている。
平安時代は一夫多妻制で、誰かの身代わりとして愛されることからも、「結局他人にとってあなたは代わりある存在である。でも、あなたにとってあなたの代わりはいない、かけがえのない存在である」ということは源氏物語からの大切なメッセージである。
源氏物語において、なぜあんなに光源氏が関係を持つのか不思議だったが、そういうメッセージがあったのか、と考えると腑に落ちる。
“わりなしや人こそ人と言はざらめみづから身をや思ひ捨つべき"(理不感ね。他人が私を人間扱いしないとしても、自分で自分を見捨てていいものか。いいはずがないよね)(『紫式部集』)”
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紫式部に関連するものだけでなく、古文にも関心を持つことができた。昔読んだ「あさきゆめみし」もまた違った読み方ができるかも。
今まで古典は苦手意識があり、どこか遠い物語のような感覚だったが、いい意味でも悪い意味でも同じ人間。根本は1000年前から変わらないのだと思い、親近感が湧いた。大河も後押しして色がついて来た感覚が得られておもしろかった。
自分が学生の時に出会えていたら、もう少し古典も頑張りたいと思えたかもしれない。
若干同じ内容の繰り返しに感じるページもあったものの、全体的にはかなり興味深く読むことができた。 -
源氏物語は読んだことがないが,登場人物のうち既知の人もおり,それなりに楽しめた.女性が男性社会の中でしたたかに生きていくノウハウを教えるために,紫式部が執筆したという説は非常に面白いと感じた.貴族社会では身分が重要な価値を持っていたようで,その中で巧みに生き延びるすべを教えてくれる由.理想的な女やダメな女,不幸な女など現代に通じるものが多い.軽妙な訳文が楽しめた.
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かけがえのない人など居ないは
こと恋愛に関していえば年齢を重ねたからこそ分かる言葉なのでしょか。私の若い頃は同僚の女の子は「彼しか居ない」
と断言してて今は全く会ってないしどんなか分かりません。
仕事の事は思い出したのは過労死した広告代理店の女の子の事で彼女は聡明だからドロップアウトした自分の将来が見えてしまったんじゃないかと思います。
NHKのドラマ「半分、青い。」は最終的に主人公と幼馴染みが結ばれるみたいですよね。じゃあ運命の人だったんだと・・。
私は源氏物語は金子光晴と同じで面白いと言えば面白い。
つまらないと言えばつまらないって感じです。
話が纏まらずすみません。 -
第12回毎週ビブリオバトル
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2018/10/19
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やりたい事は分かるけど構成は考えて欲しかった