トーベ・ヤンソン・コレクション 1 軽い手荷物の旅

  • 筑摩書房 (1995年10月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480770110

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは自由や老い、旅であり、短編集の中で描かれるのは、孤独で不穏な日常の中でも人との繋がりを求める姿です。特に、植物園での二人の老人の出会いのエピソードは印象的で、公共の椅子を巡る微妙なやり取りを通...

感想・レビュー・書評

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  • さまざまなかたちで〈旅〉をテーマにした短篇集。

    トーベ・ヤンソンの小説、面白ッ!無駄のない簡潔な説明で知ってる人のように性格が浮かんでくる人物描写は彼女のイラストのようだ。たっぷりの皮肉が込められたユーモラスで軽い語り口。会話も面白い。環境破壊問題が物語に組み込まれているのもさすがだし、それを語るのがめっちゃ生意気な子どもだったりする。以下、特に気に入った作品について。

    ◆往復書簡
    日本の少女から届く手紙。ムーミンのアニメ放送時、実際にこんなファンレターがたくさん来たんだろう。会いにくることにはノーと返しているけれど、トーベには彼女の苦しみもわかっていたのだと思う。

    ◆八十歳の誕生日
    八十歳にして美術界を牛耳る巨匠の女性アーティスト、という祖母のキャラが迫力あって面白い。誰かのミューズではなく、自立して批評家を恐れさせている祖母。アーティスト一家ならではの造形という気がする。

    ◆思い出を借りる女
    ヒステリックで感情的な女と冷静で余裕綽々な女、という二人の印象が会話を通じてじわじわと反転していく。こわい。ユーモア小説として書いているような気もするが、エレベーターの描写とか完全にホラー。タイトルを見返したときにヒィッとなる。

    ◆エデンの園
    スペインを訪れたイギリス人の主人公が、女二人の隣人トラブルに探偵気分で首を突っ込んでいく。並行して主人公もかつて親密な関係にあった女性に仲直りの手紙を綴るのだが、送る前に相手は亡くなってしまう。そこで隣人トラブルについてもどちらが悪いのかという野次馬的な好奇心が去り、とにかく平和的に仲直りさせる術を考えだす。隣人同士の喧嘩がエスカレートした本当のわけも、主人公と親友が疎遠になった理由も明かされない。結末はこのコミュニティの仲間に入りたいかなぁ、と疑問に思ってしまったが、同性同士のめんどくささとどうしようもなさをユーモラスに描いて面白かった。

    ◆植物園
    こんなに真正面から偏屈じいさん同士の友情を描いた小説って初めて読んだかも。全世界の偏屈じいさんに読んでほしい。お互いに仲良くなりたくないと思っている者同士だからこそシンパシーを感じ始めるのが、表題作「軽い手荷物の旅」と真逆。老人ホームに嫌気がさしているじいさんと、家族のなかでの存在感の薄さを自覚しているおじさん。でも小さな野原を守ったことが誇りなおじさん。じいさんが死なないでちゃんとベンチに戻ってくるのもいい。

  • トーベ=ヤンソンの短編集。
    オチのない話が多い印象。
    読んでいてモヤモヤするので途中で脱落。

  • ムーミンの作家であり画家のトーベ・ヤンソンによる大人向け短編集。

    詳しい村や島の風景の描写があるわけじゃないのに、登場人物の会話やふとしたしぐさで小さくて田舎だけど魅力的な清清しさが伝わってくる。

    「往復書簡」は日本人の少女と作者トーベ・ヤンソンとの手紙のやり取りだけの短編。

    作者にあこがれる少女の気持や、毎度の「俳句を送ります」とか「詩を送ります」とか(実際にその俳句や詩のほとんどは描写されていない)おくゆかしいなかわいいな、と思った。
    ちょっとしんどいラストだったけど。

    「思い出を借りる女」は読んでるほうがちょっと緊張感持つというか小さく混乱するような話の運び。

    そのまま読み終わってもいいけど、もしかして…っていう仕掛けに気付くと微妙な気持になる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ヤンソンの優しさの感じって、「植物園」がよく表されているような気がします。
      ヤンソンの優しさの感じって、「植物園」がよく表されているような気がします。
      2012/09/19
    • 美希さん
      >nyancomaruさん☆

      そうですね~。
      思いっきりムーミンフィルターで最初読んでたので辛口の作品は最初驚きましたが、どちらも好きです...
      >nyancomaruさん☆

      そうですね~。
      思いっきりムーミンフィルターで最初読んでたので辛口の作品は最初驚きましたが、どちらも好きです。
      2012/09/20
  • 死がテーマの話が多かった気がする

  • NHKの本棚を紹介する番組で、誰かの蔵書にこの本があった。タイトルに目を奪われて図書館で借りてみた。トーベ・ヤンソンのムーミン以外の作品を読むのは初めてだと思う。
    タイトルの「軽い手荷物の旅」を裏切る全く軽くないテーマの小品が詰まっている。どれも読んでいると苦しくなる(月並みな言葉で言えば)人生のような面白さがある。
    度々現れる「イデー」という言葉が、おそらくこれらの物語の肝かと思う。
    「見知らぬ街」と「植物園」を好ましく読んだ。「ショッピング」はSF映画のプロローグのような趣き。その他は大なり小なり読み返すのを躊躇う苦しさがあるが、中でも「思い出を借りる女」には怖さがある。

  • 予想しているよりずっと文学してた。

    翻訳の調子のせいか、なんとなく教科書にでも載ってそうな感じ。

    いつかもう一度読みたいですね。

  • ムーミンの作者で知られるフィンランドの作家トーベ・ヤンソンの短編集

    「軽い手荷物の旅」など全12話
    タイトルとムーミンのイメージから、牧歌的なものを想像していた

    描かれていた物語は全て、何か不穏な匂いの漂うもので、全体の一部をスッパリ切り取ったようなお話ばかり。

    探究心旺盛な時は、一文字ごとに想像力を膨らませ、勝手に物語を夢想してしまう。
    疲れている時は、なんのことだかさっぱりわからないまま。

    不思議な国フィンランドってところですか……

  • ムーミンの原作者として有名なトーベ・ヤンソンの大人向け短編集。「旅」をテーマに綴られる様々な人の心の描写は、写実的で俯瞰した距離感を保つと同時に、当人の感じているもどかしさや抉られるような痛み、例えようもない戸惑いが手にとるように感じられる切実さも併せ持つ。

    語り手と作家の内面に深くひたすらに入り込んでいくような内省的な文章は、とても私好み。ただ、それゆえに一度では噛み砕ききれない部分も多々あって、今後何度でも読み返すことになる予感がする。

  • 図書館にて読了。タイトルと同名の短篇に出てくる語り手(主人公)の人柄が、私はとても好きです。良い人なんですが、とってつけたような善人ではないところがなんとも...。どういう状況かわからないけど不穏な空気が漂っていたり、ちょっと情緒不安定な人々が叫んでいたり、なんとなくいい関係だなと感じたり、一冊で色々な人間模様を楽しめました。

  • 12編の話の切り口が、まったく違っていて
    読む楽しさがありました。
    どの話も、余韻が残ります。

  • 12編の短編集、ベスト1の感想。

    『往復書簡』
    日本人ファンからのファンレター
    1通目には「手紙を書いたことを許してください。」と
    作家にとても気を使っているところもみられる
    2通目は誕生日に送られた絵の御礼
    3通目はファンレターの返事の催促…
    どんどんエスカレートして「いつ会いに行っていいか」
    と尋ねるようになり、最後は自分の事情で会いに行けないと
    いう手紙で終わる

    ファン心理がよく表れている

    短編集全体としてはムーミンの作者だなーと思わされる
    ところがいくつもあった

  • よりどころのない人たちの旅に関する短編集。そして、私たちがいつでも目に入るものすら見過ごしてきたことについて。

  • 2014.09.10.読了

    不思議な世界
    なんだか読んでいて居心地が悪いのだが
    また次が読みたくなる
    本当に不思議

  • 長いこと積んでいて漸く読んだ一冊だけどとてもよかった。どの短編もメランコリックな内容で孤独を謳いながらも人との繋がりを疎かにしていない。北欧の寂寞とした風景も彩りを帯びて力強い生命を感じる。虚飾を捨てたストイシズム、その境地に達するのは難しいけど、いつか軽い手荷物を纏めて行く先のない旅をしてみたい。祖父江慎の装幀がとても素敵でシリーズ全巻揃えたくとも既に絶版。なして放っておいたのだろう‥後悔。どれもが逸品揃いの秀作だけど最後の2編「鴎」と「植物園」が飛び抜けて素晴らしい。冷ややかで温かい。トーベの魅力。

  • さらりと読めてしまうものから心をひどく掻き毟られたような気分にされるものまで12篇の短編集。表題作「軽い手荷物の旅」は(個人的感想では)その中間に位置する。「体育教師の死」では思わず頭を抱えた。一番好きだったのは「ショッピング」。漂う終末の空気、そして解放感。

  • ムーミンシリーズでおなじみのトーベ・ヤンソンが描く大人のための12編の短編集。「途上にあること」「根付かないこと」「自由であること」をテーマにした〈旅〉を題材にしている
    <往復書簡>
    トーベ・ヤンソンのファンの日本人タミコ・アツミから来た手紙、という設定の小編。
    <夏の子ども>
    美しい自然に囲まれた田舎に住むバッケン一家のもとに、都会からエリスという少年が訪れた。エリスは自然破壊や核戦争の恐怖をとうとうと語り、家族を不快にさせてばかりいる。そんなエリスがバッケン一家の長男トムと二人きり、小さな島に置き去りにされることとなり・・・。
    <八十歳の誕生日>
    同じ公園の樹だけを描きつづけた画家の祖母が、八十歳の誕生日パーティーを開いた。そこに招かれたヨンネとわたしは、三人の異彩を放つ男たちに出会った。
    <見知らぬ街>
    初老の男は孫夫婦の招待で、旅をすることとなり、見知らぬ街で一夜を過ごすこととなった。そこで偶然知り合った青年は、親切にも部屋に泊まっていけという。
    <思い出を借りる女>
    十五年ぶりに戻ってきたステラは、自分が過去に借りていた部屋に住むヴァンダを訪ねた。ステラにとって大切な思い出を、ヴァンダは自分のことのように語る。
    <軽い手荷物の旅>
    人からやたらと心配事を相談される、ついつい親切に世話を焼いてしまう自分、そんなしがらみから逃れたくなった男は、定年退職を機に、船旅をはじめたが。
    <エデンの園>
    名付け子エリザベトを訪ねた女性教授ヴィクトリアは、エリザベトの不在を知る。しばらくエリザベトの家に滞在することになったが、そこに訪ねてきたジョゼフィーヌに、隣人との諍いを相談される。
    <ショッピング>
    あれが起きたとき、難を逃れたミリイとクリスチャンは、狭い部屋に身を隠し、人のいない店から持ち帰った食糧で生活していた。あいつらが襲ってくる恐怖におびえながら。
    <森>
    父が亡くなり、母と離れて暮らすことになった幼い姉弟。二人の住む小屋のそばには、とてつもなく大きな森があった。母から送られてきたターザンの本を読み、弟はターザンの息子になったつもりで森に深く入っていく。
    <体育教師の死>
    友人宅に招かれたアンリとフロー夫妻だが、フローはその春に自殺した体育教師のことが頭から離れず、神経を研ぎらせている。
    <鴎>
    精神を病み、いったん学校を辞めた教師アルネは、妻エルサの父親が残してくれた孤島の別荘に二人で滞在することにした。そこは鳥たちの島。エルサには、カシミールという顔見知りの鴎がいて、アルネは別荘近くに巣を持つ毛綿鴨に親しみを感じはじめた。
    <植物園>
    植物園に通うことが趣味の老人「おじさん」は、ある日、お気に入りのベンチが別の老人に占拠されているのを見て腹を立てる。だが、じょじょにその老人と心を通わせることになっていく。


    著書名の「軽い手荷物の旅」は、船旅中、他の人と話さずひたすら読書をしようとする、が、上手くいかない男性のお話だっけ?
    なんとなく、これはよかった気がする…
    でも、全体的には「ん~…」ってやつが多かった…かも…?

  • 北欧はいいですね

  • @motiarukeruniwa さん


    以下、ブログよりレビュー
    http://raffiner.blog70.fc2.com/blog-entry-1333.html

    読み終わるのが勿体なくなって、しばらく中断して。
    その幸せな気持ちの余韻とともに過ごした。

    読んでいる時間をはみだして、心を満たしてくれた。

    孤独と、疎外感。そして不安。
    登場人物の誰もが、それらに悩まされながら。
    克服しようというのではなく、それらと共に生きている。

    諦めているのではない。目をそらしてもいない。

    絡まった糸を解きほぐさぬままに、じっと見つめるように。
    糸が描く模様をそのまま、景色として味わうように。

    (2012.1.7)
    著者は「ムーミン」で有名なフィンランドの児童文学作家。
    大人のための小説も書いていて。シリーズで翻訳されています。
    これは、その第一巻。まだ読めると思うと嬉しくなります。

    内容についての補足。表題作を含め12篇の短編集です。
    以下、特に心に残った作品の簡単な感想を。

    「植物園」という作品の中で描かれる、友情が好き。
    「往復書簡」にて語られる、孤独の姿が心に沁みとおる。
    「夏の子ども」が幼い頃の自分に似ていて、苦笑い。
    「軽い手荷物の旅」の主人公、少し私に似ているような。

  • このシリーズ、全部読みたい。ないんだよねえ。

  • ムーミンの著者。こういう作品もあったんだ・・・
    でも作中のはしばしに伺える ムーミンの登場人物達・・・・

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著者プロフィール

1914年、ヘルシンキ生まれ。画家・作家。父が彫刻家、母が画家という芸術家一家に育つ。1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。66年、国際アンデルセン賞作家賞、84年にフィンランド国民文学賞を受賞。主な作品に、「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)、『彫刻家の娘』『少女ソフィアの夏』(以上講談社)など。

「2023年 『MOOMIN ポストカードブック 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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