ミシェル・フーコー講義集成〈8〉生政治の誕生 (コレージュ・ド・フランス講義1978-79)

制作 : Michel Foucault  慎改 康之 
  • 筑摩書房
4.58
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本棚登録 : 82
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480790484

作品紹介・あらすじ

健康・衛生・出生率・寿命・人種などにより政治実践に対して提起される諸問題の合理化を試みる"生政治"を考察するために-ドイツ的形態の新自由主義およびアメリカ新自由主義を実証的に展望し、"ホモ・エコノミクス"の出現へと遡って市民社会を独自に分析する。現代史にフーコーが大きく踏み込んだ稀有な講義。"社会科学のアルケオロジー"の到達点。

感想・レビュー・書評

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  • 「性の歴史 知への意志」(1976) に始まり、コレージュ・ド・フランスの講義では、「安全・領土・人口」(1978)ときたところで、いよいよ「生政治の誕生」が論じられるはずであった講義ですね。

    が、なかなか本題には入らずに、古典経済学の「経済人」の概念などを検証しつつ、第2世界大戦後のヨーロッパの自由主義、そして当時のホットなトピックでだった「新自由主義」の議論が展開される。

    フーコーは、過去の文献の読解を通じて、現在とは違うディスクールが存在していたことを示すことで「現代」を浮かび上がらせるというアプローチが主で、インタビューとかを別として、近現代のことに直接言及することは稀である。

    そういう意味では、とてもレアな講義ですね。

    大学時代は経済学を中心に学んだ私としては、「経済人」や「自由主義」の話は、親しみが持てるテーマ。

    そして、「生権力」が、「福祉国家」を生み出していくのだが、その「生の権力」が実は「死の権力」、つまり全体主義に転換可能なものであることが遠巻きに語られて行く。

    かなりスリリングな議論なんだけど、フーコーには、いわゆる「生権力」「生政治」について、正面から話して欲しかったな〜。

    というのは、翌年の「生者たちの統治」では、あっさりと問題系は「真理と主体」に変更されて、なんと初期のキリスト教の文献の読解に変わるわけですからね。

    で、この初期キリスト教の読解の話しから、現代に戻って、「生政治」の話に接続されるのかと思っていると、さらに時代を遡って、ギリシア、ローマ時代の文献の読解になっていくのだけど、その議論も完全には議論されないまま、フーコーは他界してしまう。

    というわけで、フーコーの70年台半ばからの最後の10年間の議論はほんと面白いし、推理小説的なスリルもあるな〜となんかマニアックなところまで読んでみたくなるわけで、そうしたモヤモヤの中心にある講義ですね〜。

  • 国家と良き貧困者のはざまで ミシェル・フーコーとベーシック・インカム
    (ピエール・ランベール、訳:逸見龍生)
    『ル・モンド・ディプロマティーク』日本語・電子版
    http://www.diplo.jp/articles13/1305foucault.html

    筑摩書房のPR
    「新たな統治術としての自由主義の問題を具体的現在に焦点を定めて説く白熱の講義
    西欧における統治テクノロジーの歴史的変化を、政治経済学の登場からドイツおよびアメリカの新自由主義に至るまで、現代史の領域にも大きく踏み込んで分析する。

    健康・衛生・出生率・寿命・人種などにより政治実践に対して提起される諸問題の合理化を試みる“生政治”を考察するために―ドイツ的形態の新自由主義およびアメリカ新自由主義を実証的に展望し、“ホモ・エコノミクス”の出現へと遡って市民社会を独自に分析する。現代史にフーコーが大きく踏み込んだ稀有な講義。“社会科学のアルケオロジー”の到達点。」
    筑摩書房 ミシェル・フーコー講義集成 全13巻
    http://www.chikumashobo.co.jp/special/foucault/

  • モグっていた大学院の授業で使ったが、新自由主義について経済・政治だけでなく社会の病理にまで繋げて考えさせられた一冊。

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著者プロフィール

1926年フランス・ポワティエ生まれ。高等師範学校で哲学を専攻、ヨーロッパ各国の病院・研究所で精神医学を研究する。1969年よりコレージュ・ド・フランス教授。1984年没。主著に『精神疾患とパーソナリティ』、『狂気の歴史』、『臨床医学の誕生』、『言葉と物』、『知の考古学』、『監視と処罰』、『性の歴史』がある。

「2019年 『マネの絵画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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