という、はなし

著者 :
  • 筑摩書房
3.73
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本棚登録 : 748
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480803955

感想・レビュー・書評

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  • 個人的に、とてもスキ!な24このやさしいイラストと1つのイラストに3ページのユニークな文章で構成された本。

    どうやらイラストレーターのフジモトマサルさんが描いたイラストに合わせて吉田篤弘さんがアンサーの形で文章を添える、というバトンの受け渡しのような企画だったらしい。
    なるほど、そういうことかぁ!とあとがきを読んで納得。
    文章は、読み始めはエッセイかな?と思いきや、どこか童話チックで、哲学的でもあり、そうでもなかったり、でもなんだか心になじむ。そしてオチがよき。これを物語と読んでいいのかはわからない。不思議。物語、という解釈でいいのかな。「という、はなし」なのだから物語か。良き。

    「読書の情景」というテーマでイラストも文もかかれているので、どこを読んでも本ひいては読書への思いに溢れている。
    そのようなテーマだったとは全く知らずに読み始めたけど、読書の日、そして深秋の夜に読むのにふさわしい本だった。と嬉しくなりました。
    全体的に好きだけど、特に好きだなと思った「はなし」は、「夜行列車にて」「背中の声」「読者への回復」「虎の巻」「眠くない」「影の休日」「背中合わせ」「日曜日の終わりに」…あたりですね。と書いてみて、ほとんど半分じゃん!笑と自分で笑ってしまった。うん。好きなんです。

    さらに好きなはなしの好きな文章を一部備忘録がてら引用させていただきます。
    少しのネタバレも嫌という方はご注意ください。





    …そもそも自分が何者であったのか、ようやく思い出す。「読者」であること。肩書きはそれだけでいいのだ。ー読者への回復より

    「しかし、わたくしの休日が長くなればなるほど、人々が<陽>と<笑い>を忘れます。…<影>は<陽>があってのもの。人があってこそのものです。」
    だからやさしい<影>は、雨がすぐにやむことを願って、さっと読み終えることのできる薄手の本しか読まないのです。ー影の休日より

    本は死なない。
    どうやらこの一行を誰かに伝えたくて、またあたらしい本をつくる。毎日、あたらしい次の本を想い、書いたり、編集したり、装幀したり、印刷したり、販売したり、宣伝したりする。
    本は人よりずいぶん長く生きる。ー恋と発見

    以下、備忘録がてら各話のタイトルを。

    夜行列車にて
    背中の声
    読書への回復
    灯台にて
    虎の巻
    待ち時間
    地上の教え
    何ひとつ変わらない空
    居残り日録
    眠くない
    かならず
    影の休日
    寝静まったあとに
    話の行き先
    寝耳に水
    ひとり
    背中合わせ
    とにかく
    海へ
    希有な才能
    日曜日の終わりに
    暗転
    時間を買う
    恋と発見
    あとがきのまえがき
    あとがきのあとがき



  • フジモトマサルさんの絵に吉田さんが文章を書いたという、イラスト先行の話たち。
    まず、フジモトさんのイラストがどれも可愛い!動物たちが様々なシチュエーションで本を読んでいるイラストで、動物なのに本を読む姿がとても様になっている。そのイラストに付いた吉田さんの文章がどれもイラストにぴったりで、どちらが欠けても物足りないと思うだろう。
    色々な場所で、色々な本を読みたくなる。「とにかく」が特に気に入ってます。

  • 1度目は図書館で借りて読んだのですが、とてもすてきな本なので書店さんで買ってきました。
    今回は2度目。

    フジモトマサルさんの描く「読書の情景」に、吉田篤弘さんがお話を添えたとのこと。
    24編の読書にまつわる絵とお話、何度も何度も読みたくなります。
    読後「もっと本を読みたい!」という気持ちになる1冊です。

  • やっと読めました~!
    おもしろかったです!

    本が好きな人はきっとみんなツボなはず。
    吉田篤弘さんらしいユーモア溢れる一冊です。
    イラストに対して作品を書かれたということでびっくりしました!

    フジモトマサルさんのイラスト、動物たちがとてもかわいいです。

  • 本の好きな方は是非読んでください。「静けさと余裕はこの世で最も高価なものになりつつある。せめて本を読むときくらい、なんとかならぬものか」から始まる短編24集。先にイラストがあり、そこに添えられる文章は柔らかくウィットに富んでいる。本好きであるが故のジレンマ、ふと感じるの「なぜ」の疑問。吉田さんの言葉に、フジモトさんの絵に、答えの一例を教えてもらえました。病名は活字中毒、雨の日はお休みの影をさがしに。運気は上昇。これ以上は秘密。

  • 読書って、もしかしたら、何を読むかよりも、どこでどう読むかってことの方が大事なんじゃないかしら?と思ってしまう。
    フジモトマサルの絵を見ているだけで、自分がそこで本を読んでいたら・・・と想像が膨らみます。
    「読書の時間」って、贅沢だよなぁ。

  • イラストに合わせて話を書かれた本♫
    絵と文がベストマッチ!

  • 本書を読みたいと思ったきっかけになったレビューにはちゃんと書いてあったのに、自分が読む時にはそのことはすっかりどこかへ行ってしまっていたので、あとがきを読んで新鮮に驚いてしまった。
    絵が先だったということに。

    お話が面白くて楽しくて挿絵もとても良いなあ、と思って読み終わったら、著者曰く挿文だとのこと。

    それを知ってまた読み直したので二度美味しかった。

  • 某読書サイトのお友達オススメ。文章もイラストもスッゴク良い。読書や文章に纏わるエッセイが多く、フジモトマサルさんの愛嬌のある動物の絵。最初の黒ネコちゃんが列車の窓際で読書してる絵なんかハート鷲掴み♪とても好みでした。普通は文章が先にあって、それに合う挿絵を添えるパターンですが、この本は逆だそうで。でもしっくりはまってます。図書館本でしたが、これは購入決定!

  • 最初はなかなか読み進まなかったが、途中からだんだん面白くなってきた。ふふっと思いながら読んだり不思議な気持ちになったり。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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