とりつくしま (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 139
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804075

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  • 出版社/著者からの内容紹介
    あなたは何に「とりつき」ますか?
    死んでしまったあなたに、とりつくしま係が問いかけます。
    そして妻は夫のマグカップに、弟子は先生の扇子に、なりました。
    切なくてほろ苦くて、じんわりする連作短編集

    2008.8

  • 【あなたは何に「とりつき」ますか?死んでしまったあなたに、とりつくしま係が問いかけます。
    そして妻は夫のマグカップに、弟子は先生の扇子に、なりました。
    切なくてほろ苦くて、じんわりする連作短編集】

    初、東直子作品。
    【とりつく】って言葉を聞いて嫌な気分になる人が多いと思いますが、
    この話に出てくる"とりつく"人達は、恨みでとりつく訳ではなく、
    皆残してきた人を心配してや、自分が想いを寄せる人を見守っていたいという気持ちでとりつくのであり、
    全く嫌な気分にはなりませんでした。
    それどころか自分も一緒にその人の気持ちになったり、
    自分だったらどうだろう?など色々考え、
    読後はずっと不思議な感覚に浸りました。
    どの話もその人がそこにとりつく理由がすごく伝わり、どの作品も愛おしかった。
    短編集でどの話も良かったなんて私には珍しい事だったし、
    いつもとは違う意味で引き込まれるものがありました。
    自分がとりつくとしたら・・・
    実はまだ答えが出ていません(笑)
    100人居たら100通りの答えが出てきそうですよね。

  • 選ばれた言葉で綴られた、ゆったりとしたお話。「、」の多さでゆったりさもアップ。

  • すぐ読めた。

  • 亡くなってしまった人が 何かにとりつくことができる
    という 短編集。
    とても 読みやすく 感情移入もでき よかったです。

  • 死んだ後に何かにとりついて自分が死んだ後の日常をみまもれる、という話。
    生き物はダメだったはず。無生命体ね。
    すぐに無くなってしまうものにとりつく人もいれば、長く残る物にとりつく人もいる。
    それぞれ思うところがあってそれを選んだんだと思うと、時間の長さが単純に、想いに比例するわけじゃないんだと思う。

    死んだ人だからかな。見ているだけで何も出来ないのをもどかしい、と思うよりも最後に確認できて良かった、という幸運を感じる話。
    死後の静かさと優しさがある話。

  • 死者がそれぞれこの世の「モノ」にとりついて、自分の生きた世界に戻るという、連作短編集。

    どの話も切なくて、おかしくて、じんわりと温かい。一つ一つ、すごくいい作品だなと思う。
    気が抜けるような間抜けな表情をした蝶々(?)の表紙も、妙に気になる。一匹江戸時代のがいるのが、笑えた。

    「名前」もネームプレートにとりついたおじいさんが滑稽で可愛らしかったけど、「トリケラトプス」「青いの」「マッサージ」が、なかでも良かった。愛する夫、母親、家族への想いが溢れていて、優しくて、優しいからこそ、やるせなくなる。
    「トリケラトプス」は特に好き。夫の愛用するカップになった妻が、いじらしい。

    「あたしは歩の大好きな、トリケラトプスだよ。ツノが三本ある。ここが、いいんだよね。
    さわって、歩。」

  • たぶん、この本を読んだほとんどの方が
    「自分だったら…」と考えるのではないだろうか。

    未練を遺して死んだ者、突然訪れた死を受け入れられずにいる者。
    そうした死者の魂に「とりつくしま係」が
    「あなたは何にとりつきますか?」と訊ねる。

    短編で読みやすい。
    文章にも余計な装飾がない。
    だから、心の揺れも 自分なりの思い入れをしてしまう。

    息子の野球の試合でロージンになる母。
    いつも遊んでいた公園のジャングルジムになる幼い男の子。
    夫が愛用していたマグカップになる若い妻。
    妻が書きしたためていた日記になる夫。
    尊敬していた師の扇子になる若い女性。
    憧れの先輩の彼女のリップクリームになる女の子。

    想いを乗せたまま消えてゆくものもあれば、
    そこに残るものもある。

    しかし、死者が見る「自分がいなくなった後」の現実は
    悲しいほど現実的だ。

    いや、生きていたって そんなことゎしょっちゅう起こりうる。

    「自分」がいなくなっても
    「時間」は確実に 周りの人間を変えてゆくのだから。

    そんなもの 見ないですむほうがいい。とアタシは思う。

  • <table style="width:75%;border:0;" border="0"><tr><td style="border:none;" valign="top" align="center"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480804072/yorimichikan-22/ref=nosim/" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/31GWdFutwqL._SL160_.jpg" alt="とりつくしま" border="0"></a></td><td style="padding:0 0.4em;border:0;" valign="top"><a href="http://blog.fc2.com/goods/4480804072/yorimichikan-22" target="_blank">とりつくしま</a><br />(2007/05/07)<br />東 直子<br /><br /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480804072/yorimichikan-22/ref=nosim/" target="_blank">商品詳細を見る</a></td></tr></table>
    <blockquote><p><strong>あなたは何に「とりつき」ますか?
    死んでしまったあなたに、とりつくしま係が問いかけます。
    そして妻は夫のマグカップに、弟子は先生の扇子に、なりました。
    切なくてほろ苦くて、じんわりする連作短編集</strong></p></blockquote>
    「ロージン」 「トリケラトプス」 「青いの」 「白檀」 「名前」 「ささやき」 「日記」 「マッサージ」 「くちびる」 「レンズ」 番外編「びわの樹の下の娘」

    この世に思いを残して死んだ者に、もう一度一方通行の現世とのかかわりを持たせてくれる「とりつくしま」係をキーとする連作。
    命のないものを「とりつくしま」として契約を交わし、現世に帰ることができるのだが、こちらから働きかけることはもちろんできないし、そこに自分がとりついていることは誰にも知られることはない。ただそこにとりついて起こることを見ることができるだけである。というのがこの物語の要である。
    もどかしいことこの上ない。愛する人の役に立ってやることもできないし、危機を知らせることもできない。ただ見守るだけ。
    それでも、心を残して死んでいく者たちにとってはかけがえのないひと時だったのだろうと思われる。「とりつく」というとおどろおどろしい感じがするが、「しま」がついただけでなにやらちょっぴり情けないような人間臭いような感じである。読後、つい辺りを見回してしまいそうになる。

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著者プロフィール

1963年、広島生まれ。歌人、小説家。絵本や童話、イラストレーションも手がける。歌壇、角川短歌賞選考委員。東京新聞歌壇選者。「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、『いとも森の家』で第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』、エッセイ集に『短歌の不思議』、穂村弘との共著『回転ドアは、順番に』『しびれる短歌』がある。

「2019年 『春原さんのリコーダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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