とりつくしま (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
3.50
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感想 : 146
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804075

感想・レビュー・書評

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  • 死んで気が付くと「とりつくしま係」にいた。
    どうやら現世にもどって、何かにとりつくことができるらしい。
    ただし、魂が入ってるものはだめ。
    だれか人間とか、狩ってるペットとか、野生の動物とか。
    モノでないとだめ。

    現世にのこしてきた人を見守りたいという気持ちで、みんな何かにとりつく。
    もうすぐ野球の試合がある息子の、ロージンになる母。
    使うとすこしづつ母は空気にとけて消えていく。
    けど、頑張る息子の一番近くで見守りたかった・・・

    とか、

    図書館でいつも笑顔で接してくれた若いスタッフの胸元の名札になる、おじいさんとか。
    これはちょっとエロイ意図はなかったんだろうか・・・とも思う。

    妻の日記帳になる夫。

    母の補聴器になる娘。

    等など。
    母の補聴器になる娘は最後マジで泣いてしまって、これは外で読んじゃだめなやつだと、家に持って帰って読むことにしたw

    日記帳も辛かったなぁ・・・

    書道の師匠の扇はなんか粋でよかった。

    自分なら何になるか考えた。家族の元にいたい。でもすぐに消えるものや壊れるものはいやだ。
    なるべく長く家族といたい。
    で、リビングの天井で見守る?っておもったけど、それはいらないモノまで見ることになりそうだ。家族の秘密を暴きたいわけではない。
    あと見えているのに触れられないのも辛いよね。
    だから娘のお布団になることにした。
    1日中一緒じゃないけど、ぎゅっとしてあげられるもんね。
    ただ、夏になったらかたずけられちゃうんだよね。
    ま、それはそれでいいか。

  • 切ない…。
    中でも「日記」「ロージン」「白檀」が心に残った。

  • 死んだらなにかに取り憑いて生者の世界に戻ることが出来るならあなたは何に取り憑く?思い出のマグカップ、カメラ、ジャングルジム、扇子、名札、リップ…そこから見る世界は。思い残した人に会えて幸せ?死者の思いを断ち切り前に進む様は死んだ者にとっては悲しいこと?私はここにいるよ!とさけんでも伝わらない。いずれ捨てられるかもしれないモノたちに取り憑いた死者たち。救いのない話もあったし爽やかになるような話もあった。何にしても死者の世界と生者の世界は超えらない壁があり、いずれ忘れられていくのだなあとしみじみ。

  • もしも「とりつくしま」があったら、のお話十篇。
    図書館で小雪さんの名札にとりついたおじいちゃんのお話と、自宅でマッサージチェアにとりついた、大学生の息子と高校生の娘を持つ父親の話に、妙に共感を覚えた。
    東直子さんの作品はこれが初体験だけど、気楽に読めてホッと出来て、なかなかいいんではないでしょうか。

  • 亡くなった人が物にとりついて、自分の人生を振り返ったり、大切な人を見守る話で、それぞれ視点が面白かった。ジーンとする話もあれば、切なく心が痛む話もあったが、番外編は・・・個人的にはない方が良かった・・・

  • ツナグの書評とともに載っていたので読んでみました
    短編集です
    亡くなった方が、何か思い入れのあるものにのりうつるお話。
    さらっとしていて読みやすいけど、いい話でしょって感じがして,,,
    それだけかなー

    最後のお話は怪談ぽくて他のお話とはテイストが違いました。

  • 短編集10編+1編
    死後,何かに取り付いて大切な人に会うというアイデア,思わず自分だったら何になりたいかと考えてしまった.青いジャングルジム,補聴器が切なかった.

  • ショートストーリー
    それぞれにある「思い残した事」それをとりつくしま係がとりつくしまに取り憑かせてくれる事で見届ける。
    スッパリこの世と離れるのもいいが、こんな微かな繋がりでもこの世に残る事で慰められるものいいかなと全編通して思った。

  • とりつくしま

  • 読友さん揃って絶賛ですが、ごめんなさい、私には無理でした。お好きな方、どうかこの後はスルーしてください。最初の「ロージン」がすでにきつかったのですが、それでもこれが一番良かった。このくらいの時間ならありだと思います。でも「青いの」はいけません。あんな何十年も持つようなものをとりつくしまにしたら後に待っているのは悲劇しか想像できません。番外編だけホラーとしてちょっと好きですが、せめて男の方に非があって欲しかった。心残りがあったってどうにもできないことは、知っています。私のところにはきっと係はこないでしょう。

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著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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