- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480804303
作品紹介・あらすじ
少女の目に映る世界を鮮やかに描いた第26回太宰治賞受賞作。書き下ろし作品『ピクニック』を収録。
感想・レビュー・書評
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あみ子は、その場の空気とか、人の気持ちが、分かりにくい、女の子だ。キモい、と散々言われているが、自由の気持ちにまっすぐな言動をする。
それは時に、周りの人達を、傷つける。
産まれてくるはずの、赤ちゃんを死産したお母さんに、「弟のおはか」を、プレゼントしたり、自分の舐めた後のクッキーを、大好きな、のり君に、食べさせたり……。そのことに気づいたのり君とあみ子の叫び 「好きじゃ」「殺す」「好きじゃ」「殺す」「好きじゃ」「殺す」「のり君好きじゃ」「殺す」……あげく、のり君にこぶしで顔面を殴られて、あみ子は前歯を三本失くすことになる。 痛い。
あみ子がラスト近くで、あみ子をずっと見てきた、坊主頭に、自分のことを、「気持ち悪かったかね」と聞くシーン。
「おまえの気持ち悪いとこ?百億個くらいあるでー」……「いちから教えてほしい。気持ち悪いんじゃろ。どこが」「どこがって、そりゃあ」「うん」……そのあとの、坊主頭の言葉に、救われた思いがした。あみ子はようやく、今まで眼中にもなかった他人と、心が繫がったように思えた。
やさしくしたいと強く思った。強く思うと悲しくなった。……というあみ子の心は、変わっていくのかもしれない、と、思い、読後感は、案外明るかった。
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「こちらあみ子」
「ピクニック」の二編を収録。
今村さんの作品を読むのはこれが2作目。
あみ子は、とっても純粋で真っ直ぐな心を持つ女の子。
自分の気持ちに正直に生きている。
ただ、相手の気持ちが分からなかったり、その場に適した振る舞いが出来ない。
(発達障害と思われる)
そのせいで、周りの人々を悲しませ、傷付けてしまう。
読んでいて苦しい…
“あみ子、それ言ったらダメ!”
“あみ子、それ、相手が悲しむよ!”
と声に出して言いたい!
でも最後の場面で、あみ子は同級生の坊主頭くんと心が通じる。
素敵な場面。
あみ子が愛おしい。
「ピクニック」は、軽快な文章でテンポよく話が展開していく。
こちらは、最初から独特の違和感にムズムズ。
違和感から怖さに変わり、ゾッとした。
うん。
結構好きです、この感じ。
面白かった。 -
今村夏子さんのデビュー作だが、私的には、これまで読んだ作品の中で、いちばん好きです。
太宰治賞と三島由紀夫賞を受賞された「こちらあみ子」と、書き下ろしの「ピクニック」の二編が収録されていて、どちらも、今村さんの作品にしては、救いのある、爽やかな終わり方が印象的でした。
「こちらあみ子」では、主人公「あみ子」の真っ直ぐで破天荒な個性ばかり注目されがちだが、その裏には、複雑で繊細な家庭環境の影響を受け続けた結果、やむを得ない部分もあって、そうした表側からは分かりづらい、家庭事情の問題提起をしているようにも思われました。
そうした中で、終盤にちらりと見せた、あみ子にとって、初めての後悔のような、これまでと違った一面には、はっとさせられるものがありました。
また、「ピクニック」は、ローラースケートを履いた、水着姿の女の子たちが接客するガールズバーで働くルミたちの、後輩にあたる七瀬さんへの無償の優しさに、とても心を打たれ、七瀬さん自身を可哀想な人だという思い自体を、あっさり吹き飛ばしてくれるような軽やかで自然な温情に、人間の絆の強さを思い知りました。名作。-
たださん、こんにちは♪
そうです!そうですとも(*^o^*)
私も今村夏子さんの本、大好きです♡
「こちらあみ子」特に好きな作品です。
ただ...たださん、こんにちは♪
そうです!そうですとも(*^o^*)
私も今村夏子さんの本、大好きです♡
「こちらあみ子」特に好きな作品です。
たださんのレビューを拝見して、
また情景を再び思い返しました。
今村夏子さんって稀有な
素晴らしい作家ですよね。
何だか同じ感覚で嬉しくて
思わずコメントしてしまいました。2022/05/22 -
hiromida2さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
同じ感覚という言葉に、私も嬉しい気持ちになりました(^_^)
先...hiromida2さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
同じ感覚という言葉に、私も嬉しい気持ちになりました(^_^)
先程、hiromida2さんの、「こちらあみ子」のレビューを拝見しまして、その作品に対する思いの強さを、とても実感いたしました。
私が、これまでイメージしていた今村さんの作品は、独特の不穏さの中に見え隠れする、人間の滑稽さや情に、惹かれるものを感じていたのですが、「こちらあみ子」に関しては、デビュー作だからでしょうか。何か、文学に徹し切れずに、今村さん自身の感情が微かに残っている気がしまして、他の作品と比較して、温情めいたものを感じたのが、とても印象的でした。
すいません。
気付いたら、こんなに長々と書いてしまいました(^_^;)2022/05/22 -
たださん、
度々すみません。コメントの返信ありがとうございます♪
なるほど〜と頷きながら感慨深く
読ませて頂きました。
同じ好きな作家さんの...たださん、
度々すみません。コメントの返信ありがとうございます♪
なるほど〜と頷きながら感慨深く
読ませて頂きました。
同じ好きな作家さんの作品について
語らえるのは、とても貴重で嬉しいです。2022/05/22
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今村夏子さんのデビュー作ということで読むのを楽しみにしていました。
「こちらあみ子」では、作中で言及はされていないけれど、あみ子は発達障害を抱えていることが予測できます。あみ子の天真爛漫な悪気のない行動が、周囲を巻き込んで混乱させていく…その過程がなんとも言えずに悲しい…せめて、あみ子の人格を両親がしっかり受け止めてさえくれれば、あみ子の将来もまた別の形に変わるのではないかと感じました。
「ピクニック」では、七瀬さんという同僚が芸人さんと交際していると職場で暴露し、その恋路を同僚たちみんなで応援するという展開…いや~わからない、どこまでがホントのことなのか、それともすべて嘘なのか…色々考えたら私の頭の中も混乱してきてしまいました(汗)。私的にはこの前に読んだ「とんこつQ&A」の方が好きだと感じました。-
チーニャさん、こんにちは!
今村夏子さん、最近私のマイブームです(^^)
そうなんですよね~独特の世界観があって、
特にこの「こちらあ...チーニャさん、こんにちは!
今村夏子さん、最近私のマイブームです(^^)
そうなんですよね~独特の世界観があって、
特にこの「こちらあみ子」はそれが強く感じられて、
一気読みでした!
今村夏子さんは、私もまだ3冊しか読んでないけど
他の作品も読んでみたいと思っています!
『とんこつQ&A』は、今村夏子さんの3冊読んだ中で
一番好きな作品です。
ぜひぜひお時間のあるときに読んでみてくださいね。
私も読みたいものばかりたまっています!
これもブクログのおかげ~
こちらこそ、いつもありがとうございます。2022/11/17 -
かなちゃん、
わかりました~\(^-^)/良かった。
今村夏子さんは、好みだから仕方ないことなんだけれど…、やっぱり好みが別れる作家さんで...かなちゃん、
わかりました~\(^-^)/良かった。
今村夏子さんは、好みだから仕方ないことなんだけれど…、やっぱり好みが別れる作家さんですよね。
以前に、私の妹や、友達で、今村夏子は、あんまり好みでないの…、と、言われてさびしく思ったことがあって。それでちょっとだけ、気になりました~(笑)
ほんとに、ブクログやってて良かった〰️!!かなちゃん、ありがとう、ございます。
これからもどうぞよろしくお願いします~\(^-^)/☆☆
2022/11/17 -
チーニャさん、コメントありがとうございます!
今村夏子さんだからこその作風、ありますよねぇ~
私はそう、4作品だった…読んでるけれど
...チーニャさん、コメントありがとうございます!
今村夏子さんだからこその作風、ありますよねぇ~
私はそう、4作品だった…読んでるけれど
どの作品も一気に読み切りました!
目が離せないというか、展開が気になってまって…ね、
そういう面では今村夏子さん、結構私の好みにあってます!(^^)!
また、他の作品も読んだらお話しできたら嬉しいです。
こちらこそ、引き続きお付き合いお願いします。2022/11/17
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今村さん独特の切り口で、ほんと面白い作家さんだと思う。
テーマは重いが、馬鹿馬鹿しいところもあり、チグハグになっていないバランス感覚は流石だと思った。 -
変わった子という言い方ではすまされない(と私は思うのだけど)あみ子のような子どもの思考?頭の中でこのような事が起きているのだという事に衝撃を受けた。
悪気もなく、惚けている訳でもなく、自分も周囲も傷付いていく。少なくとも放置されているあみ子はその状況にある。
「ピクニック」の七瀬さんも然り。
救いはあみ子に出てくる坊主頭の男の子とルミさんたち。私はこの人たちのように行動出来るだろうか。 -
映画『花束みたいな恋をした』に触発されて読んだ本その1。
あみ子はいわゆる「空気が読めない」女の子。
父母の離婚、「弟」の死、兄の不良化、母のうつ病、学校でのいじめ。
自分が悲惨な状況にいると理解することなく、自分の行動が周りを破壊していると理解することもなく、あみ子は自分の気分に従ってただ生きていく。
あみ子の周りの人間も、あみ子は「そういう類の子だ」と認定して、あみ子と接するのを早々に諦めている。
タイトルの「こちらあみ子」はトランシーバーのおもちゃで遊んだ時のことより。
あみ子にちゃんと向き合って「応答」してくれる人は誰もいなかった。
いや、もしかしたら、のり君の書道の作品を教えてくれるクラスの男子はあみ子に向き合っていてくれてたかもしれない。
けれどあみ子にとってその男子は眼中になしで、あみ子側が「応答」しなかった。
「こちらあみ子」の改題前のタイトルは「あたらしい娘」とあった。このあみ子を「あたらしい」と表現するなんて。
菅田将暉演じる麦が「その人はピクニックを読んでも何も感じない人だよ」と話す作品「ピクニック」。
これは(これも)解釈が難しい。
ピクニックという楽しい響きは、実は最後の、七瀬以外の人でまるでピクニックに行く様子から。
七瀬の話はどこまでほんとで、どこから嘘だったんだろう。それとも全部ほんとだったのかしら。
そして同僚の人たちはどこまで信じていたんだろう。あるいは端から信じていなかったのか。それで面白半分で話にのっていたのか。
私はもしかしたら「何も感じない」側なのかもしれない…!笑
…と思って、ピクニックの感想や考察をいろいろ読んだ。
そういうことだったのか、と少し腑に落ちた。
でもだとしたらこれはホラーというかミステリーの部類だ。
それを踏まえて再度読んだ。女ってこっっっわ。
これを読んで「何かを感じれた」側の麦と絹は、確かに「何も感じない」側の人とは”合わない”と思う。そういうことだと思う。やっっと麦の言ってることがわかった。…と、思う。
この作品を読んですぐに理解できる人は尊敬する。
今村夏子作品、難しい… -
初めての今村夏子さんの本、う〜ん面白い! 読む手が止まらないほど癖になる訴求力がある。「こちらあみ子」は発達障害らしきあみ子が知らず知らずのうちに自分の言動が周囲に及ぼしている事象さえ気付かずに歩んでいく様が淡々と語られる不思議な感覚で 読む側にあみ子へのいとおしささえ覚えさせる。「ピクニック」もローラースケートで接客するのが売りの施設に応募してきた冴えない七瀬さんと同僚の若い娘達との関係がだんだん強くなっていく様が淡々と進んで、なんだか虚言癖が強いけど憎めない七瀬さん像が読む側に結ばれる感覚が生ずる。ほかの本も読んでみたくなった。
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1.この本を選んだ理由
なんでこの本を選んだかは忘れましたが、だいぶ前に図書館で予約したものが数ヶ月を経てやってきました?
2.あらすじ
「こちらあみ子」と、「ピクニック」の2本。
こちらあみ子は、知的に弱い女の子の物語。
ピクニックも、普通の人とはちょっと違う感じの女性の物語。
3.感想
難しいな…と思った。
世界観に入っていけないから、泣くこともないし、どう受け止めればいいのかわこらない。
だから、感想は、「よくわからないな」というひとことになってしまう。
4.心に残ったこと
…なんだろう
5.登場人物
(1)こちらあみ子
田中あみ子
田中孝太 兄
田中さゆり 母
父
のり君
(2)ピクニック
七瀬
春元気
ルミ
新人 -
複雑な感情になる 「こちらあみ子」
悪意を感じる「ピクニック」 の2作品。
あみ子も七瀬さんも一途なんだけど……(つд;*)
とにかく、抱きしめて「大丈夫だょ」って声をかけてあげたい。そんな人になりたぃ。って思える話でした。
「特技というか、絵を描くのは好きですけど」
広島弁と【絵】と言ぅキーワードが怖すぎる(泣)