注文の多い注文書 (単行本)

  • 筑摩書房
3.91
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本棚登録 : 1513
レビュー : 192
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804501

感想・レビュー・書評

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  • “その街区は都会の中の引き出しの奥のようなところにありました。”

    小川洋子×クラフト・エヴィング商會、想像をかきたてるタイトル……!
    読む前からうっとりする要素しかないのに、冒頭の文章にまた心をつかまれる。

    『人体欠視症治療薬』を読んで、なんとなく学生時代の友人を思い出した。
    「わたし、恋人がいる人とか婚約者がいる人ばかり好きになるんだよね」
    奪いたいというような攻撃的な意味合いはまったく含まず、絶対に自分のものにならない安心感があるからだと言っていた。
    好きな人には、触れるより少し離れたところから眺めているだけのほうがいい。そんな恋もある。

    『冥途の落丁』『巻末解説』
    キーを叩いて、ぽんと変換できる便利さに慣れ、漢字を忘れたり間違えてしまう今日この頃。
    今後、「冥途」という漢字はもうできるだけ書かないでおこうと思う。
    でないと、きっと、うっかりした隙をつかれて……引きずり込まれてしまう。

    巻末の対談の最後の、次の注文書に続く小川さんの言葉にわくわく。
    次も出るといいなぁ。できればもう少し早めに。


    *収録作品と元作品*
    人体欠視症治療薬(川端康成「たんぽぽ」)
    バナナフィッシュの耳石(J.D.サリンジャー「バナナフィッシュにうってつけの日」)
    貧乏な叔母さん(村上春樹「貧乏な叔母さんの話」)
    肺に咲く睡蓮(ボリス・ヴィアン「うたかたの日々」)
    冥途の落丁(内田百閒「冥途」)

    • 九月猫さん
      iii76385さん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます!
      はい、ゆるっと復帰中です(*´∀`)ノ

      小川洋子さんは、ワ...
      iii76385さん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます!
      はい、ゆるっと復帰中です(*´∀`)ノ

      小川洋子さんは、ワタシもまだまだ読み始めたばかりで「初心者」です。
      先日、読了した『海』という短編集の解説にこの作品のことが書かれていたのですが、
      それがタイミングよく発売されたので続けて読むことができました♪

      iii76385さんもきっとお好きな作品なのではないかなーと思うので、
      もし機会があれば、ぜひぜひお手にとってみてください♪
      そのときには、一緒に素敵世界にうっとりしましょう( *^艸^)
      2014/02/13
    • 円軌道の外さん

      お久しぶりです!
      仕事が多忙でずっと休みがなくて
      落ち着いたと思いきや
      今度は人生初のインフルエンザにかかってしまい、
      今、自宅...

      お久しぶりです!
      仕事が多忙でずっと休みがなくて
      落ち着いたと思いきや
      今度は人生初のインフルエンザにかかってしまい、
      今、自宅療養中であります(泣)(´`:)

      「バンディッツ」へのコメントと
      励ましの言葉、本当に心から救われました。

      かなり気持ちは上向き加減なんですが、
      いかんせん、時間は買えないので(笑)
      なんとか忙しい中、本を読めないものかと
      今四苦八苦しております(笑)(^^;)

      で、このレビュー!
      もう、冒頭の文章から
      惹きつけられましたよ(*^^*)

      ちょうど自分がレビューをアップしたクラフト・エヴィング商會の
      「じつは、わたくしこういうものです」に
      小川さんがこっそり写真付きで参加していて(笑)
      ビックリしたんです(笑)

      あとがきに近々クラフト・エヴィング商會とコラボ予定があると書いてて
      歓喜の声を上げたんやけど、
      それがようやく出たこの作品やったんですね(笑)(^^)

      九月猫さんのレビューに元の作品リストがあったけど、
      小川さんが他の作家の作品をリメイクしてるってことなんかな?

      村上春樹の「貧乏な叔母さん の話」も
      自分が少し前に書いた初の短篇集に収録されてた話だし、
      なんかコレは
      本に呼び寄せられてる感じですよね(笑)

      絶対読んでみたいです!
      風邪治ったら
      本屋行ってきます(笑)

      あとあと、復活嬉しいです!(*^▽^*)
      あまり無理なさらず
      素敵なレビューを少しずつでも
      自分たちに読ませてくださいね。


      2014/02/27
    • 九月猫さん
      円軌道の外さん♪

      あらあら、インフルですか!
      あったかいもの摂って栄養つけて、安静にお過ごしくださいね。
      早いご回復をお祈りしてお...
      円軌道の外さん♪

      あらあら、インフルですか!
      あったかいもの摂って栄養つけて、安静にお過ごしくださいね。
      早いご回復をお祈りしております。
      くれぐれもお大事に!
      体調の悪いときしかブクログでお会いできないのはイヤですよー(ノω・、)

      「気持ち」のほうは落ち着いてきておられるとのことで、よかったです。
      ほんとうによかったです。
      本も読めてらっしゃるようで何より♪
      好きなことは無理なくできるものですし、ここは自分のペースで更新できますものね。
      わたしもゆるる~っと復活して、ゆるる~と活動中です(笑)

      この本、おススメです♪
      読者として小川さん初心者で(ファンと名乗るのもまだ気が引けるくらい)、
      クラフトエヴィングさんとはかなり長い間ご無沙汰しているワタシがおススメというのもなんですが。

      >小川さんが他の作家の作品をリメイクしてるってことなんかな?
      リメイクではないのですよ。
      元作品にまつわる新しい物語を小川さんが紡いでいる感じでしょうか。

      「貧乏な叔母さん」は、クラフトさんの「お返事」も含めて
      とてもとても素敵なお話になっているのですよー!!大好きです。
      村上春樹さん、初期しか読んでいないので、これも読んでいるはずなのですが記憶に無くて、
      円軌道の外さんのレビューでも気になっていたので再読してみようと思っています。

      こちらこそいつも素敵なレビューを楽しませていただいています。
      ありがとうございます♪
      2014/02/28
  • 「ないもの、あります」の看板を掲げるクラフト・エヴィング商會に寄せられる様々な注文。
    実際に足を運んだ人の語りだったり、手紙だったり、注文書の形式に決まりはないらしい。
    何がどうして必要なのか、それがどんなに入手困難なものなのか…
    注文書を読んでいると、「そんなのあるの?」と困惑してしまう。
    あぁ、なんて情けない…。

    注文書の無理難題への回答が、納品書。
    「ないもの、あります」の言葉通り、魔法のように鮮やかに奇跡を起こしてくれる。

    望みのものを手に入れた依頼者のその後が受領書で語られる。
    ほろ苦い結末もある。
    手に入れれば幸せになれるわけではないことをしばしば忘れてしまうものだ。
    依頼者もそうなのかもしれないなと思う。

    でも、クラフト・エヴィング商會はそのことを知っている。
    だから、「こちらになります」と差し出すだけ。
    受領書に悲しい結末が綴られていても、次の依頼も変わらぬ仕事をするだけ。
    きっと依頼者の幸福を密かに祈りながら。

    なんとも贅沢な読書体験に大満足。
    物語と現実の不思議なリンクにドキドキ。

    巻末の好きな人ばかりの対談も幸せ。
    次の注文書の物語も読みたいな…。

    • kaze229さん
      「本」いや「読書」と一緒に生きていくことの醍醐味をこんな風に一つの形にしてもらえると、うん うん と 何百回も頷いてしまいますね。
      「本」いや「読書」と一緒に生きていくことの醍醐味をこんな風に一つの形にしてもらえると、うん うん と 何百回も頷いてしまいますね。
      2014/02/15
    • takanatsuさん
      kaze229さん、コメントありがとうございます!
      こういう本に出会えるのは本当に幸せだなぁと感じます。
      実際に生活の中で本の中の一場面...
      kaze229さん、コメントありがとうございます!
      こういう本に出会えるのは本当に幸せだなぁと感じます。
      実際に生活の中で本の中の一場面や一節を思い出すこともあります。
      私は今まで読んだ本で作られたフィルタを通して世界を見ているかもしれません。
      そう考えるとこの不思議な物語がとてもリアルに感じられるようになりました。
      また一つ新しい世界を覗き見た気がしています。
      2014/02/17
    • kaze229さん
      人間が持っている素敵なものの一つが
      想像する力ですよね
      こんなにも ふんわり ゆったり
      ひろびろと 膨らませてくれる
      作家さんに 感...
      人間が持っている素敵なものの一つが
      想像する力ですよね
      こんなにも ふんわり ゆったり
      ひろびろと 膨らませてくれる
      作家さんに 感謝ですね
      2014/02/20
  • 小川洋子×クラフト・エヴィング商會という、何とも魅力的なペアが実現しました!

    「ないもの、あります」の看板を掲げる一軒の店、クラフト・エヴィング商會。
    この店に依頼を持ちこむお客様と、彼らが手に入れたい品物をめぐる5つのストーリーが収められています。
    注文書と受領書を小川さん、納品書をクラフト・エヴィング商會のお二人が担当しています。
    小川さんの書き始めた物語が、クラフト・エヴィング商會の用意する品物によって、どんな結末を迎えるのかに注目です。

    望みのものが手に入っても、ハッピーエンディングが待っているばかりではないのですね。
    しかし、品物が手元に届いたときにはすでに無用のものになっていたとしても、依頼人たちは心からの御礼を伝えるのです。
    その品物が、彼らにとっては特別なものであることに変わりはないのだから。

    5つの物語は、それぞれ文学作品を下敷きにしているところも魅力の1つです。
    内田百閒、サリンジャー、ボリス・ヴィアン…。
    彼らの文学作品から生み出された架空の品々の写真が添えられた納品書に、ほぅっとため息がこぼれます。

    • 九月猫さん
      すずめさん、こんばんは♪

      いやぁ素敵な本でしたねぇ。
      もう素敵コラボすぎて(* ̄∇ ̄*)うっとり~です。
      ちょうどさっき、読み終わ...
      すずめさん、こんばんは♪

      いやぁ素敵な本でしたねぇ。
      もう素敵コラボすぎて(* ̄∇ ̄*)うっとり~です。
      ちょうどさっき、読み終わったところに
      すずめさんのこのレビュー!
      魅力的なクラフト・エヴィングのお店のドアをまたすぐに開けたくなりました♪
      2014/02/08
    • すずめさん
      九月猫さん、こんにちは!
      コメントありがとうございます(*^^*)

      素敵でしたねぇ~☆
      発売前からタイトルだけでうっとりしていたの...
      九月猫さん、こんにちは!
      コメントありがとうございます(*^^*)

      素敵でしたねぇ~☆
      発売前からタイトルだけでうっとりしていたのですが、実際に本を手に取って、読んでみて、さらにさらにとろ~んとしておりました。

      この素敵さを九月猫さんと共有できてうれしいです♪
      2014/02/09
  • ある書籍に出てくる不思議なものの探索を、クラフト・エヴィング商會に依頼する話。小川洋子さんが作ったキャラクターが依頼文(注文書)を書き、クラフト・エヴィング商會からの納品書が届き、依頼主からの受領書を送るという流れになっている。
    当たり前だが、依頼主が多種多様でそれぞれの個性に合った書き方になっていて作家さんは流石だなと思ったのと、一冊の本に出てきた一見見落としがちな内容から、こんな素敵なストーリーが生まれ、それがクラフト・エヴィング商會の性質ともマッチしていて更に感動した。

    川端康成「たんぽぽ」に出てきた人体欠視症の治療薬、サリンジャー「バナナフィッシュにうってつけの日」からバナナフィッシュの耳石、村上春樹「貧乏な叔母さんの話」の貧乏な叔母さん、ボリス・ヴィアン「うたかたの日々」に出てきた肺に咲く睡蓮、そして内田百けん「冥途」の落丁。それぞれの依頼主の背景も楽しめます。

  • 「ないもの、あります」のクラフト・エヴィング商社と小川洋子さんが組んだなら…

    川端康成の「たんぽぽ」、読みたいが未完はもやもやするなぁ…愛しい人に触れるたび、その人の身体が見えなくなっていく病気、いかにも小川洋子さんが好みそうなモチーフ。「うたかたの日々」(「日々の泡」)の肺に咲く睡蓮の花もそうだが、小川洋子さんにはどこかフランス的な空気が似合う。

    「薬指の標本」もそんなイメージ。サリンジャー、有名過ぎて読まずにきてしまったので、バナナフィッシュ=吉田秋生さんの漫画を連想。あのラストは悲しかった…。

    他には、村上春樹さんの「貧乏な叔母さんの話」、内田百閒の「冥途」が元になった連作短編集。

  • 「せんせい~、おなかがいたいです。」
    「ねつがあってくるしいです。」
    幼い私の腹の痛みは<ウソ>だ。

    でも
    <ウソ>の世界には<ウソ>の先生がちゃんといる。

    「だいじょうぶですよ。なおりますよ。
     よくきくおくすりがありますからね。」

    ちびっこ先生が処方してくれたくすりは
    葉っぱにくるんだ小石や草花の種。

    私は万能薬を口に(するフリ)をして
    「せんせい、もうなおりました。」

    なんて
    痛くも無かった腹を治してくれた、あの『万能薬』の事を思い出してしまった。

    物語の中の客が
    クラフト・エヴィング商舎に
    「探して」と依頼した不思議な品は
    この
    <どんな病も治さない万能薬>みたいだなぁ~
    なんて思ってしまった。

    ない、はある。
    ある、はない。

    失くしたものを探すには
    ハサミにぐるぐる糸を巻きつけながら
    探せばいい、
    と、いう諺は落ち着いて探すように。
    なんて意味があるらしいが、

    はてさて
    こちらはどのような意味なのか?

    ないはある。
    あるはない。

    呪文のように唱えながら、
    あるはずのないものを探してみれば
    なんと見つかるようなのだ。

    依頼品も
    言葉の意味も♪

    • 九月猫さん
      MOTOさん、こんばんは。
      うっとり~なこの本の続きを読んでいるのかと思いましたよ!
      素敵なレビューですねー♪
      「これいいね!」100...
      MOTOさん、こんばんは。
      うっとり~なこの本の続きを読んでいるのかと思いましたよ!
      素敵なレビューですねー♪
      「これいいね!」100コ押したいですっ(*'ω'*)
      2014/04/15
    • MOTOさん
      kaze229さんへ

      みんなが知ってる、のも楽しいですけど
      誰も知らない、見えもしない、実はありもしない。
      …てのも面白いですよね...
      kaze229さんへ

      みんなが知ってる、のも楽しいですけど
      誰も知らない、見えもしない、実はありもしない。
      …てのも面白いですよねっ♪

      レビューを褒めてくださり、ありがとうございます。すごく嬉しいです♪

      2014/04/16
    • MOTOさん
      九月猫さんへ

      九月猫さん こんにちわ♪
      うっとり~と、この本を読み終えた余韻を残したまま、ぼ~んやりと書き綴ってしまったら、こんなん...
      九月猫さんへ

      九月猫さん こんにちわ♪
      うっとり~と、この本を読み終えた余韻を残したまま、ぼ~んやりと書き綴ってしまったら、こんなんに…(笑

      100こならお花畑ですね♪
      素敵な景色をありがとうございます!
      2014/04/16
  • 小川洋子さんとクラフト・エヴィング商會のコラボ…となると、読まずにはいられない。
    不思議な注文の数々を堪能。

  • クラフトエヴィング商會も、小川洋子も好きだけど、二つが合わさるとは。。。でも、すごく納得の感じ。似た点が多いんですね。まさに「ないもの、あります」です。小川さんも文章で、ないものをかたちにされている気がします。

  • 出逢うべくして出逢った
    最高のお二人ですね

    なんと 満たされた気分になるのでしょう
    なんと 愛おしくページを繰ることでしよう
    なんと すてきなものたちの物語でしょう

    読書の至福とは
    このような「読書」のためにあるのでしよう

  • 基本、本は文庫派なのですが
    クラフト・エヴィング商會の本は文芸書で
    欲しいなぁ~としみじみ思います。
    写真はもちろん、装幀、デザイン、どれも
    とても好きです。

    有名作品にまつわるもの、それは
    川端康成の「たんぽぽ」にあるような
    愛する人に触れた場所から見えなくなってしまう
    病を治す「人体欠視症治療薬」なるものであったり
    人間に寄生する植物を採集する標本商が
    求めていたボリス・ヴィアン「うたかたの日々」
    に登場する「肺に咲く睡蓮の花」であったり。

    小川洋子の注文書にクラフトエヴィング商會が
    納品書で答え、また小川さんが受領書で
    物語をしめくくる形。
    どの話もひっそりと哀しく、どの写真も
    とても好み。モチーフになっている作品は
    残念ながらどれも読んだことがないのですが
    知っていたらよりなお、楽しめるかも。

    作り手である小川洋子さん、
    クラフト・エヴィング商會さんが
    楽しんでいるんだろうなぁ、と感じさせる
    確かに作るのに9年かかるよなぁ…と思わせる
    じっくり読みたい素敵な本でした。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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