注文の多い注文書 (単行本)

  • 筑摩書房
3.89
  • (147)
  • (246)
  • (143)
  • (27)
  • (5)
本棚登録 : 2014
感想 : 238
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804501

感想・レビュー・書評

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  • 装丁に惹かれ、また帯の内容に食いついてしまった

    ーーーーーーーーー
    詳細なネタバレはしないが、大まかな流れを紹介していくので、ある意味ネタバレになるかも…
    これから読まれる方はご注意ください
    ーーーーーーーーー


    「この世にないものを探してください」

    注文書→納品書→受領書
    この形式で物語として5話が展開する
    また、それぞれ以下の文学作品をも、モチーフとし絡めてくる
    たんぽぽ(川端康成)、バナナフィッシュにうってつけの日(J・D・サリンジャー)、貧乏な叔母さんの話(村上春樹)、うたたかの日(ボリス・ヴィアン)、冥府(内田百閒)
    (読んだのは村上春樹しかなかった…「うたたかの日」はずっと気になっているが多分好みじゃないだろうなぁ、だけどいつか対面しそうな予感のする本)

    この発想力と構成が面白く、唸らされた

    まずは「発注書」
    お尋ねモノは何か…
    ここで各物語の発注者が、どんなモノをどういう理由で探し求めているかを紡ぎ出す
    もちろん、実在しないモノたちだ
    おまけにたいていが複雑でややこしく、無理難題に限りなく近い
    そしてそれぞれそのモノに対する思い入れと、複雑な背景を抱えており、それらも含め語り出す…


    「納品書」
    ややこしい難題を、どう現実化するか
    クラフト・エヴィング商會が、見事に応える

    「クラフト・エヴィング商會」は実在しない書物や雑貨などを手作りで作成し、その写真に短い物語風の文章を添える、という形式の書物をいくつか出版しているユニットだ

    この著でも、実在しないモノをきちんと作って写真になって納められている(私たち読者も写真で見ることができるという楽しみがある)
    これが自分の想像とどう違うか?
    そんな視点で見るのも面白い
    そしてその応えがとても粋だったりする
    モノづくりだけではない、人の本質を突く納品書も完成させる


    「受領書」
    さて、そのモノを受け取って、どうだったか…
    後日談もきちんとあり、物語が完結する


    結局モノじゃないんだよね
    その人が自分の人生に起きたことに対してどう落とし前をつけていくか…
    クラフト紙エヴィング商會さんと発注されるモノは、お医者さんと処方箋みたいな感じで、最後は各人の治癒力だ(わかっていてもなかなか難しいのが人生)

    とにかく想像力を掻き立てられる本だ
    発注されたモノだけでなく、小川洋子さんの表現力に引っ張られ、連れて行かれるのだ
    中には自分の想像力が妙な方向に行ってしまい、気持ち悪くなってしまったほど…

    全体としては、ハッピーエンド的な話が多いはずなのだが、各処に綺麗事じゃない人の奥底のどろっとした部分や、醜い部分も垣間見れ、構成力の面白さや小気味良い流れと相まって、鋭く切り込みを入れられる
    よって読み終わった感の爽やかさは(個人的には)なかった
    「そう、人ってドロドロしてて醜いんだから…そんな世の中甘くないのよ」
    と笑顔で目が笑っていない人に言われたような気分になった
    小川さんの文章は淡々と静かに、暖かく優しい…反面、人に対する鋭い気づきが「この人は絶対にごまかせない」と感じる
    隠しきれない人の残酷な部分、見苦しい心の内、浅はかな知恵、なんでもお見通しなのだ
    だからか時々怖さを感じてしまう
    とはいえ、やはり居心地の良い文面を求め、今度は何を感じさせてくれるのだろう…と好奇心からまた読みたくなる…そんな方なのである

  • “その街区は都会の中の引き出しの奥のようなところにありました。”

    小川洋子×クラフト・エヴィング商會、想像をかきたてるタイトル……!
    読む前からうっとりする要素しかないのに、冒頭の文章にまた心をつかまれる。

    『人体欠視症治療薬』を読んで、なんとなく学生時代の友人を思い出した。
    「わたし、恋人がいる人とか婚約者がいる人ばかり好きになるんだよね」
    奪いたいというような攻撃的な意味合いはまったく含まず、絶対に自分のものにならない安心感があるからだと言っていた。
    好きな人には、触れるより少し離れたところから眺めているだけのほうがいい。そんな恋もある。

    『冥途の落丁』『巻末解説』
    キーを叩いて、ぽんと変換できる便利さに慣れ、漢字を忘れたり間違えてしまう今日この頃。
    今後、「冥途」という漢字はもうできるだけ書かないでおこうと思う。
    でないと、きっと、うっかりした隙をつかれて……引きずり込まれてしまう。

    巻末の対談の最後の、次の注文書に続く小川さんの言葉にわくわく。
    次も出るといいなぁ。できればもう少し早めに。


    *収録作品と元作品*
    人体欠視症治療薬(川端康成「たんぽぽ」)
    バナナフィッシュの耳石(J.D.サリンジャー「バナナフィッシュにうってつけの日」)
    貧乏な叔母さん(村上春樹「貧乏な叔母さんの話」)
    肺に咲く睡蓮(ボリス・ヴィアン「うたかたの日々」)
    冥途の落丁(内田百閒「冥途」)

    • 九月猫さん
      iii76385さん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます!
      はい、ゆるっと復帰中です(*´∀`)ノ

      小川洋子さんは、ワ...
      iii76385さん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます!
      はい、ゆるっと復帰中です(*´∀`)ノ

      小川洋子さんは、ワタシもまだまだ読み始めたばかりで「初心者」です。
      先日、読了した『海』という短編集の解説にこの作品のことが書かれていたのですが、
      それがタイミングよく発売されたので続けて読むことができました♪

      iii76385さんもきっとお好きな作品なのではないかなーと思うので、
      もし機会があれば、ぜひぜひお手にとってみてください♪
      そのときには、一緒に素敵世界にうっとりしましょう( *^艸^)
      2014/02/13
    • 円軌道の外さん

      お久しぶりです!
      仕事が多忙でずっと休みがなくて
      落ち着いたと思いきや
      今度は人生初のインフルエンザにかかってしまい、
      今、自宅...

      お久しぶりです!
      仕事が多忙でずっと休みがなくて
      落ち着いたと思いきや
      今度は人生初のインフルエンザにかかってしまい、
      今、自宅療養中であります(泣)(´`:)

      「バンディッツ」へのコメントと
      励ましの言葉、本当に心から救われました。

      かなり気持ちは上向き加減なんですが、
      いかんせん、時間は買えないので(笑)
      なんとか忙しい中、本を読めないものかと
      今四苦八苦しております(笑)(^^;)

      で、このレビュー!
      もう、冒頭の文章から
      惹きつけられましたよ(*^^*)

      ちょうど自分がレビューをアップしたクラフト・エヴィング商會の
      「じつは、わたくしこういうものです」に
      小川さんがこっそり写真付きで参加していて(笑)
      ビックリしたんです(笑)

      あとがきに近々クラフト・エヴィング商會とコラボ予定があると書いてて
      歓喜の声を上げたんやけど、
      それがようやく出たこの作品やったんですね(笑)(^^)

      九月猫さんのレビューに元の作品リストがあったけど、
      小川さんが他の作家の作品をリメイクしてるってことなんかな?

      村上春樹の「貧乏な叔母さん の話」も
      自分が少し前に書いた初の短篇集に収録されてた話だし、
      なんかコレは
      本に呼び寄せられてる感じですよね(笑)

      絶対読んでみたいです!
      風邪治ったら
      本屋行ってきます(笑)

      あとあと、復活嬉しいです!(*^▽^*)
      あまり無理なさらず
      素敵なレビューを少しずつでも
      自分たちに読ませてくださいね。


      2014/02/27
    • 九月猫さん
      円軌道の外さん♪

      あらあら、インフルですか!
      あったかいもの摂って栄養つけて、安静にお過ごしくださいね。
      早いご回復をお祈りしてお...
      円軌道の外さん♪

      あらあら、インフルですか!
      あったかいもの摂って栄養つけて、安静にお過ごしくださいね。
      早いご回復をお祈りしております。
      くれぐれもお大事に!
      体調の悪いときしかブクログでお会いできないのはイヤですよー(ノω・、)

      「気持ち」のほうは落ち着いてきておられるとのことで、よかったです。
      ほんとうによかったです。
      本も読めてらっしゃるようで何より♪
      好きなことは無理なくできるものですし、ここは自分のペースで更新できますものね。
      わたしもゆるる~っと復活して、ゆるる~と活動中です(笑)

      この本、おススメです♪
      読者として小川さん初心者で(ファンと名乗るのもまだ気が引けるくらい)、
      クラフトエヴィングさんとはかなり長い間ご無沙汰しているワタシがおススメというのもなんですが。

      >小川さんが他の作家の作品をリメイクしてるってことなんかな?
      リメイクではないのですよ。
      元作品にまつわる新しい物語を小川さんが紡いでいる感じでしょうか。

      「貧乏な叔母さん」は、クラフトさんの「お返事」も含めて
      とてもとても素敵なお話になっているのですよー!!大好きです。
      村上春樹さん、初期しか読んでいないので、これも読んでいるはずなのですが記憶に無くて、
      円軌道の外さんのレビューでも気になっていたので再読してみようと思っています。

      こちらこそいつも素敵なレビューを楽しませていただいています。
      ありがとうございます♪
      2014/02/28
  • 小川洋子×クラフト・エヴィング商會という、何とも魅力的なペアが実現しました!

    「ないもの、あります」の看板を掲げる一軒の店、クラフト・エヴィング商會。
    この店に依頼を持ちこむお客様と、彼らが手に入れたい品物をめぐる5つのストーリーが収められています。
    注文書と受領書を小川さん、納品書をクラフト・エヴィング商會のお二人が担当しています。
    小川さんの書き始めた物語が、クラフト・エヴィング商會の用意する品物によって、どんな結末を迎えるのかに注目です。

    望みのものが手に入っても、ハッピーエンディングが待っているばかりではないのですね。
    しかし、品物が手元に届いたときにはすでに無用のものになっていたとしても、依頼人たちは心からの御礼を伝えるのです。
    その品物が、彼らにとっては特別なものであることに変わりはないのだから。

    5つの物語は、それぞれ文学作品を下敷きにしているところも魅力の1つです。
    内田百閒、サリンジャー、ボリス・ヴィアン…。
    彼らの文学作品から生み出された架空の品々の写真が添えられた納品書に、ほぅっとため息がこぼれます。

    • 九月猫さん
      すずめさん、こんばんは♪

      いやぁ素敵な本でしたねぇ。
      もう素敵コラボすぎて(* ̄∇ ̄*)うっとり~です。
      ちょうどさっき、読み終わ...
      すずめさん、こんばんは♪

      いやぁ素敵な本でしたねぇ。
      もう素敵コラボすぎて(* ̄∇ ̄*)うっとり~です。
      ちょうどさっき、読み終わったところに
      すずめさんのこのレビュー!
      魅力的なクラフト・エヴィングのお店のドアをまたすぐに開けたくなりました♪
      2014/02/08
    • すずめさん
      九月猫さん、こんにちは!
      コメントありがとうございます(*^^*)

      素敵でしたねぇ~☆
      発売前からタイトルだけでうっとりしていたの...
      九月猫さん、こんにちは!
      コメントありがとうございます(*^^*)

      素敵でしたねぇ~☆
      発売前からタイトルだけでうっとりしていたのですが、実際に本を手に取って、読んでみて、さらにさらにとろ~んとしておりました。

      この素敵さを九月猫さんと共有できてうれしいです♪
      2014/02/09
  • 不思議な小説だな、と思いながら読んでいた。
    小川洋子が、クラフト・エヴィング商會という会社に注文をだし、クラフト・エヴィング商會から注文のものが届き、それに対してのコメントを書くという形態の短編が5編収められている小説。注文は小川洋子が書いているのだが、誰が注文主なのかについては、仮の設定があり、例えば若い女性であったり、J.D.サリンジャー読書クラブの三代目会長であったり、様々だ。注文の内容もユニークなもので、人体欠視症治療薬であったり、バナナフィッシュの耳石であったり、背中に乗る貧乏な叔母さんであったりする。その注文にクラフト・エヴィング商會が応え、納品する。それは実在しないものの注文であり、実在しないものの納品である。納品書にはきれいな写真が添えられていたりして、不思議であるが、なかなか洒落た物語だな、と思いながら読んでいた。
    なお、注文はベースになる物語がある。それは川端康成やサリンジャーや村上春樹の小説をベースに編み出されているものだ。
    ところが、ネットで検索すると、「クラフト・エヴィング商會」は実際に存在するのだということを知った。ウィキの説明を下記に引用する。

    【引用】
    クラフト・エヴィング商會は、日本のグラフィック・デザイナー、著作家。吉田篤弘と吉田浩美に二人からなるユニットである。実在しない書物や雑貨などを手作りで作成し、その写真に短い物語風の文章を添える、という形式の書物をいくつか出版しているほか、ブックデザイナーとして文芸書など多くの書籍のデザインを手がけている。
    【引用おわり】

    ということなので、「実在しないものを納品する」のは、この会社の存在意義なのであった。本書では、小川洋子が「実在しないもの」を、書籍の中から編み出し「注文」する。それに対してクラフト・エヴィング商會が、出来るだけ心を震わせるような形で「納品」する。やり取りは全く自然で、最初は小川洋子がすべて書いたのだろうという風に思いながら読んでいたが、思わぬ仕掛けがあったのだ。

  • 「ないもの、あります」の看板を掲げるクラフト・エヴィング商會に寄せられる様々な注文。
    実際に足を運んだ人の語りだったり、手紙だったり、注文書の形式に決まりはないらしい。
    何がどうして必要なのか、それがどんなに入手困難なものなのか…
    注文書を読んでいると、「そんなのあるの?」と困惑してしまう。
    あぁ、なんて情けない…。

    注文書の無理難題への回答が、納品書。
    「ないもの、あります」の言葉通り、魔法のように鮮やかに奇跡を起こしてくれる。

    望みのものを手に入れた依頼者のその後が受領書で語られる。
    ほろ苦い結末もある。
    手に入れれば幸せになれるわけではないことをしばしば忘れてしまうものだ。
    依頼者もそうなのかもしれないなと思う。

    でも、クラフト・エヴィング商會はそのことを知っている。
    だから、「こちらになります」と差し出すだけ。
    受領書に悲しい結末が綴られていても、次の依頼も変わらぬ仕事をするだけ。
    きっと依頼者の幸福を密かに祈りながら。

    なんとも贅沢な読書体験に大満足。
    物語と現実の不思議なリンクにドキドキ。

    巻末の好きな人ばかりの対談も幸せ。
    次の注文書の物語も読みたいな…。

    • kaze229さん
      「本」いや「読書」と一緒に生きていくことの醍醐味をこんな風に一つの形にしてもらえると、うん うん と 何百回も頷いてしまいますね。
      「本」いや「読書」と一緒に生きていくことの醍醐味をこんな風に一つの形にしてもらえると、うん うん と 何百回も頷いてしまいますね。
      2014/02/15
    • takanatsuさん
      kaze229さん、コメントありがとうございます!
      こういう本に出会えるのは本当に幸せだなぁと感じます。
      実際に生活の中で本の中の一場面...
      kaze229さん、コメントありがとうございます!
      こういう本に出会えるのは本当に幸せだなぁと感じます。
      実際に生活の中で本の中の一場面や一節を思い出すこともあります。
      私は今まで読んだ本で作られたフィルタを通して世界を見ているかもしれません。
      そう考えるとこの不思議な物語がとてもリアルに感じられるようになりました。
      また一つ新しい世界を覗き見た気がしています。
      2014/02/17
    • kaze229さん
      人間が持っている素敵なものの一つが
      想像する力ですよね
      こんなにも ふんわり ゆったり
      ひろびろと 膨らませてくれる
      作家さんに 感...
      人間が持っている素敵なものの一つが
      想像する力ですよね
      こんなにも ふんわり ゆったり
      ひろびろと 膨らませてくれる
      作家さんに 感謝ですね
      2014/02/20
  • ある書籍に出てくる不思議なものの探索を、クラフト・エヴィング商會に依頼する話。小川洋子さんが作ったキャラクターが依頼文(注文書)を書き、クラフト・エヴィング商會からの納品書が届き、依頼主からの受領書を送るという流れになっている。
    当たり前だが、依頼主が多種多様でそれぞれの個性に合った書き方になっていて作家さんは流石だなと思ったのと、一冊の本に出てきた一見見落としがちな内容から、こんな素敵なストーリーが生まれ、それがクラフト・エヴィング商會の性質ともマッチしていて更に感動した。

    川端康成「たんぽぽ」に出てきた人体欠視症の治療薬、サリンジャー「バナナフィッシュにうってつけの日」からバナナフィッシュの耳石、村上春樹「貧乏な叔母さんの話」の貧乏な叔母さん、ボリス・ヴィアン「うたかたの日々」に出てきた肺に咲く睡蓮、そして内田百けん「冥途」の落丁。それぞれの依頼主の背景も楽しめます。

  • 「せんせい~、おなかがいたいです。」
    「ねつがあってくるしいです。」
    幼い私の腹の痛みは<ウソ>だ。

    でも
    <ウソ>の世界には<ウソ>の先生がちゃんといる。

    「だいじょうぶですよ。なおりますよ。
     よくきくおくすりがありますからね。」

    ちびっこ先生が処方してくれたくすりは
    葉っぱにくるんだ小石や草花の種。

    私は万能薬を口に(するフリ)をして
    「せんせい、もうなおりました。」

    なんて
    痛くも無かった腹を治してくれた、あの『万能薬』の事を思い出してしまった。

    物語の中の客が
    クラフト・エヴィング商舎に
    「探して」と依頼した不思議な品は
    この
    <どんな病も治さない万能薬>みたいだなぁ~
    なんて思ってしまった。

    ない、はある。
    ある、はない。

    失くしたものを探すには
    ハサミにぐるぐる糸を巻きつけながら
    探せばいい、
    と、いう諺は落ち着いて探すように。
    なんて意味があるらしいが、

    はてさて
    こちらはどのような意味なのか?

    ないはある。
    あるはない。

    呪文のように唱えながら、
    あるはずのないものを探してみれば
    なんと見つかるようなのだ。

    依頼品も
    言葉の意味も♪

    • 九月猫さん
      MOTOさん、こんばんは。
      うっとり~なこの本の続きを読んでいるのかと思いましたよ!
      素敵なレビューですねー♪
      「これいいね!」100...
      MOTOさん、こんばんは。
      うっとり~なこの本の続きを読んでいるのかと思いましたよ!
      素敵なレビューですねー♪
      「これいいね!」100コ押したいですっ(*'ω'*)
      2014/04/15
    • MOTOさん
      kaze229さんへ

      みんなが知ってる、のも楽しいですけど
      誰も知らない、見えもしない、実はありもしない。
      …てのも面白いですよね...
      kaze229さんへ

      みんなが知ってる、のも楽しいですけど
      誰も知らない、見えもしない、実はありもしない。
      …てのも面白いですよねっ♪

      レビューを褒めてくださり、ありがとうございます。すごく嬉しいです♪

      2014/04/16
    • MOTOさん
      九月猫さんへ

      九月猫さん こんにちわ♪
      うっとり~と、この本を読み終えた余韻を残したまま、ぼ~んやりと書き綴ってしまったら、こんなん...
      九月猫さんへ

      九月猫さん こんにちわ♪
      うっとり~と、この本を読み終えた余韻を残したまま、ぼ~んやりと書き綴ってしまったら、こんなんに…(笑

      100こならお花畑ですね♪
      素敵な景色をありがとうございます!
      2014/04/16
  • 「ないもの、あります」のクラフト・エヴィング商社と小川洋子さんが組んだなら…

    川端康成の「たんぽぽ」、読みたいが未完はもやもやするなぁ…愛しい人に触れるたび、その人の身体が見えなくなっていく病気、いかにも小川洋子さんが好みそうなモチーフ。「うたかたの日々」(「日々の泡」)の肺に咲く睡蓮の花もそうだが、小川洋子さんにはどこかフランス的な空気が似合う。

    「薬指の標本」もそんなイメージ。サリンジャー、有名過ぎて読まずにきてしまったので、バナナフィッシュ=吉田秋生さんの漫画を連想。あのラストは悲しかった…。

    他には、村上春樹さんの「貧乏な叔母さんの話」、内田百閒の「冥途」が元になった連作短編集。

  • 小川洋子とクラフト・エヴィング商會の共著。小川洋子さんの文学少女っぷりを感じさせる作品。

    小川洋子が5冊の小説から想起された“もの”の『注文書』を作成し、クラフト・エヴィング商會が『納品書』とともに納品するという構成の作品。
    クラフト・エヴィング商會による『納品書』と『納品物(の写真)』も見事なのだが、やはり小川洋子の『注文書』が素晴らしい。底本となった5本の小説への愛が溢れています。

    人体欠視症は川端康成の『たんぽぽ』に出てくる魅惑の病。病である以上、魅惑も糞もないのだが、小川洋子さんもこの病で創作がしたくなったのでしょう。『たんぽぽ』が1話目の底本だ。
    2話目の底本はサリンジャーの『バナナフィッシュにうってつけの日』、3話目は村上春樹の『貧乏な叔母さんの話』。
    何となく似た系統の2作品ですね。「登場する料理を再現し試食する」「作家の好きなフレーズベスト10を作成する」「各作品のブックデザインを比較する」。『うん、わかるよ。わかる!』と言いたくなる様な活動をする読書クラブが2話目に登場します。
    4話目はボリス・ヴィアンの『うたかたの日々』、またまた幻想的な病の登場。
    そして最終話は内田百聞の『冥土』。

    こういう本を読んで育った少女がああいった素敵な小説を書く作家さんになったんだなと勝手に妄想しちゃいました。

    底本は読んで無くても楽しめますが、読んでいるに越したことはありません(ネタ元となった本という意味で“底本”と使ってます)。

    “あるはずのないもの”を発注するという発想自体が小川洋子さんの『薬指の標本』っぽいなぁと思ってたら、途中で標本士の弟子丸さんが登場しました。『薬指の標本』が最大の底本かも知れません。

  • 構成の面白い作品だった。

    「注文書」と「受領書」のパートを小川洋子が書き、「納品書」のパートをクラフト・エヴィング商會が手掛ける。

    クラフト・エヴィング商會については、ピーンと来る方も多いであろう、ちくまプリマー新書の装丁デザインに携わっていて、吉田篤弘は『つむじ風食堂の夜』の作者でもある。

    小川洋子と、クラフト・エヴィング商會かよ!

    まさに涎が出そうな一冊である。比喩だけど。

    更に、「注文書」には、これまた魅力的な小説から呼び起こされた逸品が記されている。

    川端康成『たんぽぽ』(未完)
    J.D.サリンジャー『バナナフィッシュにうってつけの日』
    村上春樹『貧乏な叔母さんの話』
    ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』
    内田百閒『冥土』

    川端康成と小川洋子が織りなす、身体にまつわるお話にもワクワクするし、サリンジャーからの村上春樹という繋がり方にも、ドキドキする。
    ラストは内田百閒で、このお話には『冥土』の初版本における、ある「誤り」がテーマになってくるのだけど、これが……!

    やや話は逸れるけれど。
    大好きな作品のモチーフやキーアイテムには魔力が籠もるものだと思う。
    どこかの誰かが、それをグッズ化すると、訳もなく欲しくなったりする。なんでだろう。

    それらを丁寧に、モノによる物語として完成させていくことに、ひたすら感嘆させてもらった。
    川端康成、読もうー。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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