SOY! 大いなる豆の物語 (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804563

感想・レビュー・書評

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  • 2016 5 それなりに読めたけど何か中途半端

  • 装丁と大豆とスケールの大きそうな所に惹かれて購入。
    とりあえず読む前に、
    「本書には、100%大豆インクを使用し〜」的な
    一文を探しましたが、無かった。

  • 寒冷な土地でも育ち、高い栄養価を誇り、5000年以上も人類の食を支えながら、どの地域でも主食になったことがない食べ物、大豆。
    その大豆と、原家一族をめぐる長い長い物語だ。
    途中、作中で引用される「百年の孤独」がなんかこんな印象の物語だったなぁと思った。延々と語られるマコンドの地。訥々と語られる東夷北狄の物語。

    ブラック企業でパワハラに遭って鬱を患い無職となった27歳の原陽一郎は、コミュニケーション能力も低く、無気力で、日雇い仕事で日々の生活費を稼ぐほかはほぼ引きこもりのような自堕落な生活をしている。
    そこに突然降ってわいたように、パラグアイに渡って大豆貿易から巨大な企業を興した縁戚の相続問題にかかわることを余儀なくされる。

    自分のルーツ、自分が口にしている食物の成り立ち、それまで意識しなかったことと向き合ったやや偏屈な青年の姿にときどきやきもきしながら物語を読み終えたとき、食べ物や土地への見え方が少し変わった気がした。

  • 読売新聞の書評で紹介されていたなぁと思い、購入。最近、読みごたえのありそうな物語を欲している。大豆と日系移民の話から現代の多国籍企業による食の流通の管理、地産地消、有機農業などの話がすべてつながっている。なんだか私の気になるアンテナに引っかかるのだけれど、一読目では、主人公が感じる違和感の正体がいまいちわからず、ラストもうまく丸め込まれたような気がして、もう一度じっくり読み直したいと思う。

    一読目でいちばんはっとさせられたこと。それは、日本は米文化だという思い込み。もちろん、ごはんは大好きだけれども、日本といえば米!というのはあまりにも乱暴なことなんだよなぁと自分の鈍感さにあきれた。今でこそ新潟や山形が米どころとして認知されているから、東北も米がとれるのは当然みたいに漠然と思っていたけれど、それより以北にいってしまえば、稲作には向いていない。それは九州・沖縄エリアも同じこと。それなのに日本の長い歴史は米を経済の中心として歩んできた。そこで形成されてきた米がとれるのは当たり前という価値観。長い間、米が貨幣の役割を果たしてきたというのはユニークだなとしか思ってこなかったけれど、それによる弊害もたくさん存在してきたという違う面に思い至れなかった。そのことに気づかされた。これをうまく考えるひとつの材料にできないかなと思った。

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著者プロフィール

瀬川 深(せがわ しん)
1974年、岩手県盛岡市生まれの小説家、医師。イェール大学に研究の職位を得て渡米し、アメリカに在住している。栃木県立宇都宮高等学校、東京医科歯科大学医学部卒業。
2007年、「mit Tuba」で第23回太宰治賞を受賞、受賞作を含めた作品集『チューバはうたう』で単行本デビュー。以降、『ミサキラヂオ』『我らが祖母は歌う』『ゲノムの国の恋人』といった著作を刊行。

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