おまじない (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
3.32
  • (13)
  • (46)
  • (81)
  • (15)
  • (3)
本棚登録 : 781
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804778

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 今日も加奈子ちゃんはさわやかにバットを振り切ってるなあと思いました。ボールを見ないで青空を見ながら思いっきりフルスイング。結果ボールにジャストミート。そんな感じがしました。読者の感想を気にしながらチマチマ書いているんじゃなくて、しかも独りよがりな独善性もなく、ひたすら「どうよ?おもろいやろ?」と笑顔でスコンスコンとミートしてくる。ホント素敵な話書くなあ。
    4話目迄は完全に心鷲掴みにされました。頑固じじいがいつまで経っても頑固じじいのままでいてくれる素晴らしさ「いちご」。パーフェクトで隙がないおじいいちゃまの内面に触れて、聖人君子でいる事の大変さと、色々な事を面白がる事の大切さに気付く「孫係」が特に好き。「ドラゴンスープレックス」もいいですね。題名からして力強いけれど、そこはかとなく、人間観察眼のやさしさが感じられます。

    現地をきっちり描写したのかな?と思われる「オーロラ」「ドブロブニク」で自分的にはブレーキ掛かったような気がする。個人的好みとしては勢いで書いたようなパワーあふれる西加奈子が好きです。

  • 8人の女性を題材とした短編。一つの言葉で救われる。少女であったり妊娠した人であったり、キャバ嬢だったり、どこにでもいそうであり、誰もが悩みを抱えるであろう、物語の中ではそんな投げかけられる一言で、彼女たちは救われていく。短編だけれども、どれものめり込んだ。おばあちゃんとか外国人とかとっても西さん風。おばあちゃんが出てくる「ドラゴン・スープレックス」とおじいさんとのやりとりの「孫係」面白かったな。「マタニティ」は彼のこと、子供のこと、自分のこと、そして弱いということ、心をしっかり捉えよく書けている。何度も読み直したい本。

  • 今のお前を変えろ、と言われたら悲しくなるけど、西加奈子はたぶん、私が私のままでいることを肯定してくれる。変わらないまま、幸せになることを許してくれる。
    この本に関して言えば、全ての女がどこかで抱えているであろう傷に触れてくるのだろうし、それに気づかされもする。けれど、決してそれを責めたりしない。
    どうぞ安心して読んでください。

  • 20180201リクエスト
    「燃やす」
    かたちがないものは、燃やすことができない。本当に燃やしたいものを燃やすことができなくてすみません

    「孫係」
    係だと思ったら、なんだって出来るんです

  • 大好きな西さんの小説!
    短編集なのが歯がゆい。一つ一つが長編にも大河にもなりうるほどの質。なのに短編、これは計算なのか?!

    もの足りなさ120%の読み応えでせつない思いを抱いたまま、「うん、これで良し」と納得させられた読者は幸せ者。

    この後、おすすめした人にぜひぜひ感想を伺いたいものですわ。

  • 短編集。

    要所要所に来るよ、来るよ、
    西加奈子節、来るよ~っていう感じがした。

    それが私は割と好き。

    完璧なおじいちゃんを演じるおじいちゃんが好き。
    「孫係」がお気に入り。

  • 2016〜17年「ちくま」初出の7篇に書き下ろし1篇を加えた短編集

    「孫係」が良かった。
    長野に住む何事にも完璧な大学教授のおじいちゃまが、家に1か月滞在することになって、すみれは気詰まり。でも、おじいちゃまも気詰まりだと知って、二人はおじいちゃまと亡くなったおばあちゃまがかつてやっていたように、他の人たちのために素敵な孫と爺の係としてふるまい、二人だけの時は素で悪態もつくことにした。するとすっかり仲良くなり楽しくなってしまい、これからも電話で素の会話をすることになった。
    お母さんが最後まで素敵な娘として振舞っていたのも、同じなのだろうと、立派だとすみれは思う。

  • 様々な女性を主人公にした8つの物語を集めた短編集です。
    通して流れるのは西さんのテーマである”自己肯定”です。”こうでなければいけない”、”自分のこんな所が駄目だ”と思い悩む女性たちが、おじさんの一言をきっかけに”自己肯定”に向かいます。特に良い子を演じる少女と素敵な紳士を演じる祖父の交流を描く「孫係」は微笑ましく。
    実は最近、西さんの極端なキャラ設定、大阪の泥臭さなどが少し鼻に付いてきた感じでした。私の中で西さんの評価は大きく割れるのですが、どうも私の許容範囲を超える”だらしない”とか”自己中心”だったりする主人公が自己肯定をする作品には共感できず評価が悪くなってしまうみたいです。その点、この作品の主人公たちは、そこいらにも居そうな人達で、楽しく読むことができました。
    この作品について西さんは”全ての女性を肯定したい”と語っています。西さん、どうもすごく許容範囲の広い人の様です。

  • 「孫係」
    “誰かの期待に応えたいから、その人の望む自分でいる努力をする。”

    相手に好かれようと違う性格を演じたり、相手に合わせて自分をコロコロ変えたり、自分の気持ちに嘘をついて人と接することが、私はしょっちゅうある。そういう自分が大嫌い。格好悪いなって思ってた。でも、この短編を読んで、少し自分を許せそうになった。


    「ドラゴン・スープレックス」
    “何かに強く寄り添うと、他の何かをおろそかにしているような、他の何かを裏切っているような。”

    夫と母親との不仲に心痛めてる自分にとって、染みる短編でした。どちらも私にとっては大切なのにな。

  • 西さんの作品の殆どは、良いなと思うところと嫌だなと思うところが混在しているので、読むペースが遅くなります。上手く言えないけれど、西さん独特の「どぎつい」感じが苦手な時があります。この作品も心温かくなる所もたくさんあったけど、ちょっと喉につっかえるような嫌な感じもあって、前半は特に辛い感じ。孫係は素敵。燃やす、も良かったなぁ。ただ虫を殺す描写がどうしても苦手。生々しい残酷さが本当に嫌。言葉は何かを縛ることもできるけれど、解き放つこともできるんだなぁ。私もそんなおまじないの言葉を一つ持っている。大切にしよう。

全67件中 1 - 10件を表示

西加奈子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

おまじない (単行本)を本棚に登録しているひと

ツイートする