ベルリンは晴れているか (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
3.65
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本棚登録 : 2510
レビュー : 332
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804822

作品紹介・あらすじ

1945年7月、4カ国統治下のベルリン。恩人の不審死を知ったアウグステは彼の甥に訃報を届けるため陽気な泥棒と旅立つ。期待の新鋭、待望の書き下ろし長篇。

感想・レビュー・書評

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  • やっと読み終えた…
    ここのところ、なかなか読書する時間を作れなかったというのもあるが、読み進めるのが僕にとってはつらいところのある本だった。

    翻訳小説っぽいからかとも思ったが、それより登場人物がカタカナだと人物設定が頭に入ってこないからだろう。

    戦争に敗れ、4ヵ国統治下のベルリン。不審死を遂げた恩人についての真実をドイツ人の少女アウグステが追うロードノベル。

    はっきり言って、ストーリーに必然性を感じられず、ラストで明かされる真相も「なるほど」とは思ったけどモヤモヤが残る。アウグステに感情移入もしにくい。

    ただ、戦時や統治下のドイツの描写が圧倒的にリアル。凄惨な状況が目に浮かぶようで、歴史を学ぶという意味ではオススメです。

    • やまさん
      たけさん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      やま
      たけさん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      やま
      2019/11/21
    • たけさん
      やまさん
      おはようございます。

      こちらこそ、いいね!、ありがとうございます。
      やまさん
      おはようございます。

      こちらこそ、いいね!、ありがとうございます。
      2019/11/21
  • 太平洋戦争敗戦国の日本国民として、原爆投下の惨劇も含めて戦争の悲惨さや残虐性は、体験はしてないものの映像や文献で見聞きしてきたが、同時期同盟国のドイツ ベルリンの惨劇・混乱がここまでのものとは、思い至らなかった

    ナチ党支配下でのユダヤ人への迫害、密告、疑心暗鬼、強姦、窃盗、狂気・・
    昨日まで居た隣人が今日は消えている?!
    移住とは名ばかりの収容所送り
    昔見た「シンドラーのリスト」や「ホロコースト」を思い出した
    人間は自分が生き残るためには、ここまで残虐になれるものか

    途中、胸が痛くなり、読む進めるのが辛くなったが、主人公の少女アウグステと両親デートレフとマリアが、最後まで賢明で愛情深く、人道的だったのが救いだった

    戦後は戦後で、ソ連・アメリカ・イギリス、フランスの4カ国による分割統治

    連合国のトラックが行ったり来たりする。ソ連の鎌とハンマーの赤旗、アメリカの星条旗、イギリスのユニオンジャック、フランスのトリコロールをそれぞれにはためかせ、クラクションを鳴らし、大きな声で異国の言葉をしゃべる

    ブランデンブルクの門の柱には「ソヴィエト管理区域はここで終わり ここから先はイギリス管理区域」という、ロシア語、英語、ドイツ語の三ヶ国語で書かれた看板が立てかけてある

    解放された囚人やユダヤ人潜伏者によるナチス党員への報復
    想像を絶する光景だっただろう

    初めは、なぜアウグステは混乱の中、いろんな危険を冒して恩人の死を甥に伝えにいかなければならないのかその必然性が全く理解できず、また、地名やら人名やら分からないカタカナが多く、しんどくなったが最後に全ての謎が解けた

    巻末の膨大な量の参考文献を見ると、著者のこの作品にかける並々ならぬ努力と熱意が伝わってくる
    その意味でも、文中の描写は、市街地地図と合わせ信憑性があり、歴史的記録としても意味があるのではないかと思った







  • 終戦直後のドイツ・ベルリンを舞台にしたミステリー。
    主人公は、両親を失い、ソビエト赤軍兵士から市街戦のさなかに陵辱を受け、その兵士のライフルを奪って殺した経験のある17歳のドイツ人少女・アウグステ。
    終戦後、英語ができたアウグステは占領軍である米軍の食堂施設でウエイトレスとして働いていたが、戦時中、自分を匿ってくれた恩人が殺されたことを知る。アウグステは、ひょんなことから知り合いとなった元俳優のカフカと共にその恩人の死の真相を追っていく。

    戦中と戦後の状況が交互に語られ、ヒトラーが台頭するドイツがいかにして戦争を繰り広げ、それが一国民の生活をどのように変えていったかも詳細に描かれる。
    まさに、ミステリーの真骨頂。
    特筆すべきは、日本人が書いたとは思えない筆者の圧倒的リアリティーのある戦時中、戦後のベルリンの描写。
    筆者の『戦場のコックたち』もそうだが、小説の主人公の目を通して、読者はその時代のその日、その日を追体験させられる。まさに映画を見ているかのように脳裏に鮮明にその光景が映し出される。
     
    終戦直後の東京ならば、空襲により焼け野原になった状況など、日本人ならいろいろなメディア(教科書や当時のニュースや今まで作成されたドラマや映画)によって知識を持っているが、同じような状況であったはずのドイツ・ベルリンのことはよく知らない。
    ベルリンはソビエト軍、アメリカ軍、イギリス軍等によりそれぞれ部分的に占領された。
    特に対ドイツ戦で最大の戦死者を出したソビエト軍人の「ドイツ人憎し」の感情は想像に余りある。

    ヒトラーが台頭し、今までの日常が日常では無くなっていく、そのような異常な状況のなか、ユダヤ人へ迫害や障害者やポーランド等の被占領外国人への差別など、戦中のさまざまな狂気が淡々と描き出され、そして壊滅的な終戦を迎える。

    娯楽エンターテイメント・歴史ミステリー!・・・としては読めないが、読者がこの小説を体験することは、いろいろな意味で価値あることだと思う。

  • 『戦場のコックたち』が良かったので似たような戦中・終戦直後のミステリーということで読んでみた。

    戦時下・終戦直後のベルリンを舞台にしたというところが非常に興味深い。
    巻末の参考文献一覧の数を見ただけでも、作家さんが相当この作品を描くために勉強・取材をされたことが分かるし、この作品を描くために相当の情熱を注がれたであろうことも分かる。

    日本と同様、戦中の価値観が終戦後には180度変わってしまう。
    だが日本と違うのはアメリカ軍だけではなく、ソビエト、イギリスと幾つもの国が入ってきてドイツの取り分について争っているところ。
    個人的にはこのような状況に興味があったのでもう少し掘り下げてほしかったところだが、本筋はそこではないので仕方ない。
    終戦直後の現在と戦時下の過去とが同時進行で描かれ、最後に双方がクロスするときにすべての謎が明かされる。
    ミステリーでもありサスペンスでもあり、何か重いものを抱えてどこか諦めたような感すら見せる主人公とちょっとコミカルな相棒というキャラクターのバランスもあって、最後まで飽きさせずに読み手を引っ張ってくれた。

    人の命など『国益』という名の権力の前では塵芥ほどの軽さしかなかった混乱期。
    その中で起きた犯罪の重さは戦中と戦後では変わるものなのか。
    もう一つのプロパガンダに加担した罪もどうなのか。こちらは何となく満州での李香蘭を思い起こさせた。それしか生きる道がなかったのだ、反抗すれば命がなかったという理由で許されるのか、だったら命を賭して反抗すれば良かったのか、それは誰にも答えは出せない。

    絶望的な世界で次々起こる残酷な、事件とすら言えないほど日常的な出来事を淡々と描き、深刻なのに残酷になり過ぎず描いていく技量はさすがだと思った。

    ドイツに限ったことではない、世界中で戦中・終戦後の混乱期に人々が抱えた傷は複雑で暗く深い。
    戦争のことを語りたくない人が多いのも理解できる。

  • 祖国が戦争に負けた。
    それにより人々の運命は180度変わってしまった。
    こんなにもあっさりと。
    戦争というものは、領土や権力を争うことは、こんなにも人々の生き方を変えるのものなのか。
    信じていた国や指導者に棄てられた上、他国に乗っ取られた人々の失望と怒り。
    降伏の証として白い布を体に巻きつけなければならない屈辱。
    それでも生きていく、底知れぬパワー。

    「確かに色々ありました。でも今は、灰色の曇天がやっと晴れた心地でいます」
    吹っ切れたように笑顔で語る主人公・アウグステ。
    彼女の目に映るベルリンの空は、その後も爽やかな青空であることを祈る。

    戦後を描いた『本編』と戦前戦中を描いた『幕間』のあまりの温度差に、遣りきれなくなる。
    そしてこれら二つの物語が重なった時、ミステリの真実が明らかになりとても読みやすかった。
    また、戦争に翻弄されるドイツについて具体的に知ることができた。
    この時代を経験したかのようなリアルな文章にすっかり夢中になる。
    直木賞候補作は3作品(本作と『熱帯』『宝島』)しか読んでいないけれど本作品が一番好き。

  • 戦争直後ベルリンで少女が成り行きで仲間となった人達とともに人探しをする珍道中と、幕間の戦時中の暮らしが段々と狂気化し悲惨になる様子が交互に描かれる。『エーミールと探偵たち』や『試作品第一号』等小道具もいい。戦争への蹴りをつけようともがく者達の世界観に引き込まれて一気に読んだ。

  • ドイツ人少女アウグステ。戦争中大変世話になった男性が歯磨き粉に含まれる毒で死んでしまう。そのことでアウグステは犯人と疑われる中、元俳優の男性とともに、死んでしまった男性の甥に死を知らせようと旅立つ。

    もうそこは戦後のベルリンでした。
    ページをめくるとベルリンの世界が広がって、その街を歩いているような感じになるくらい、しっかりとした空気で書かれていました。
    誰が死に至らしめたかのか、なぜかだけではなく、その時代、戦後の米ソ英仏の占領下に置かれているベルリンの様子、いや、その前のナチスが筆頭になるまでの様子も人々の心理も詳細に書き上げられ、圧巻です。読んでて悲しくなる部分はたくさんです。「”戦争だったから”と自分に言い聞かせてきた」とかユダヤ人や障碍者への行為。私たちは歴史を振り返らねばなりませんね。「自由だ。もうどこにでもいける。なんでも読める。どんな言語でも」その言葉がとても重いです。

    カフカが魅力的に書かれていました。手紙も良かったです。

  • 75年前の遠くない過去に世界大戦があり、混沌としていたことを再認識させられた。焼け野原だった敗戦国が、今の豊かな街並みになっていることに、改めて凄いことに思える。

    ドイツは日本と同じ敗戦国。でも大陸にあると4カ国に統治されていたのですね。知らなかった。

    民族主義によるユダヤ人の迫害。煽動された狂気が恐ろしい。幕間でのアウグストが子供の頃の体験が恐ろしすぎた。

    一冊の黄色い本に自由を感じるシーン。この歴史を忘れてはいけないと強く思った。

  • 人間はここまで残酷になれるのか、目を背けたくなるが、決して背けてはいけない過去の過ち。
    本能がえぐられる。とても軽すぎる命。
    今回もあらすじを知らずに読み始めたが、アンネの日記を彷彿させる、辛い出来事を背景とし、人として何が正しく、何が誤りなのか、改めて考えさせられた。

  • 戦中戦後直後のドイツを描いた長編ミステリー。まあ、よくここまで丹念に調べて書き上げたものだ! ノンフィクションかと思えるほど...。前半は少々冗長だが、中盤から後半にかけての展開はテンポアップ。やや力技っぽいところが気にかかるが、政治、優生思想、罪の意識の変容や戦争を止められなかった構造を改めて考えさせられた。

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著者プロフィール

1983年神奈川県生まれ。2010年「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年に刊行した長編小説『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞7位、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』では第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞第3位、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補となった。

「2020年 『この本を盗む者は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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