ぐるり (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
3.58
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本棚登録 : 231
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480805027

作品紹介・あらすじ

夫婦、友達、親子。この地球に生きる私達の日常は奇跡のような出会いとすれ違いの積み重ねでできている。19編の短篇からなる初の小説集。挿絵 奈良美智

感想・レビュー・書評

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  • 高橋久美子さん、略歴にあまりはっきり書いてないから、すぐに気づかなかったのだけど、もしかしたら、と調べたら、やっぱり元チャットモンチーのドラム叩いていた方だった。

    チャットモンチーは日本の音楽史上最高に素晴らしい女子スリーピース・バンドだった。(高橋さんは2011年にバンドを脱退。バンド自体は2018年に完結)
    高橋さんはバンドの代表作「シャングリラ」をはじめ作詞も手掛けていらした。
    「愛捨てた」とか、
    「8cmのピンヒール」とか、
    「真夜中遊園地」とか、
    「風吹けば恋」とか、
    「湯気」とか、
    キュンとくるステキな詞をたくさん書いている。

    この短編集には、そんなキュンとくる世界観のままの短編が19編も詰まっている。

    大きなしかけもないがじわじわとくる。
    小さなキラキラした日常やちょっと不思議な非日常が入り混じり、それをDJ(クラブでなくラジオの)がゆるくつなぐ。
    ぐるりとつながって、
    「まあいいや、明日もテキトーにがんばろ」と思う。

    ゆるいポジティブさがなんとも言えず心地よい。


    そんな19編の中で「星の歌」はSFチックで異質な作品だった。

    ウイルスと感染症でヘルメットをつけていないと生きていけない近未来。ヘルメットは翻訳も送信もしてくれるから声などという原始的なものを使ったことがないジョン。
    そんなジョンが洋子に誘われて生まれて歌をうたう。
    すると、新しい宇宙が始まり、10年ぶりに雨が降る…という話。

    まるでマスクにがんじがらめで歌もろくに歌えないコロナ禍をデフォルメしているような作品だな、と思って読んだ。
    その一編を読んだ夜、仲直りしたうちの娘と、2年半ぶりくらいにカラオケに行った。
    久々に歌ったら新しい宇宙が始まった感じはしたけど、初めて歌ったヒゲダンの「Cry Baby」が難しすぎて気持ちよくはなれず、不完全燃焼…。

    • たけさん
      naonaoさん

      BUMPはほぼ初心者ですが、「天体観測」は歌いますよ。キーは全体的に低くはないと思いますが、高低差が激しいイメージがあり...
      naonaoさん

      BUMPはほぼ初心者ですが、「天体観測」は歌いますよ。キーは全体的に低くはないと思いますが、高低差が激しいイメージがあります。
      念仏ですか笑
      わかる気がします笑

      最近、通勤電車で復習してます。Apple Musicで「HANABI 」聴きながら心の中で熱唱です。もしかしたら自然に声が漏れているかもしれません
      もういっかいもういっかーーいって笑
      2022/05/31
    • naonaonao16gさん
      おはようございます。

      なるほど、確かに他の曲もサビは結構高いけど、歌い出しは低め、という曲が多いかもしれません。念仏的な…笑

      先日、風強...
      おはようございます。

      なるほど、確かに他の曲もサビは結構高いけど、歌い出しは低め、という曲が多いかもしれません。念仏的な…笑

      先日、風強くて人少なかったので、道路をちょっとマスク外して歩いてたんですよ。
      そしたら、口パクで歌ってる自分がいて笑
      最近のマスク生活ですっかり口元が緩んでいたみたいでした笑
      「HANABI」みたいな歌ってて心地いい曲はまじで要注意ですよ!
      2022/06/01
    • たけさん
      naonaoさん。

      政府も最近は「外ではマスクはずせ」って言ってますからね。
      マスク下でだらしなくなっている口元、注意が必要ですね笑
      naonaoさん。

      政府も最近は「外ではマスクはずせ」って言ってますからね。
      マスク下でだらしなくなっている口元、注意が必要ですね笑
      2022/06/02
  • 以前ラジオ番組で柔らかな話ぶりが素敵だった高橋久美子さんの連作風短編集。音楽活動の部分をあまり知らないのでラジオの時と同じようなふんわりしてちょっと笑えて素直な感じが心地よい。DJ部分とジョン&ヨーコ感と奈良美智さんの絵も素敵。

  • 高橋久美子、初の小説集は「何回も読み返せる“スルメ小説”」 | ananニュース – マガジンハウス
    https://ananweb.jp/news/354484/

    筑摩書房 ぐるり 高橋久美子
    https://www.chikumashobo.co.jp/special/gururi/

    筑摩書房 ぐるり / 高橋 久美子 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480805027/

  • 因果はぐるりとめぐる。というのは大げさだけれども、世界はみんなつながりあって、日常を生きている。
    少し音楽をにじませる、優しさに満ちた連作短編集です。

    著者はチャットモンチーの高橋久美子、挿画は世界の奈良美智。
    小説の出来からいっても、もっと話題になってもいいのでは?と思う。

  • とても軽い感じで、すいすい読めちゃうのだけど、そのすいすいが心地よいかよくないかって、文章の力だなあ、と思う。力というか、リズムというか。そう、あまりにテンポが良いので、なんでだろう、と調べたら、著者の方、元チャットモンチー!!!そりゃリズムだわ!テンポだわ!ビートだわ!そら奈良さんだわー!

    自分だったり友だちだったり、すぐ近くにいる人からお茶飲みながら聞いているみたいな、小さな物語がとんとんと進んでいく。後半、あ、さっきでてきた人だ、と、ちがう物語ですれ違う。その交錯の絶妙なタイミングに、ほっこりしたり、なつかしいような気持ちになったり。みんながそれぞれの生活をそれぞれのスピードで生きている、という当たり前のことが、尊い、と思わせてくれる。

  • ぐるりという名前の通り、なんとなく繋がってる短編の集まりという感じの本でした。

  • 奈良美智さんの表紙に惹かれ、
    最初の短編から何となく読み進める。

    俄然、面白くなってきたのは、
    ん?これ、前の話に出て来た人じゃない?
    と気づいてから。
    (DJ久保田#1のあたり…遅いかも笑)

    気づく前から、どのお話でもどこか
    必ず良い意味で引っかかる1文があった。


    1.反論もしないが言い訳する必要ももはやなかった。
    2.表面だけを綺麗に取り繕って、その上は正確に水は流れた。傷つくこともないが、深まりあうこともなかった。
    などなど

    蟻の王様の甚太くん、
    サトマリファンの百合子さんとお友だち、
    指輪物語のおばあちゃん、
    みんなどこか自分に近いようで、
    理想であって魅力的♪

    スミレと白い地下足袋、
    四月の旅人が好きだった。
    シャランシャラン。
    私の鳴らす鈴の音も、こうしてどこかで
    誰か?道端の花や草たちが聞いてくれてるのだろうか。なんて考える。

    最後のDJ久保田#2の
    名曲喫茶の種明かしも好き。

    世の中、どこかで少しずつ、
    重なって繋がって
    楽しいことも切ないことも
    ぐるりと回って1まわり。
    繋がっているのかな?
    そんなふうに思える温かな1冊です。


  • 短編が少しずつ「ぐるり」と繋がって、人々の忘れ去られてしまうような出来事の数々が、その総体が自分たちの世界なのかもしれないと思わされる。隣の見知らぬ人も、自分の円にぐるりと繋がっているのかもしれない。
    ストーリーではなくて、これは登場人物(人以外もいるが)たちの人生のワンシーンなのだろう。
    詩的なのに生っぽい。そんな余韻が読了後に残る、不思議な作品。


  • 「いいや、食べるものではないんだ。切り取ってずっと持っていて、時々眺めたりするそうだ。お前も今に分かるようになるさ」


    くみこさんの歌詞が本当に大好きである。
    普通の人の、どこにでもあるような出来事。それはもしかしたら自分の記憶かもしれないと錯覚するような。


    「自販機のモスキート、宇宙のビート版」は「雲走る」とか「キャラメルプリン」。
    「卒業式」は「サラバ青春」みを感じた。


    いちばん好きだったのは「私の彼方」。


    戻らない時間に胸が痛むこともあるけれど、
    どこにでもあるようなことの、でも自分の中にだけ残った思い出が、自分を作っているのかもしれない。

    自分であること、自分だったこと。
    他人のこと、他人だったこと。

    ぐるりとみんな繋がっているのかもしれないな。

    チャットモンチーを放課後の教室で聴いていた16歳の私も、その頃周りにいたあの子たちも、たしかにずっと私の中にいる。

  • 友情、家族、恋愛、SFのような物語まで、いろんな短編集。ほどよい長さで読みやすかった。読んでいて画が浮かぶ。日常の何気ない人間描写が楽しかった。
    明るさの中に切なさがあり、その切なさにハッとさせられた。誰もが感じたことのあるような感情が、楽しく動くように跳ねる。人生は楽しいことも悲しことも全部自分のもので過去と今、そして未来も、ぐるりと繋がっているんだなと思った。愛媛で育ち、学生時代、上京しバンド活動。いろんな経験をしたくみこんだからこそ書ける物語。くみこんらしい文章だなと素直に感じた。読んだ後、美味しい物食べて明日も頑張ろー!と思った素敵な短編集。

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著者プロフィール

作家・詩人・作詞家。1982年愛媛県生まれ。音楽活動を経て、詩、小説、エッセイ、絵本の執筆、翻訳、様々なアーティストへの歌詞提供など文筆業を続ける。また、農や食について考える「新春みかんの会」を主催する。著書に小説集『ぐるり』(筑摩書房)、エッセイ集『その農地、私が買います』(ミシマ社)、『旅を栖とす』(KADOKAWA)、『いっぴき』(ちくま文庫)、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』(ちいさいミシマ社)、絵本『あしたが きらいな うさぎ』(マイクロマガジン社)など。

「2022年 『一生のお願い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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