- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480805164
作品紹介・あらすじ
構想・執筆10年――
稀代のストーリーテラーが辿り着いた最高到達点=バレエ小説
「俺は世界を戦慄せしめているか?」
自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家の萬春(よろず・はる)。
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。
舞踊の「神」を追い求めた一人の天才をめぐる傑作長編小説。
史上初の直木賞&本屋大賞をW受賞した『蜜蜂と遠雷』や演劇主題の『チョコレートコスモス』など、
表現者を描いた作品で多くの読者の心を掴みつづける恩田陸の新たな代表作、誕生!
ページをめくるとダンサーが踊りだす「パラパラ漫画」付き(電子版には収録なし)
感想・レビュー・書評
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この作品は、一体どうやってレビューしたらいいのか非常に困りました。
ストーリーがあまりないのです。
4章から成っていて、それぞれ違う人物の視点です。
Ⅰ跳ねる
HALこと萬春(よろずはる)のバレエ学校の友人深津純からみたHAL。JunとHALは二人で前と後ろに顔のある神『ヤヌス』を踊ります。
Ⅱ芽吹く
春の叔父の稔の視点。
春の父は陸上をやっていて、母は体操をやっていました。しかし、春は体操を見て「あれじゃない」と言いました。春はバレエと出会います。
バレエ教師森尾つかさ先生とつかさの夫セルゲイとの出会い。
Ⅲ湧き出す
春の幼なじみの姉妹の妹、七瀬の語り。
七瀬はバレエの振付師となった春に頼まれてバレエ音楽を作曲するようになります。
Ⅳ春になる
主人公、春の語り。
バレエの振付師となった春が『春の祭典』を作り上げます。
これを読んで恩田陸さんのピアノコンクールの小説『蜜蜂と遠雷』を思い出しましたが、あちらはコンクールという中軸があるのに対し、こちらは視点が四つあるうえ、話もバラバラで中軸が見えませんでした。
春という、恵まれた才能をどう生かしてバレエの世界で生きていくのか描く筆致はやはり小説を書きなれた恩田さんの才が煌いているとは思いました。
私的な事ですが、私はピアノは20年以上やっていましたが、バレエについてはよく知らず、あまり興味も持っていないのでいまひとつでした。
左下の隅にあるバレエを踊る人物のパラパラ漫画が美しいと思いました。 -
恩田さんの新作ということで、本作を手に取りました。恩田さんの表現力と描写の素晴らしさは相変わらずで、楽しく読めたと思いますが、これまでの作品と比べるとそこまでかなって感じがしました
本作のテーマは「バレエ」。正直、私にとって馴染みのない題材ではございましたが、風景や情景が感じられるくらい恩田さんの描写と表現力は素晴らしかったと思います。
内容としては、1人の天才バレエダンサーの「春」を4人の視点から描いた作品で、「友人」や「身内」、「仕事仲間」など、それぞれの視点から天才の姿が描かれます。それぞれの思い入れのある演目や思い出を語りながらも、共通して天才ならではの感覚とかを礼賛する描写があり、それぞれの視点から天才の顔というのがだんだん明らかになっていくという構成でした。
恩田さんの作品では特に「蜜蜂と遠雷」が好きなのですが、その好きな作品の雰囲気を醸し出してただけに、ストーリー展開が期待してたものと違ってたこともあったので評価は少し辛めになったのかなと思います。しかし、恩田さんの素晴らしい表現力を楽しむことのできる作品ですので、未読の方にはぜひ読んでもらいたいです。 -
ハルの物語をそれぞれの角度からみていて楽しい物語でした。言葉の使い方がとても心に残って読後感も凄く良かったです。
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またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
この本、図書館で3か月待ちでした。
しかもタイムアップ…。
いつか読まねば!またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
この本、図書館で3か月待ちでした。
しかもタイムアップ…。
いつか読まねば!2024/12/20 -
何時もコメントありがとうございます!
物語に個性豊かな天才達がそれぞれの角度からの
感じ方を凄く繊細に描写していて楽しいです。
恩田陸さんの...何時もコメントありがとうございます!
物語に個性豊かな天才達がそれぞれの角度からの
感じ方を凄く繊細に描写していて楽しいです。
恩田陸さんの世界観は大好きです!2024/12/20 -
2024/12/20
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読み始めてから5日以上も掛かり、中々進まなかった。『蜜蜂と遠雷』と近い内容ではあるが、バレエには馴染みが少ないことと、ピアノコンテストのような緊迫感が無いからだろうか。
4章あり、ライバルの青年の視点、少年期の叔父の視点、成長してからの幼な馴染みの妹の視点、主人公の視点で進行して行く。バレエに詳しい方には映像が浮き上がるのかも知れないし、クラシックはよく聞くものの、バレエ音楽やオペラ音楽も馴染みが無いので、頭に音楽が浮かばない。展開や文体が流れるように進むので、表面だけ読み取ってしまった。 -
「蜂蜜と遠雷」のバレエバージョンのような物語。
才能溢れる萬春を、4章それぞれ違った人物の目線で見せていく。
恩田陸さんが「今まで書いた主人公の中で、これほど萌えたのは初めて」と仰っているところに申し訳ないけど、1章、2章と読み進めるごとに春のイメージが…
それと、ピアノほど馴染みがないせいか、細かな描写がスムーズに入ってこなかった。
バレエに詳しい人だともっと楽しめるんだろうな。-
へぶたんさん
面白かったんだけど、私の中の主人公の春のイメージが章が進むにつれて崩れていってしまって(^_^;)
蜂蜜…の方が断然好きでした...へぶたんさん
面白かったんだけど、私の中の主人公の春のイメージが章が進むにつれて崩れていってしまって(^_^;)
蜂蜜…の方が断然好きでした。
って、これから読もうとしてる人に言うことじゃないなぁ( ゚д゚)ハッ!2024/05/23 -
いえいえ、ねこさんのその感想も含めて、読むの楽しみですよ〜♪最後どう思うかな?o(^o^)oいえいえ、ねこさんのその感想も含めて、読むの楽しみですよ〜♪最後どう思うかな?o(^o^)o2024/05/23
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へぶたんさんの感想も楽しみにしてますね♪
読み終えたら、私の言ってる意味がきっとわかると思います(*^_^*)へぶたんさんの感想も楽しみにしてますね♪
読み終えたら、私の言ってる意味がきっとわかると思います(*^_^*)2024/05/23
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バレエダンスを文章表現に落とし込むのはかなり難しい気がしたが、そこは圧巻の語彙力と熱量で上手く描写されていたと思う。読んでいて面白かったし、流石だなと思った。
ただ、バレエは敷居が高く一般的に馴染みの薄い芸術だと思うので、ピアノというイメージし易い音楽を扱った『蜜蜂と遠雷』と比較してしまうと、感情移入や没入感といった部分では一歩及ばすといった感じ。なので、俯瞰して一人の天才ダンサーの人物史として読むとしっくりくるし、凄く良い作品。 -
本を紹介する番組で、“構想10年”の話を聞き、興味を持ち、読み始めました。バレエの知識は、まったくです。1〜3章と4章とで、作品の雰囲気が変わった印象を持ちました。それまでは、主人公は、圧倒的天才で、もはや異次元の人みたいな。読み進めると、答え合わせをしているような気になりました。「舞台はディナーのようなもの」というフレーズが納得でした。
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バレエの天才少年、萬春をライバル、叔父、幼馴染の客観的視点からと春本人の主体的視点からなる物語。
バレエに興味があまりない人にはハマらないかも。
淡々としたストーリーだけど、私は嫌いではなかった。
ギフテッドの子たちが「これだ!」と思うもの「カチッ」とハマるものに出会えたら、春のような人生を送れるのかもしれない。
子供の頃、友達の発表会を見たきりで全然無縁だけど、音楽も絵画も小説もバレエの題材になるなんて知らなかった。
「俺はバレエの神様の贄だ」って、すごい言葉だ。 -
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◆湧き出す無邪気さと天才性[評]大森望(翻訳家・書評家)
<書評>『spring』恩田陸 著:東京新聞 TOKYO Web
https://...◆湧き出す無邪気さと天才性[評]大森望(翻訳家・書評家)
<書評>『spring』恩田陸 著:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/319603?rct=shohyo2024/04/08 -
天才を描く人。小説家・恩田 陸『spring』インタビュー | 【GINZA】東京発信の最新ファッション&カルチャー情報(29 Apr 20...天才を描く人。小説家・恩田 陸『spring』インタビュー | 【GINZA】東京発信の最新ファッション&カルチャー情報(29 Apr 2024)
https://ginzamag.com/categories/interview/4495332024/05/08 -
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『spring』刊行記念書き下ろし短編
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『spring』刊行記念書き下ろし短編
H.H.邸におけるチャリティー・ディナー・パーティ 恩田陸
https://www.chikumashobo.co.jp/blog/pr_chikuma/entry/1662/2024/05/08
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文章でバレエを描く。。描かれている。と思う。
映像が演者が音楽がそこで見えているように感じた。
主人公は全章通して、萬春という(ギフテット?)
バレエダンサー&振付師である。
第1章 跳ねる ←深津純
第2章 芽吹く ←稔おじさん
第3章 湧き出す ←幼馴染の七瀬
第4章 春になる ←春自身
それぞれの目線で描かれている。
特に1章が難解だった・・w バレエに造詣が深い人でないと理解できないのでは?と思わせた。
コンクールやプリンシパルへの道というような、わかりやすい設定ではなく、もっと奥深い、バレエという芸術をとことん追求し、ダンサーがそして振付師がバレエの神様の域に到達するまでの道のりを描いたものと理解した。
この世界に没するには、かなりの芸術的な知識や感性が必要かと思います。
著者プロフィール
恩田陸の作品






ピアノは教えていたこともあるんです。
高校の時、音大受験を勧められたけど、しなかったんですが、あとからピアノの先生になる...
ピアノは教えていたこともあるんです。
高校の時、音大受験を勧められたけど、しなかったんですが、あとからピアノの先生になるべきだったと思いました。
いえ、とんでもありません。
いえ、とんでもありません。