魔利のひとりごと

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 66
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480814142

感想・レビュー・書評

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  • ずっと森茉莉の存在は知らなかった。縁とは奇なるものである。挿し絵は佐野洋子である。この不世出の二人のくそ婆が作る美しき逸品。

  • 彼女が、薔薇だの黄金だの、色の名前を書くとき。その色は、本来以上の『くすみ』と『美しさ』をもって目の前に浮かんでくるような気がして。改めて、ああ彼女の書くこのような文章が好きなのだと思った次第。

  •  読めば読むほど、とにかく不思議な方だと思わずにはいられない。まず、自分の美を貫くというのが最初のイメージだった。例えば本書でも、石鹸を「せっけん」と言わずに「サヴォン」という話がある。語感としての感覚や、音とともに自分の中にある思い出を大切にし続ける。どこか子どものような純粋さだと言えるかもしれない。

     かと思えば、失くしてしまった宝石の思い出を書き綴っていて、常人なら「それほど思い入れがあるものなら、なぜ失くしてしまったの」と問いかけたくなるようなところもある。この独特の価値観がとても面白い。とらえどころのないところが魅力なのだと思う。 

  • 言葉の使い方は美しいところがあるけれど、内容は薄い。
    うわべが大好きなお嬢様、ということがよく感じられた。

  • 『魔利』というのは音のまんま、森『茉莉』を示しています。簡単に言うとエッセイ集です。
    綺麗な物が大好きで、綺麗な物に囲まれて生きた少女(年齢ではなく心が)の話。

    特筆すべきは、やはり独特の文体だと思います。
    言葉に拘りを持っていて、カタカナ、漢字、フリガナの表記が本当に綺麗!慣れるまでは、 か な り 読みにくいですが(苦笑)

    先ほど『エッセイ』というくくりに入れましたが、かなり詩的な文章です。
    別のエッセイ『薔薇くい姫』で言葉の通り『薔薇』を『く』う場面もありましたが、まさにそんな感じ。現実離れしています。素で耽美の世界。
    何を見るにも確固たる自分の視点からズバズバ切っていくのがいっそ心地良いです。こんな人いるんだ!

    この本の中で私が好きなのは
    『石鹸・固形香水・花の香い』
    『時刻の翼』
    『奥さんとお内儀さん』
    の3編。

  • 2012年10月20日

    装丁/多田進

  • 何故面白いのかと問われれば、彼女の中に確固たる自分が存在していて、その内なる自身の年齢幅がとても広いから、と答えたい。お仏蘭西への憧憬を夢見る少女のように語り、自分の写真が老いて見えるのはカメラと私の間に入り込む「妖婆」のせいだと子供の言い訳のように語り、「奥さんとお内儀さん」の違いを口うるさい姑のように語る彼女。身近にはウザくていて欲しくないけれど、時々はお会いしたくなるお人である。たくさん笑わせてもらった。

  • 『新婦人』昭和39年1〜12月に連載された、お気に入りの石鹸(シャボンとルビを必ず振る事)や香水、宝石、子供の頃の思い出、時刻(ときとルビを振ること)、巴里での生活やキャフェについての極上なエッセイ集。本当に森茉莉の文章を読むと自分の日々の暮らしを省み、そして美しい日本語に触れてほっとする。この中で常用しているという、丸善の「ベエラム」という香水の香いを嗅いでみたい。

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著者プロフィール

1903~87年、東京生まれ。森鴎外の長女。1957年、父への憧憬を繊細な文体で描いた『父の帽子』で日本エッセイストクラブ賞受賞。著書に『恋人たちの森』(田村俊子賞)、『甘い蜜の部屋』(泉鏡花賞)等。

「2018年 『ほろ酔い天国 ごきげん文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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