なんらかの事情

著者 :
  • 筑摩書房
3.96
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本棚登録 : 1148
感想 : 153
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480815163

感想・レビュー・書評

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  • 『ねにもつタイプ』の続編エッセイ。
    最高に面白い。

    ふとした疑問や出来事をきっかけに、自虐と妄想で膨らませた何の話?的岸本節は”クックックッ”と笑えるものばかり。

    あとがきで触れた本書の刊行経緯を、見つけてもらえなかったかくれんぼに喩えたところ(本当は単行本になったら終わると思っていたのだけど、誰にも見つけてもらえなかったので、勢いで続けた、何なら「も~いいよ~」に誰からも反応がなく見つからないのをいいことに、節を付けたり、変な声で言ったり、踊りながら言ったりとやりたい放題)なんか、まさにそんな感じの文章達だなぁと、その喩えのセンスに脱帽。

    「キラキラ」で語られる友人のエピソードが、実は岸本さんのエッセイの真髄なのではと感じ、特に興味深かった。

    未読のエッセイがあと何冊かあるけど、ふとした瞬間に訪れる「未読の岸本さんのエッセイが読みたい!」の欲求に応じるものが無くなると思うと、もったいなくて今はまだ読む気になれないという感覚を抱く。

  • 前々から読んでみようと思っていたのに、書店や図書館に行くと作者の名前も本のタイトルも思い出せなくて、なんだったかな…と思っていた本なのですが、やっと思い出すことができました。

    いやはや、ツボりました。
    収録されている2つ目のエッセイ、ダース・ベイダー卿の日常に思いを馳せる「ダース考」で早くも岸本さんにメロメロになってしまいました。
    この絶妙な冷静さと突飛さのバランス、癖になります。
    「検非違使」という単語で、こんなに笑ったのは初めてです。

    そしてエッセイを惹きたてるクラフト・ヴィング商會のお二人のイラストもすてき。
    紙面の余白までおしゃれなんだもの。

    あれよあれよという間に読了。
    あとがきを読みながら、「あれ?もしかして、私が今まで思い出せなかったのも、岸本マジックだったのでは…」と、失礼なことを思ってしまいました。(無論、私の記憶力やメモをしていないズボラさゆえなのですが…)
    また思い出せなくなる前に、『ねにもつタイプ』も読まなくちゃ。

  • 『なんらかの事情』読了。
    以前読んだエッセイの第二弾(以前の時は第三弾だった)。だーらだらだらした感じで読みました。内容はぶっちゃけ覚えてない。けど、時折くすくすと笑えてその度に心が軽くなった。本はいいですね〜、なるべく1日のどこかで本を読む時間を作るようにしたい。

    2021.9.9(1回目)

  • 岸本さま

    この本で、遅ればせながらあなたに初めて出会いました。
    そして・・・好きになってしまいました。
    ふとした思いつきや気づきから、どんどん暴走していくあなた。
    通勤電車の中で笑わせるの、やめてください(笑)
    隣のおばちゃんが、くつくつと悶絶している私を見て、
    怪訝そうな顔をしています。

    「もう四捨五入をすると百なので、
    そろそろ次のことを考えておいたほうがいい気がする。」
    ってことはですよ、岸本さん、
    四捨五入したら私まだゼロ歳じゃないですか!?
    じゃあまだまだまっさらな気持ちで挑戦できちゃったりして!
    なんて、勝手にとっても元気づけらました。

    はい、私もかなり暴走気味です。すみません。

  • 翻訳家、というひとはふたつの言語が頭の中にあるためだろうか。発想のおもしろい人が多い気がする。この発想はどちらの言語で考えるのだろうか?ときに交錯してしまうのではないか?突如現れることばに、「えっ?!」とか、「ふうむ」とか、爆笑!とか、いきなりカウンターを喰らってばかり。
    たとえば「ごんす」。このことばが突然浮かぶと、岸本さんのなかでがらがらとあるものが崩れていく。
    エッセイだけど、私小説でもある。その境界線を楽しむ。3冊めなので、やや慣れてしまった自分が残念。

  • 岸本佐知子エッセイ第三弾。個人的には2冊目の『ねにもつタイプ』が一番面白かったけど、これもなかなか。
    五十音の話(「やぼう」)、糸通しのはなし(「マシンの身だしなみ」)、ごわす化(「素敵なアロマ生活」)など、面白くて、つい子どもに音読してやってしまいました。
    こういう言語感覚の持ち主だからこそ、独特の感性に引っかかる作家を見つけて、翻訳することができるのだろう。
    岸本エッセイは学校図書館に必ず置くべきだと思う。
    言葉というものの面白さがストレートに伝わってくる。

  • やっぱり好き。この妄想の疾走感。

  • エッセイの名手

  • 癖になる系の文

  • 「気になる部分」「ねにもつタイプ」ときて、「なんらかの事情」。どれもすごく好き。

    突飛だけど「なんかわかる」「なんか懐かしい」不思議なエピソードをとても豊かな日本語で表現。おもしろおかしいのに、いつも少し物悲しい。

    この人の知性と感性と想像力にはいつも感服してしまう。似たような思い出があったとしても、とてもこんな風には文章化できないもの。

著者プロフィール

岸本 佐知子(きしもと・さちこ):上智大学文学部英文学科卒業。翻訳家。主な訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、ニコルソン・ベイカー『中二階』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、リディア・デイヴィス『話の終わり』、スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』、ショーン・タン『セミ』、アリ・スミス『五月 その他の短篇』。編訳書に『変愛小説集』、『楽しい夜』、『コドモノセカイ』など。著書に『気になる部分』、『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)、『なんらかの事情』、『死ぬまでに行きたい海』など。

「2023年 『ひみつのしつもん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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