なんらかの事情

著者 :
  • 筑摩書房
3.97
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本棚登録 : 973
レビュー : 136
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480815163

作品紹介・あらすじ

聞くたびに変な気持ちになる言葉がある。第23回講談社エッセイ賞受賞『ねにもつタイプ』より6年、待望の最新エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 岸本さま

    この本で、遅ればせながらあなたに初めて出会いました。
    そして・・・好きになってしまいました。
    ふとした思いつきや気づきから、どんどん暴走していくあなた。
    通勤電車の中で笑わせるの、やめてください(笑)
    隣のおばちゃんが、くつくつと悶絶している私を見て、
    怪訝そうな顔をしています。

    「もう四捨五入をすると百なので、
    そろそろ次のことを考えておいたほうがいい気がする。」
    ってことはですよ、岸本さん、
    四捨五入したら私まだゼロ歳じゃないですか!?
    じゃあまだまだまっさらな気持ちで挑戦できちゃったりして!
    なんて、勝手にとっても元気づけらました。

    はい、私もかなり暴走気味です。すみません。

  • ダース・ベイダーのテーマ曲の歌詞とか、ひらがな達の秘密とか、耳より情報盛り沢山。

    そして「やばさの基準」には納得。
    確かに人間に連行される宇宙人のやばさに比べたら私の今までの人生なんて順風満帆、うまくいき過ぎているといってもいいかもしれない。
    岸本さんの視点はとても大らかで、焦りがないように感じる。
    こういう人になりたいなぁと心から思う。

  • 前々から読んでみようと思っていたのに、書店や図書館に行くと作者の名前も本のタイトルも思い出せなくて、なんだったかな…と思っていた本なのですが、やっと思い出すことができました。

    いやはや、ツボりました。
    収録されている2つ目のエッセイ、ダース・ベイダー卿の日常に思いを馳せる「ダース考」で早くも岸本さんにメロメロになってしまいました。
    この絶妙な冷静さと突飛さのバランス、癖になります。
    「検非違使」という単語で、こんなに笑ったのは初めてです。

    そしてエッセイを惹きたてるクラフト・ヴィング商會のお二人のイラストもすてき。
    紙面の余白までおしゃれなんだもの。

    あれよあれよという間に読了。
    あとがきを読みながら、「あれ?もしかして、私が今まで思い出せなかったのも、岸本マジックだったのでは…」と、失礼なことを思ってしまいました。(無論、私の記憶力やメモをしていないズボラさゆえなのですが…)
    また思い出せなくなる前に、『ねにもつタイプ』も読まなくちゃ。

  • ただ日常を綴ったものでも失敗エピソードを集めたものでもない不思議なエッセイ。
    どうってことない日常から空想がひろがるひろがる。
    これを書いてる方がエッセイストや小説家でなくて、
    本業が翻訳家というのにびっくり。
    なんじゃこりゃ!と叫びたいくらいおもしろかった。
    「ダース考」と「やぼう」が好き。

  • きっかけは2013年ダ・ヴィンチの年間ランキング?より。

    最近読みたいなーと思うエッセイにあまり出会えてなかったけど、
    これ読んだらエッセーってこんなにおもしろかったっけって、思わず思わせてくれた1冊。

    というか、この方がきっとおもしろいんだと思う。
    そしてわたし、好きです。こんな感じ。

    はじめのレジの話題から、既に私の心を鷲掴みにしたのは、
    他でもないわたしも同じような人間だからで、
    そのあとも、読みながらふきださずにはいられない数々。
    あんまりおもしろくて、読み終わるのがもったいないので、
    毎日少しずつ読んでます。

  • 本業は翻訳家である岸本佐知子さんの、とどまるスベを知らない妄想驀進エッセイです。(#^.^#).


    失礼ながら岸本さんの翻訳本に未だご縁がないのだけど、
    エッセイの導入から、盛り上がり、そして〆め、と、なんて構成の巧みな人なんだろう、と(#^.^#)
    感嘆するばかり。

    たとえば・・・

    もしもこの世でレジで一番遅い列に並んだ人が優勝する競技があったら、私は国体レベルで優勝する自信がある。


    と始まった冒頭の「才能」。

    う~~ん、わかるよ。私も日々、近所のスーパーでどの列に並ぶか、にちょびっとだけだけど、その日の運を賭けちゃってるところあるし。でも、それって如何に自分がドンくさいか自慢になりかねないんじゃない? あるいは、町で見つけたちょっと迷惑な人、みたいな糾弾文とかさ、と少々腰が引けてしまうイヤな読者だったのですが・・・



    基本を踏まえ(並んでいる人の数ではなく、カゴの中の買い物の量を見る。研修中のレジ係さんは
    避ける。レジ係の人数は何より大事。)ながらも、次々に襲い掛かってくる予測外の事件!(#^.^#)

    途中でレジの列を移ると必ずそっちが遅くなる、というジンクスをわかっていながら、今度は大丈夫だ!と変わったところ、


    二人いると思って安心していたら袋詰め係さんが異様に丁寧な人だった、とか、
    四つしかカゴに入ってないお婆さんの後ろに付いたら、レジ打ち終了後、こんにゃくの賞味期限について質問を始め、しかもそのあと、タバコをカートンで買う、で、それを“ややこしい”商品券で払い出し、裏面全てに自分の名前と住所を書きだす、なんてところまでやられちゃうと


    もう、空に向かってぎゃぁ~~と叫びたくなる主婦ひとり。(私です。(#^.^#))


    しかも、(まだあるんですよ)そのあと、レジの人がレシートの巻紙の交換を始め、それが詰まってマイクで応援を呼ぶ!!!!


    あ゛~~!!
    ひとつひとつはホントによくあることなのだけど、こんなに束になってこられるとたまりません。

    で、〆めの文章は

    万雷の拍手がわきおこり、どこか知らない世界のスタジアムで私が金メダルを授与されている。



    ときたもんだ。(#^.^#)



    自分を含めて誰のことも責めてないし、ただただ、淡々と目の前のことを描写している、というスタンスの文がとても面白いです。
    これが毎日ならそれだけでかなり消耗しそうですけどね。(汗)


    掲載日:2013/11/19

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  • エッセイってこれまでもずいぶん読んできたが、岸本佐知子が最強なのかもしれない。いわゆる妄想エッセイなのだが、その妄想ぶりがぶっ飛んでいる。

    レジで一番遅い列に並んだ人が優勝する協議。「万雷の拍手がわきおこり、どこか知らない世界のスタジアムで私が金メダルを授与されている」

    ダース・ベイダーも夜は眠るのだろうか。

    傘運がない。「いま、家にはとてもいい傘がある。~一度でも外に持っていけば間違いなく今生の別れになる、~外でさせないので、ときどき家の中でさしてみる。~蜜月ではあるが、それはもう傘ではない別の何かだ。」

    聞くとなんとなくモヤモヤする言葉~立ち会いと同時に変化しました
    外面的変化と内面的変化が起きる力士。「国技館の屋根を突き破ると、東京の空は青かった。「おまえの故郷、たしか沖縄だったよな」上のほうで鈴木山が、ばさりと大きく翼を鳴らした。

    しゃべる家電。臓器なんかも、しゃぺったらいいんじゃないかと思う。

    商品でも雑誌でもスポーツ選手でも、私が心ひかれて心の中で応援を始めると、とたんに消えてしまう。

    死ぬ間際にみる走馬灯の準備をそろそろしておいたほうがいいのではないか。

    アロマでごわす

    次に生まれ変わったら何になりたいか考えておいたほうがいい気がする。
    「今のところ候補は「水洗いした野菜をぐるぐる回して水を切る、あの遠心分離器みたいなやつ」か、「バールのようなもの」だ。

    子宮と卵巣のものまね

    変な気持ちになる言葉。「国はこれを不服として」「何らかの事情を知っている」

    なぜ広さを表現するときの単位が判で押したように東京ドームなのだろう。

    みんなはファラ・フォーセットなのに、なぜ自分ひとりが検非違使なのか。

    あの寒いことで有名な冬に、

    着ぐるみ「あなたは頭の被りものを何週間、何ヶ月、何年かぶりに取ろうとするが、すでに皮膚と着ぐるみがくっついて、どうやっても脱げない。皮膚がメリメリいい、血がにじむ。スカウトマンがにっこり微笑み、あなたは晴れて”ランド”の住人となる。

    捨てるとにかく捨てる。「「ハッビー・ニュー・イヤー」と言おうとしたけれどもはやそれを言う口も言葉も相手もなかった。」

    昔からサザエのふたは好きだった。

    カーナビはなおも<海です><海です><海です>と言い続けた。

    鏡餅は宇宙船

    ひらがなの「め」と「ぬ」はよく似ている。

    「会う」の意味は。会って会話もしなかった。注文した店員とは会話した。その場合会ったのは店員ではないのか。店内の人は?どこまで会ったというかの。

    前回の「ねにもつタイプ」から6年がたっていて、その間エッセイは書いてないそうだ。文学界の損失ですね。

  • 「ねにもつタイプ」に続き岸本ワールド全開。どの話もプッとなる。たぶん私もこっち側の人だなーと思うので、大好きです。それを文字にして表現できることは尊敬以外の何物でもない。

  • やっぱり最高。
    自分でも文章をかいてみたくなる。

  • 岸本さんのエッセイ本当に面白い。
    現実の話をしてたかと思うと気付くと妄想の世界へ引きずりこまれてる

    レジあるあるとか、ひらがな妄想のやぼうとか、レモン何個ぶんとかの話で会社に勤めてる頃仕事のミスがあまりに多いためキシモトがミスの単位になったとか

    外で暇潰しに読んでたんですけど笑いを堪えるのに必死で肩がぶるぶる震えて大変でした…

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著者プロフィール

翻訳家。訳書にリディア・デイヴィス『話の終わり』『ほとんど記憶のない女』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、スティーブン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』など多数。編訳書に『変愛小説集』『楽しい夜』『居心地の悪い部屋』ほか、著書に『なんらかの事情』ほか。2007年、『ねにもつタイプ』で講談社エッセイ賞を受賞。

「2019年 『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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