ワイルドサイドをほっつき歩け --ハマータウンのおっさんたち

  • 筑摩書房
3.92
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本棚登録 : 964
レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480815507

作品紹介・あらすじ

大ヒット作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に次ぐ、
待望の最新エッセイ集!

日常をゆるがす大問題を前に、果敢に右往左往するおっさん(おばさん)たちの人生を、音楽にのせて描く。
ブレイディみかこの新たなる代表作、誕生!!

中高年たちの恋と離婚、失業と抵抗。
絶望している暇はない。

EU離脱の是非を問う投票で離脱票を入れたばっかりに、
残留派の妻と息子に叱られ、喧嘩が絶えないので仲直りしようと
漢字で「平和」とタトゥーを入れたつもりが、
「中和」と彫られていたおっさんの話……
本を読むことを生きがいにしていたのに
緊縮財政で図書館が子ども遊戯室の一角に縮小され、
それでも諦めずに幼児たちに囲まれながら本を読むうち、
いつしか母子たちに信頼されていくこわもてのおっさんの話……
などなど、笑って泣ける21篇。
「みんなみんな生きているんだ、友だちなんだ」!

「『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で青竹のようにフレッシュな少年たちについて書きながら、そのまったく同じ時期に、人生の苦汁をたっぷり吸い過ぎてメンマのようになったおっさんたちについて書く作業は、複眼的に英国について考える機会になった。二冊の本は同じコインの両面である。」(「あとがき」より)

装丁:岩瀬聡
帯文:高橋源一郎 ヤマザキマリ ライムスター宇多丸

感想・レビュー・書評

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  • 英国の労働者階級のおっさんたちの日常をブレディさんが紹介する。おっさんたちが直面するEU離脱投票や緊縮財政など。
    『パリのすてきなおじさん』(金井真紀)も、おじさんたちのカッコよさ、移民問題について、生き方で読み応えバッチリですが、こちらもブレディさんが英国の今、おっさんたちの生き様をおもしろく描いています。社会的問題こそは違うけれど、問題に立ち向かう姿とか、普通の生活や日々のこと、恋愛・結婚についてストレートに描かれ、こう言ったのは英国だけでなく、どこでも通じるところがあるんだろうなあ、周りを見回してしまう。気難しいおっさんも、個性的なおっさんも、社会を自分の足で歩いてきたんだろうし、みんな社会をダメにしようと頑張っていたわけではないだろうし、それぞれの苦労があって今がある、少しはおっさんたちに敬意を払わなくちゃね。
    本を通してですが生の声を聞くことで、新しい世界が見えてきたようで刺激的でした。面白おかしく描けるブレディさんだからこそかな。


  • 青竹のようなフレッシュな少年たちについて書いた『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者が
    全く同時期に、『ワイルドサイドをほっつき歩け』で
    人生の苦汁をたっぷり吸い過ぎてメンマのようになったおっさんを書いた。英国を複眼的に考える機会となったと著者は解説で述べている

    確かに前著を読んだ時のみずみずしい少年の感性には衝撃を受け、深い感銘を受けた

    しかし、今回もおもしろかった
    ベビーブーマー時代の日本で言えば団塊の世代をもう少し広げたような世代ーー我が家にも一人いるおっさんの話
    EU離脱を誘導し、福祉社会の持続を不可能にする悪の元凶のように言われるおっさんであるが、このおっさんを見つめる著者の目が優しい。しかもとても冷静に見つめ分析している

    おっさんたちが酒を飲みながら、集い語らう中で、NHS
    (国民保健サービス)の問題やらEU離脱の影響などを垣間見ることができた
    家事の傍ら、TVを見ているだけで、英国が抱えている深刻な事情など知りもしなかった
    まあ、深刻な事情は、日本だって同じだけど・・・

    いろんな批判はあるだろうけれど、今の英国や日本を作ってきたのは、戦後の混乱期を立ち上がり、頑張った祖父母の世代、そしてそれを引き継いだおっさんたちであることに間違いはないだろう
    それだけは、認め敬意を表したいものである

  • 前作のもかなり良かったけど、今回のイギリスのおじさん達の話、結構面白かったです。

    何処の国もそうだけど、TVで映るだけじゃ本当の事はわからない。
    特に驚いたのは医療の事。日本じゃすぐ病院に行って診てもらえるのに、イギリスじゃいろんな手順を踏まないと診てもらえない。
    しかも何か月も先とかありえない。
    これは衝撃的だった。

    仕事の面でも結婚観でも違うんだな~
    昔はイギリスってすっごく憧れてたけど、住むのは大変そう。

  • 評者◆ブレイディみかこ氏インタビュー
    「おっさんの醍醐味」がわかる本――女性にこそ読んでほしい 図書新聞
    http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/week_description.php?shinbunno=3457&syosekino=13859

    筑摩書房
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815507/

    • りまのさん
      良い夢を。
      良い夢を。
      2020/08/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      猫は、やっと目覚めたところです、、、
      猫は、やっと目覚めたところです、、、
      2020/08/01
    • りまのさん
      猫さん、一番最初に本棚に載せた本。りまのの好きなの。
      猫さん、一番最初に本棚に載せた本。りまのの好きなの。
      2020/08/01
  • おもしろくて、どんどんページが進んだ。
    おじさんたちがかわいらしい。
    おじさんに対して、これからは見る目が変わりそうだ。おじさんも若い時代があったのだ。

    イギリスでも、日本と同様に若者とおじさんとの間に対立がある。ただ、おじさんたちの生き様、背景を知らず、どういう理由でそう思うに至ったのか知らずに、意見だけを聞いて批判するのは、間違っていると思った。

    逃げ恥で、ゆりさんが、若い子から年齢のことで差別的発言をされたときに、「私たちはあなたの未来なのよ」と諭したのを思い出した。

    誰でも老いるし、みんな昔は若かった。
    想像力を持って接することが大事だ。

  • 地べたから社会を見る視線はホットでクールでだった。
    ″それでも“しぶとく生きるおっさんたち。中高年の悲喜こもごもは日本人にも共感できるわと思いつつ読んだが、やはりブリテンは違う!と感じたのは次の2点である。
    アニバーサリーには、亡き人を思いながら賑やかに飲み食いする。ビールがスムージーに変わったとしても、とにかく人はよく集う。パーティーをする。この人とのつながりが密なところ。
    もうひとつは、著者の父の意向にも、娘である著者のためらいにもかまわず、夫と息子が父に良かれと思い芝犬を飼ってやってしまう行動力(おかげで父は見違えるように元気になる)。ほかにもいろいろやらかすおっさんたちがイイ。
    後半の現代ブリテンのジェネレーション論考と酒の話は、日本との共通点と異なる点を思い浮かべつつ読んだ。次作がたのしみ。

  • 『ぼくイエ』で私たちに「無知であること」をたたきつけたカッコいいかあちゃんの連れ合いや、近所のおっさんやおばさんの人生はとても賑やかでカラフルで楽しくて、そしてちょっと悲しい。
    若者でも老人でもなく、エリートでも最貧困層でもない。いわゆる労働者層としてイギリスのブライトンで暮らす彼らへの、愛に溢れるエッセイ。
    日本の地方都市とは全く違う暮らしぶり。へぇー、とか、ほぉー、とかいちいち感心したりネットで調べたりしながら読みました。
    「家族」とか「仕事」とか「政治」とか、そのひとつひとつが自分の生活圏内のそれと違っていて興味の塊になってしまいました。
    ベビーブーマー世代のおっさんたちが、一生懸命働いて、目いっぱいお酒を飲んで、家族や友達とバカンスを楽しむその生活もうらやましくもあるけれど、一番うらやましいのは「仕事」を介さない付き合いがきちんと存在することでしょうか。
    日本のおっさんたちは、仕事関係以外の友だちってあまりいないかもしれない。おばさんにしてみたらもっといないでしょう。そういう仲間との付き合いがあるから彼らの日々がとても鮮やかなのですね。
    いろんなことに失敗して、家族を失ったり、仕事を失ったりしながらも、しぶとくたくましく今日も友だちと酒を飲んでるおっさん、おばさんのいきのいい人生から、ワイルドさを少しおすそ分けしてもらった気分です。
    いやぁ、人生っていろいろあるから楽しいんですね。死ぬまで生きるぞ!

  • EU離脱に多くの票を投じ、若い世代に多大な苦労をかけてるとして、他の世代、階級から避難されっぱなしのイギリス労働者階級のおっさんたち。そんなおっさんだって、緊縮財政には苦しいし、まだ何年も働かなきゃいけない。そうがむしゃらに生き、哀愁が漂いながら、愛嬌のあるおっさんたちの姿を著者の連れ合いの仲間たちの実情を通して垣間見る。後半は現代イギリスの世代、階級、酒事情を日本人の読者にも分かるように紹介。イギリス小説は数多く読めど、ミステリーばかり読んでたら見えてこないイギリスの本当の姿が見えてくる。

  • 何でイギリスが離脱に傾いたのか、理由がイマイチわからなかったが、本書を読めばそれがよくわかる。
    医療保険、大事ですよ。
    そして、緊縮は国を滅ぼす政策なのかもしれないと、強く思いました。
    テンポ良いエッセイで、サクサク読めて、今のイギリスの労働者階級の状況がよくわかる、ありがたい本でした。

  • なんとなく、
    英国=いろいろ整ってそう
    日本=よくない と思ってたけど...
    その格差っぷりたるや日本以上だった。

    特に医療制度が
    無料=ただし死ぬほど待つ
    有料=ただし100%自費
    という事実に驚愕してしまった。
    こんな制度導入したら日本のジジババはどうなるんだ...( ; ; )

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著者プロフィール

ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校卒。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2017年、『子どもたちの階級闘争ーーブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で第16回新潮ドキュメント賞受賞。2018年、同作で第2回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で第73回毎日出版文化賞特別賞受賞、第2回Yahoo! ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞、第7回ブクログ大賞(エッセイ・ノンフィクション部門)受賞。著書は他に、『ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店)、『ワイルドサイドをほっつき歩け――ハマータウンのおっさんたち』(筑摩書房)など多数。

「2020年 『ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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