百年と一日 (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
3.42
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本棚登録 : 1348
感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480815569

作品紹介・あらすじ

代々「正」の字を名に継ぐ銭湯の男たち、大根のない町で大根の物語を考える人、解体する建物で発見された謎の手記……時間と人と場所を新しい感覚で描く物語集。

感想・レビュー・書評

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  • そんな形もあるのだろうなという、どこかの誰かの時間に静かに触れる33の物語。

    こうやって誰かの人生や歴史を窺うと、何となく癒やされるのは何故だろう。
    もしかすると見方においては僕のも成立しているのかも知れないな、と受け入れられる気がするからか…

  • 私が読書に求めるものは、実際に体験できないこと、大きな変化、スリル、ドキドキ。だからミステリが一番好きだ。この本はそれとは対極にある、「日常系」。早く次が読みたい!と時間を忘れて没頭するのではなく、通勤中電車の中で、昼休みご飯を食べた後で、など少しずつ読み進め、時間がかかった。ただ、飽きなかった。
    内容は、短編集。一つ一つのタイトルがやたらと長く、タイトルを読んだだけではどんな話なのかが掴めない。でも一編を読み終えた後にタイトルを見返すと、ああ確かに、としっくり来るのだった。
    「百年と一日」という本のタイトル通り、どれも話の中で時間が経過する。一瞬では物語にならないようなことも、何年も時間が経過することで物語になるのだなと思った。どれもドラマチックな物語ではない。正直、え?これで終わり?って話もある。その辺でありそうな、でも普段の自分の生活をしていると見過ごしてしまいそうなこと。フィクションなのか、ノンフィクションなのか。そんな曖昧な物語を作る作者さんの能力、高杉。
    いつもと違う読書体験ができた、ちょっと忘れられない一冊になりそうだなあ。

  • 名もない人、なんでもない場所にも、物語がある。
    周りの人達、周りの景色が愛おしくなる。
    そんな短編集。

  • +++
    学校、島、家、映画館、喫茶店、地下街の噴水広場、空港…… さまざまな場所で、人と人は人生のひとコマを共有し、別れ、別々の時間を生きる。 大根のない町で大根を育て大根の物語を考える人、屋上にある部屋ばかり探して住む男、 周囲の開発がつづいても残り続ける「未来軒」というラーメン屋、 大型フェリーの発着がなくなり打ち捨てられた後リゾートホテルが建った埠頭で宇宙へ行く新型航空機を眺める人々…… この星にあった、だれも知らない、だれかの物語33篇。作家生活20周年の新境地物語集。
    +++

    まず注目するのは目次である。ここだけで、すでに物語感満載で、ほとんどどんな物語なのか見当がつく。そして本編。見当をつけたとおりだったり、ちょっと予想を裏切られたりしながらも、そこでは人々が暮らし、出会い、別れ、再開したり、噂を耳にしたりしながら、時間が経過していく。ひとつずつは短い物語なのだが、その場所の歴史が濃密に詰まっているような充実感を味わえる。厳密にいえば違うのだが、ある意味定点観測のような、変わらなさと、変化の激しさのどちらもが、見事に両立している印象でもある。ただの記録のようでもあり、風景の写生のようでもあり、奥深い告白のようでもある。とても興味深い一冊である。

  • 【オンラインイベント】柴崎友香×小川さやか「人間と時間の不思議」:柴崎友香『百年と一日』(筑摩書房)刊行記念 | イベント | 梅田 蔦屋書店 | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設
    https://store.tsite.jp/umeda/event/shop/15218-1220360804.html

    筑摩書房 百年と一日 柴崎友香
    http://www.chikumashobo.co.jp/special/hyakunen_to_ichinichi/

    筑摩書房 百年と一日 / 柴崎 友香 著
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815569/

  • 100年と1日。
    タイトルからどんな内容なのか想像していたものとは少し違っていて、短編がつらつらと。

    それぞれ繋がっているわけでもなく、時代も場所も人も異なる短い(けれど、時間軸の長い)お話。読んでいるうちになんだか不思議と惹き込まれ一気読みでした。

    いいなぁと。人の暮らしとか営みとか街の歴史とか、続いてるのが、良いなって。

  • 再読。
    街の風景をモノクロ写真で切り取ったような、淡々とした短編が続く。当初はさほど感じなかったけど、読み進めていくうちにだんだん「この世界は今日もどこかで人と人が繋がっている」という安心感みたいなものがじわじわと胸に沸いてくる。
    自分の本棚でこの本をみかけるとなんだかほっとする、という不思議な存在感をもつ1冊になった。お気に入りの本。

  • 短い小説集なんですが、ショート・ショートともちょっと違う気がするんですよ。ショート・ショートの方はストンと腑に落ちる結末になるか、有り得ない~で終わるのです(私の認識では)。

    ところが、柴崎友香さんのは腑に落ちない、どこかで何かが曲がってしまって不安感が起こる、そうして読者が「こういう風になるのではないか」と結末を想像してしまえるようなのもある。

    たしかに人生百年時代、生まれて死ぬまで何が起こるかわかりませんよね。それを圧縮するとこのような小説ができるのでしょう。平凡な日常のようで、どこかでぽっかり穴が開く、しかし何事もなかったようにつづいていく。

    この長いタイトルのたくさんな短編の内容で、なんですか、何巻もの長編が書けそうな気がしてくる、読後感です。

  • どの短編も場所の描写が緻密で
    すぐに頭に思い浮かぶ。
    でも、話にオチがあるわけではなく、
    何か事件が起きるわけでもない。
    日々を描写してみると、こんなもんかもね…
    と思わせる、不思議な短編集。
    ここまで共感を拒絶する文体も
    めずらしいのかも…

  • たまたま会社や自宅を整理していて、50年も前の書類が出土してはびっくり!な時期にこの本を読んだのも何かの偶然か。
    時間も場所もするする移動しながら紡がれる物語。
    物忘れは激しいのに、過去のことならいくらでも語り続けられる88歳の義父も、この物語の中に住んでいそうな感じ。

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著者プロフィール

柴崎 友香(しばさき・ともか):1973年大阪生まれ。2000年に第一作『きょうのできごと』を上梓(2004年に映画化)。2007年に『その街の今は』で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年に『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(2018年に映画化)、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。他の小説作品に『続きと始まり』『待ち遠しい』『千の扉』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『ビリジアン』『虹色と幸運』、エッセイに『大阪』(岸政彦との共著)『よう知らんけど日記』など著書多数。

「2024年 『百年と一日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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