「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 720
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480816795

感想・レビュー・書評

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  • 以前からなんとなく気付いていたが、人文科学や社会科学、いわゆる文系学問は瀕死の状態にある。

    法学や哲学が最先端のイケてる学問だったのは遥か昔の話。心理学で有名なフロイトや、ハーマンのトラウマ理論は何の根拠もないデタラメということで決着済みだ。

    経済学が前提にしている常に経済的に合理的な人など存在せず、もはや科学とは言えない。

    じゃあ文系学問はどうすれば良いのか?

    実は、これらの分野では、遺伝学や進化心理学、複雑系、行動経済学といった分野で、知のパラダイスシフトが起こっている。

    だったら、古いロジックで構築されている学問は捨てて、新しいロジックを学べば良いのではないかって話。

  • 橘玲『「読まなくてもいい本」読書案内』(筑摩書房、2015)

    進化論の発展から各学問分野にビッグバンが起こり、枠組みが変化していることを示した橘流サイエンスガイド。
    パラダイム転換以後の考え方を知り、「それ以前」の本を「とりあえず」読書対象から外してしまおう(パラダイム認識ができたのちに読む)という提案です。

    もともとリバタリアンを自称し進化心理学によるヒトの性質に注目していた著者だけに、大いに説得力があります。

    目次では複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の5項目が示されますが、実はこれらは「進化」の考え方を基礎にしつつ、相互に関連・発展してきたものだと。

    ここに挙げられた新しい「知」
    そして、旧来の学問の「死」

    進化生物学が意識の謎を解き明かしたことから、哲学の役割は終わる。

    人はなぜ老いるのか → 思春期に生殖能力を最大化するため
    病気はなぜあるのか → ウイルスと免疫との"軍拡競争
    神はなぜいるのか  → 脳のシミュレーション機能の自然への拡張

    【本文より】
    ◯日本ではあいかわらず「文系」「理系」の二分法が使われていて、進化論は理系の世界の話だと思われているが、進化論はいま、社会学や経済学、心理学といった「文系」の分野にも拡張され、社会科学を根底から組み替えようとしている。(p.60)

    ◯1970年代になると、生き物の生態がゲーム理論で読み解けることがわかってきた。知能も感情もない生き物は進化論的に合理的な”機械”なのだから、「効用=自己の遺伝子の複製」を最大化する戦略をせっせと実行しているだけだ。(p.144)

    ◯ゲーム理論が超強力なのは、(生き物を含む)この世界がゲームの集合体だからだ。植物も、動物も、そして人間も、与えられた条件や環境の下で、自らの能力を最大限に使って利得(遺伝子の複製だったり、子孫の数だったり、お金の量だったり、幸福だったりする)を最大化しようとさまざまなゲームを行っている。(p.160)

    ◯ひとはものごころついたときから死ぬ瞬間まで、意識があるかぎり、「if... then...」の思考をひたすら繰り返している。仏陀はこの終わりのないシミュレーションを「煩悩」と呼び、修業によって「if... then...」の回路を遮断し、とらわれのないこころの静けさに至ることを目指した。(p.224)

  • 1年間に出版される本は8万冊を超える。
    そして、世界に存在する本は1億3000万冊。
    100万年かけても追いつかないし、その間にまた莫大な数の本が出版される。

    ならば、読むべき本でなく読まなくてもいい本を決めればいいじゃないか。

    まず、20世紀半ばからの「知のビックバン」の原動力となった、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義に注目。
    これらの「知のパラダイム転換」で、「知の見取図」を手に入れて、読むべき本を決めていこうと著者は呼びかける。

    世界を覆う問題群へ必要なことは、「新しい世界」のビジョンを受け入れた上で、進化するテクノロジーとどのように共生していけばいいのかを示す「新しい哲学」「生命倫理」ではないか? との著者の主張に大きく共感。

    「日本の社会で『リベラル(自由主義者)』と呼ばれているひとたちは、大学の教員にしても、マスメディアの正社員にしても、自分たちの組織が弱者を差別していることには知らない顔をして、『国家権力』なるもの(安倍政権とか)とたたかう振りをしてカッコつけているだけだ。フーコーが教えてくれたように、ひとはエラくなるほど自らの内なる権力から目を背け、外に敵をつくって偽善を隠蔽しようとする」(あとがきより)

    知の最前線に触れる感動と、目の前の問題解決能力を鍛える入門書。

  • とても読みやすいです。哲学とか心理学とかは嘘臭いと感じるものも多いです。でもそれをデタラメだ!というためにはかなり勉強しないといけない。それをやってくれてる感じです。

  • p.58で一旦返却再度借りるべし

  • 投資・経済・社会時評に関する著作を多数てがける著者による、「読まない」読書案内。といっても、読まなくていい本をいちいち挙げているわけではない。
    20世紀半ばからの半世紀で"知のビッグバン"とも呼べる大きな変化が起きた。その原動力になっているのが、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学などの爆発的な進歩である。そこで、「ビッグバン以後」の書物を選んで読み、その分野の全体像を把握してから、古典(「ビッグバン以前」の書物)を含めて興味のある分野を読み進めていけばいい――。
    このように著者は主張し、上記の学問分野でどんな進歩が見られたのか、歴史や理論を解説してくれる。章末には各分野で押さえておくべき書物を紹介してくれる。(このリストのおかげで結果的には「読むべき本」がまたしても増えてしまったわけだが……。)
    氏の著作は『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』シリーズしか読んだことがなかったため、この著者はてっきり経済・金融・投資の専門家なのかと勘違いしていたけれど、本書を読んで非常に幅広い分野に造詣が深いことを知った。そんな深く広い知識を――若者向けに書いているからだろうか――軽妙な語り口で、ときには毒舌や暴論とさえ思えるような言葉を用いてばっさりと斬り捨てているのが痛快。
    ただ、根本的な前提部分で個人的に同意できかねることがあったり、興味のない学問分野も含まれていたりしたため、適当に読み飛ばさざるをえなかった。逆に興味が湧いたのは、ゲーム理論。著者を信じてブックガイドに挙げられている推薦図書を読んでみようと思う。

  • google unlimitedで無料だったのと、橘さんの本に興味があったので読んだ。

    ちょっとタイトルは読書術で想像していたのと180度違った内容だったのだが、良かった。
    テーマは、「知の最前線」ということで最近注目されている思考のパラダイム転換的なことについて述べてある。

    - 複雑系
    - 進化論(現代の進化論)
    - ゲーム理論
    - 脳科学
    - 功利主義

    特に「複雑系」の話しが自分の中ではホットトピックだ。

    また、脳科学の中で述べられていた「意思」の部位の前に
    生体では意思内容のための(筋肉など)準備が始まっているという事実

    という話が面白かった。そうならば、意思とはなんだろう。
    無意識分野が自分の思っているよりもっと大きいものであることを感じた。
    (同時に非言語領域の大きさも感じた。)

    何より、情報量がぎゅっと多いw
    何度か読んだり、参考文献を読めばまた理解が深まる気がする。

  • 様々な知の分野をつないで行き、最後には全てが連結する。 知のスモールワールドとも言えるネットワークのような全体像を浮かび上がらせる。この本はまさに多様なカテゴリのハブとなる一冊である。
     古い哲学を一蹴するのは大胆で少し焦るが、異なるカテゴリを並べ配置してくれたおかげで、専門的な領域に分化せず、偏りのない概観を得ることもできたし、各分野に興味が湧いた。
     ここにあるオススメ本をたどっていると、だんだん無知だった自分が恥ずかしくなってくる。

    既出のレビューにある通り、読まなくていい本をひたすら並べるわけでも、読まなくていい理由をじっくり説くわけでもないので、やや誤解を生むタイトルではある。
    しかし、これから広い知識に歩みだそうという若者にとっては、結局同じ需要を満たすことになるから、そんなに問題は起きない気もするが。
    私にとっては、これを読まないといつまでも知れなかったろう内容が多く、本当に助かった。ここに載っている内容だけが最重要な知の世界とは限らないと思うし、誤解しないようにしたいが、ここに出てくる知識はザックリとでも記憶必須な知の分野な気がしている。

  • 20世紀後半に、進化論、脳科学、ゲーム理論、複雑系、功利主義について起こったパラダイムシフトを紹介した本。それぞれ紹介された本よりも、著者の理解をまず読むことで今のところは充分。

  • 情報は整理されてはじめて咀嚼できる。
    専門書では読み解くのが難解な内容を、分かりやすく伝えてくれている。

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著者プロフィール

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』 (以上ダイヤモンド社)など多数。『言ってはいけない ~残酷すぎる真実』(新潮新書)が50万部超のベストセラーに。

「2019年 『1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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