「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480816795

感想・レビュー・書評

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  • 投資・経済・社会時評に関する著作を多数てがける著者による、「読まない」読書案内。といっても、読まなくていい本をいちいち挙げているわけではない。
    20世紀半ばからの半世紀で"知のビッグバン"とも呼べる大きな変化が起きた。その原動力になっているのが、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学などの爆発的な進歩である。そこで、「ビッグバン以後」の書物を選んで読み、その分野の全体像を把握してから、古典(「ビッグバン以前」の書物)を含めて興味のある分野を読み進めていけばいい――。
    このように著者は主張し、上記の学問分野でどんな進歩が見られたのか、歴史や理論を解説してくれる。章末には各分野で押さえておくべき書物を紹介してくれる。(このリストのおかげで結果的には「読むべき本」がまたしても増えてしまったわけだが……。)
    氏の著作は『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』シリーズしか読んだことがなかったため、この著者はてっきり経済・金融・投資の専門家なのかと勘違いしていたけれど、本書を読んで非常に幅広い分野に造詣が深いことを知った。そんな深く広い知識を――若者向けに書いているからだろうか――軽妙な語り口で、ときには毒舌や暴論とさえ思えるような言葉を用いてばっさりと斬り捨てているのが痛快。
    ただ、根本的な前提部分で個人的に同意できかねることがあったり、興味のない学問分野も含まれていたりしたため、適当に読み飛ばさざるをえなかった。逆に興味が湧いたのは、ゲーム理論。著者を信じてブックガイドに挙げられている推薦図書を読んでみようと思う。

  • google unlimitedで無料だったのと、橘さんの本に興味があったので読んだ。

    ちょっとタイトルは読書術で想像していたのと180度違った内容だったのだが、良かった。
    テーマは、「知の最前線」ということで最近注目されている思考のパラダイム転換的なことについて述べてある。

    - 複雑系
    - 進化論(現代の進化論)
    - ゲーム理論
    - 脳科学
    - 功利主義

    特に「複雑系」の話しが自分の中ではホットトピックだ。

    また、脳科学の中で述べられていた「意思」の部位の前に
    生体では意思内容のための(筋肉など)準備が始まっているという事実

    という話が面白かった。そうならば、意思とはなんだろう。
    無意識分野が自分の思っているよりもっと大きいものであることを感じた。
    (同時に非言語領域の大きさも感じた。)

    何より、情報量がぎゅっと多いw
    何度か読んだり、参考文献を読めばまた理解が深まる気がする。

  • 様々な知の分野をつないで行き、最後には全てが連結する。 1章に「複雑系」を取り上げるこの本は、人類の知識や学問といったものも、一つの複雑系のスモールワールドのような全体像として浮かび上がらせる。この本で取り上げる知の分野は、重要な知のハブなのであり、この本自体も様々な書や学問のハブとなる一冊となっている。
     古い哲学を一蹴するのは大胆で少し焦るが、異なるカテゴリを並べ配置してくれたおかげで、専門的な領域に分化せず、偏りのない概観を得ることもできたし、各分野に興味が湧いた。
     ここにあるオススメ本をたどっていると、だんだん無知だった自分が恥ずかしくなってくる。

    既出のレビューにある通り、読まなくていい本をひたすら並べるわけでも、読まなくていい理由をじっくり説くわけでもないので、やや誤解を生むタイトルではある。
    しかし、これから幅広い知識の世界に歩みだそうという若者にとっては、結局同じ需要を満たすことになるから、そんなに問題は起きない気もするが。
    私にとっては、これを読まないといつまでも知れなかったろう内容が多く、本当に助かった。ここに載っている内容だけが最重要な知の世界とは限らないと思うし、誤解しないようにしたいが、ここに出てくる知識はザックリとでも記憶必須な知の分野な気がしている。

  • 20世紀後半に、進化論、脳科学、ゲーム理論、複雑系、功利主義について起こったパラダイムシフトを紹介した本。それぞれ紹介された本よりも、著者の理解をまず読むことで今のところは充分。

  • 情報は整理されてはじめて咀嚼できる。
    専門書では読み解くのが難解な内容を、分かりやすく伝えてくれている。

  • Amazonのレビューが良く出来ていたのでパクる。
    ここ20〜30年ほどの社会科学におけるベストセラ―のダイジェスト

    ポストモダンを代表する思想家、ドゥルーズとガタリの難解な「リゾーム」は、超天才数学者、マンデルブロが発見した「フラクタル」が生み出す「複雑系のスモールワールド」という概念でスッキリと説明できる。よって、D-Gの本は読まなくてもいいです。という具合に、進化論の概念を塗り替えたドーキンスの『利己的な遺伝子』、国際政治学や経済学の一分野を築いたゲーム理論(ノイマン、モルゲンシュテルン、ナッシュ)が前提とする「合理的経済人」モデルに挑戦したカーネマンらの行動ゲーム理論、自由意思など存在しないことを解明してデカルトやフッサールが取り組んだ「こころ」や「意識」の問題そのものを否定しまった脳科学、正義のジレンマや功利主義の限界をテクノロジカルに乗り越えるマーケットデザインやアーキテクチャによる統治など、最新の「知」のパラダイムがこれまで主流だったものの見方をそれこそ地動説がそうだったくらいの勢いで書き変えていきつつあるということを非常にわかりやすく解説した本。

  • あまりにも良質な情報が豊富でこの本を読んで益々読みたい本が増えてしまった。以前なら知の殿堂と言えば、立花隆さんだったと思うが、今なら橘玲さんかなと思ってしまう!

  • つまりは古いパラダイムで書かれた本はいくら読んでもベターワールド(より良い世界)には繋がらないということらしい。筆者は進化論や経済学、ゲーム理論に功利主義などを説明しながらそのパラダイムとは何かを論じる。まぁ、確かに大きな知の地図を作ってそれに沿って読書をしていくのは効率がいいのかもしれないが(少なくとも本屋の本を片っ端から読むより),そんなものを作り終えた段階で読書より次のステップに進めそうな気がしなくもないが・・・

  • 着眼点は好きだし、読むべき書物の諸々も、なるほど的を射たチョイスだと思う。各ジャンルにつき系統立てて読み込んで、その結果、最新の知見からして必要最低限の書物に絞り込まれているのが十分に理解出来るし。あとの問題は、ここで取り上げられている諸問題に関して、自分の関心をどこまで持っていけるか、っていうこと。個人的には、本書で結構お腹いっぱいになってしまい、”次はじゃあ是非この本を!”みたいな感じになれんかった。残念。

  • 橘氏のベストセラーである「言ってはいけない」と似たような内容。特に本の書評がメインではない。

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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