「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 714
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480816795

感想・レビュー・書評

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  • 知の最先端を追う入門書入門。

  • 複雑系、進化論、ゲーム理論、意識・自由意志の脳科学、功利主義という5つのテーマについての読書ガイド。特に功利主義に関する部分は知らないことも多くて面白かった。行動経済学やマーケットデザインなど、読んでみたい本が増えた。

    進化論
    人種差別に対する反省からでてきてPolitically Correctの立場やタブラ・ラサ的な思想の流行に乗っかって、スティーブン・ジェイ・グールドが社会生物学を「遺伝子決定論」「遺伝子還元主義」として激しく批判し、EOウィルソンやドーキンスらと論争を続けていたらしい。

  • トンデモ本の紹介的な内容を想像していたが、近年の社会科学についての入門的な解説と入門書の紹介だった。看板に偽りあり。

    最初に出てきた「社会学について自然科学の用語と数式(それもでたらめ)を使って高度な内容を記述しているようだが、実は何も言っていない本」(極めつけはそれらしく見せたパロディ論文が専門誌に掲載されたというエピソード)を題材に、「読むだけ時間の無駄」というところはタイトルどおり。

    Amazonの低評価レビューにあるとおり、そこまで有り難がって読む内容ではなかったが、社会生物学や経済学、統計学の概説としてはわかりやすい。

    検証ができないのをいいことに、頭の中で考えた仮説やイデオロギーを自然法則でもあるかのように見せかけて(やっぱり数式を使って)あげくに世界を滅茶苦茶にした経済学やインチキ心理学といったエセ学問は、シミュレーションと統計解析を駆使した自然科学に吸収されていくだろうという主張は、まあそんなものかと思うし、事実、有害な経済学者は一刻も早く消えてもらわないと困る。

    「科学とイデオロギーをちゃんと見分けましょう」という話。

  • 「正しい方向に努力する」って言葉があるけど、この本を読むと読書も同じだなって思う。

  • ここ一、二年の間に自分が読んだトピックが網羅されていて、記憶の再整理に役に立った。もう少し掘り下げたい分野の探索にも有用。ただ古いパラダイムの下で構築された知は一般の読者には無用で、その再評価は専門家の仕事だという著者の主張はどうなのだろう。パラダイムの恣意的な選別が為されていないか監視するvigilante readerとしての目を養うのも必要では。最新のパラダイムが永遠に妥当するという保証も無い訳だし。また大変失礼ながら、そのような断罪が許されるほどの実績がこの著者にあるのかどうかも、略歴を読む限りでは疑問。

  • Maverick はぐれもの

    1960 アトキンソンダイエット 糖質制限
    1975 ウォルターベクトリン ストーンエイジダイエット アトキンソンに進化論的な根拠を加える
    現在 パレオ(旧石器時代)ダイエット 自然至上主義
    糖質オフダイエット 現代の進化論が日常を侵食する時代の象徴
     

    ベルリン ドイツ降伏時、英米仏がベルリンの西側を支配した 西ベルリンへの武力進攻はアメリカへの攻撃とみなすと警告 世界最終戦争はベルリンから始まると恐怖が高まっていた。フルシチョフは、西ベルリンを壁で囲い込み東側から分離する奇策によってこの危機を見事に回避した

    トラウマ理論という災厄

    ショッピングセンターで迷子になったという存在しない過去の出来事を、信頼している人から指摘されたにもかかわらず、自分にはその記憶が全く無いという矛盾(認知的不協和)を解消するために、脳が無意識に都合のいい物語を作り出したものだと説明できる。だが被験者のこの過程を、忘れていた子ども時代の記憶を思い出したと体験するため、捏造された記憶が事実になってしまうのだ

    ハーマンの抑圧された心的外傷 トンデモ科学

    フィンランド エドワードウェスターマーク 発達期に一緒に過ごした男女は、血縁かどうかに関わらず、性的魅力を感じない ウエスターマーク効果はイスラエルのキブツで確認されている

    人間の行動はほとんどは無意識が決めていて、性的欲望が決定的に重要だと指摘したことはフロイトの大きな功績だ。だがフロイトの評価が難しいのは、そこから先の理論がほとんど間違っているからだ
     エディプス・コンプレックスはない。女の子は自分がペニスをもっていないことで悩んだりシない。脳科学の実感からリピドーはみつからない。意識が、イド、自我、超自我の三層構造になっている証拠もない。夢は睡眠中に感覚が遮断された状態で見る幻覚で、抑圧された無意識の表出でなくたんなる意識現象だ

    アイゼンクによれば、フロイトは重度のコカイン中毒で、精神分析で有名になってからも実際の患者はほとんどみたことなく、たとえ診察してもその診断は間違っていて病気はまったく治らなかった

    アンナOのヒステリー性のせき 結核性髄膜炎

    フロイトは、世紀末ウィーンのセレブたちが求めているのは、科学でなくお話であることを知っていたから

    新しい功利主義は、話し合いよりもテクノロジーの活用を選択する

    ドレクスラー 創造する機械 1986 ナノマシン等まだ実現されていない

    テクノロジーは資本主義と同じく、「もっと豊かになりたい」「もっと幸福になりたい」というひとびとの欲望によって自己増殖していく自律的なシステムだからそれを道徳的な説教や批判で止めるのは不可能だ。だったらいま必要とされるのは、新しい世界にビジョンを受け入れたうえで、進化するテクノロジーとどのように共生していけばいいのかを示す新しい哲学ではないだろうか





    フーコー
     権力は君のなかにある。きみ自身がきみをしばりつけている権力なんだ
     その時以来ぼくは、「自分は善で、(自分の外にある)悪=権力と戦っている」という物語を一切信用しないようにした
     もう一つの教訓 科学や技術は進歩するけれども、ひとは進歩しないのだ。

    古いパラダイムでできた知識をそれほど学んでも、なんの意味もない

    フーコー ひとはエラくなるほど自らの内なる権力から目を背け、外に敵をつくって偽善を隠蔽しようとする

  • 未来型

  • 本書で紹介している進化生物学、進化心理学の考え方があまりに強力なため、どんな内容の項でも最終的には進化論に行き着いてしまっているところが面白いところ。日常の出来事に進化論を当てはめてみると面白くなることが多々ありそう。

  • タイトルだけ読むとまるで「反知性主義」の本のようですが、実際はその真逆で、様々な人文学で起きた(起きている)パラダイムシフトをまとめている本になります。そして、それ以前のものに関してはいっそ読まなくても良い!という結構過激な主張をしているわけですが、確かに『必読書150』なんて、こんなの全部読んでられっかよという感じだったものなあ…。そして今大学で教えているのはそのパラダイムシフトの起きる前の学問についてばかりで、これでは人文学科の縮小を求められても無理はない、と…。筆者の主張全てに共感できるわけではないですが、読まなくて良い本だけでなく「これは読んでおこう」という真っ当なブックガイドも付されていて参考になります。

  • 「科学や技術は進歩するけれど、ひとは進歩しないのだ、ぜんぜん。」
    本書で取り上げられたテーマをこれまでよく知らなかった人(私もそうであった)であれば、まさに物理的に殴られたような衝撃を覚えるはず。知の最前線を知りたい人、刺激が欲しい人、より良い社会の在り方を考えようとする人…とにかく一度読んでみてほしい。
    各章末尾のブックガイドを足掛かりに読書の幅を広げるのも楽しいはず。
    ただ、「知のパラダイム転換」以前の知識を学んでも意味はないとの著者の主張については慎重に考える必要があるだろう。

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著者プロフィール

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』 (以上ダイヤモンド社)など多数。『言ってはいけない ~残酷すぎる真実』(新潮新書)が50万部超のベストセラーに。

「2019年 『1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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