「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)
- 筑摩書房 (2015年11月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480816795
感想・レビュー・書評
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この半世紀で起きた知のビッグバン(学問の序列の変動)以前の方は読書リストから一旦外して、知のパラダイムシフト以降の本を読んで最新の見取り図を手に入れた後に、以前の本を読もうという主張。
特に複雑系とゲーム理論が面白かったので、他の本も読んでもう少し深めていきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義について、関係する書籍のエッセンスを感じられる。
いくら優しいと言われても、難しいテーマなので、本書名は秀逸と思った。 -
「読むべき本リスト」が増え続けて辛いという若い人たち(高校、大学生からビジネスパーソンまで)に向けて書かれた「先に読まない本を決める」読書案内。
著者によると、“知のビックバン”と言える大きな変化が20世紀半ばから約50年の間に起きたという。
この“知のビックバン”以前に書かれた本は、いったん読書リストから除外してしまおう、というのが著者の主張。
ビックバンの原動力となった5つのジャンル、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義について講義のような内容が展開される。
読むのは簡単ではないが、大きな流れを俯瞰して見るような解説は貴重。
確かに、これを読めば「この辺バッサリ要らないよね」という選択ができるようになる。
今の世の中がどんな仕組みで回っているのか知るためにも価値ある1冊。 -
お手軽。
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読まなくてもいい本の紹介と言うより、最先端の知識を得る為には「・・・」の本がいいと言った紹介の本であった。
・複雑系
・進化論
・ゲーム理論
・脳科学
・功利主義
についての最先端の情報がてんこ盛りであり、経済学、心理学、社会学、哲学など従来の学問ばかりではなく、ITやAI、遺伝についても紹介されており、橘氏の知識の深さと読書量にただ圧倒されるばかりだった。本のタイトルと表紙を変更すればかなり売れるのでは?と思うけどー。 -
全般面白くて、効率的に役立つ知識を付けて行ける分野(複雑系)(進化論)(ゲーム理論)(脳科学)(功利主義)の紹介とオススメ文献が紹介させており、新しい分野への学びのきっかけとなる書。実際に私もこの後進化論、ゲーム理論の本を購入して読みました。複雑系は、内容が難しくちょっと入ってこなかったです。
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フロイトは患者を救っていないという話に衝撃を受けた。フロイトからユングへの系譜とかどうなってしまうのだろうと混乱しています。あと、功利主義、自由主義、平等主義らを一つの図にまとめたものにも衝撃を受けた。一つの図で解釈するできるものだったんだ。
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タイトル通りの本を想像してたため、思っていたものとはかなり違ったが、これはこれで面白かった。
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哲学と科学の拮抗を題材にしているが、科学よりの論調である。個人的には哲学が好きなため、嗜好に合わなかった。
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パラダイムシフト転換の示唆。
今更windows95の使い方を勉強してもしかたないように、
今更新されつつある統合されつつ学問を学びしましょうという話を
具体的な今更新された考え方をアップデートするバイアスの指摘。
今まで学んだことの差分やものの見方が広がったので納得度が高い。
ゲーム理論から派生したマーケットデザインの考え方が市場や主義や法学にも使えそうと思えたのは収穫だった。
マクロ経済や哲学を専門的に学ばなくて身実践の場においてはその歴史や流れを把握すると新しい社会を受け入れたり作っていけそうだなと思えた。 -
釣り気味タイトルが言い得て妙。
「読まなくてもいい本」を名指しで書きたくても、出版社と学者とファンを敵にはまわせない。。そしたら、その対偶を示してやろう。ということか。
まぁ、本気で読まなくてもいい本を紹介したい訳じゃないんだろうけど。
カントやハイデガー、ニーチェにキルケゴール、マルクスとケインズ、etc... 読書好きならいつかは読まなねば、という謎の呪縛から解放された。
古典の良さもわかるけど、読みこなすのには時間がかかりすぎるのです。100分de名著にまかそう。
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タイトルはトリッキー。
内容は 興味深く読むところもあるけど 随分読み飛ばした。
読むべき本は山のようにあるので その気になったら再読しようと思います。 -
時間は限られているから「読まなくてもいい本」から決めましょうというのは掴みで,内容は近年パラダイムシフトを起こした複雑系,進化論,ゲーム理論,脳科学の研究を紹介するもの.これらのパラダイムシフトにより,哲学,心理学,政治学などの科学以前の学問はフレームワークから大幅に書き換えられるというのがタイトルの意図. 面白かった.
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p.58で一旦返却再度借りるべし
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投資・経済・社会時評に関する著作を多数てがける著者による、「読まない」読書案内。といっても、読まなくていい本をいちいち挙げているわけではない。
20世紀半ばからの半世紀で"知のビッグバン"とも呼べる大きな変化が起きた。その原動力になっているのが、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学などの爆発的な進歩である。そこで、「ビッグバン以後」の書物を選んで読み、その分野の全体像を把握してから、古典(「ビッグバン以前」の書物)を含めて興味のある分野を読み進めていけばいい――。
このように著者は主張し、上記の学問分野でどんな進歩が見られたのか、歴史や理論を解説してくれる。章末には各分野で押さえておくべき書物を紹介してくれる。(このリストのおかげで結果的には「読むべき本」がまたしても増えてしまったわけだが……。)
氏の著作は『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』シリーズしか読んだことがなかったため、この著者はてっきり経済・金融・投資の専門家なのかと勘違いしていたけれど、本書を読んで非常に幅広い分野に造詣が深いことを知った。そんな深く広い知識を――若者向けに書いているからだろうか――軽妙な語り口で、ときには毒舌や暴論とさえ思えるような言葉を用いてばっさりと斬り捨てているのが痛快。
ただ、根本的な前提部分で個人的に同意できかねることがあったり、興味のない学問分野も含まれていたりしたため、適当に読み飛ばさざるをえなかった。逆に興味が湧いたのは、ゲーム理論。著者を信じてブックガイドに挙げられている推薦図書を読んでみようと思う。 -
google unlimitedで無料だったのと、橘さんの本に興味があったので読んだ。
ちょっとタイトルは読書術で想像していたのと180度違った内容だったのだが、良かった。
テーマは、「知の最前線」ということで最近注目されている思考のパラダイム転換的なことについて述べてある。
- 複雑系
- 進化論(現代の進化論)
- ゲーム理論
- 脳科学
- 功利主義
特に「複雑系」の話しが自分の中ではホットトピックだ。
また、脳科学の中で述べられていた「意思」の部位の前に
生体では意思内容のための(筋肉など)準備が始まっているという事実
という話が面白かった。そうならば、意思とはなんだろう。
無意識分野が自分の思っているよりもっと大きいものであることを感じた。
(同時に非言語領域の大きさも感じた。)
何より、情報量がぎゅっと多いw
何度か読んだり、参考文献を読めばまた理解が深まる気がする。 -
様々な知の分野をつないで行き、最後には全てが連結する。 1章に「複雑系」を取り上げるこの本は、人類の知識や学問といったものも、一つの複雑系のスモールワールドのような全体像として浮かび上がらせる。この本で取り上げる知の分野は、重要な知のハブなのであり、この本自体も様々な書や学問のハブとなる一冊となっている。
古い哲学を一蹴するのは大胆で少し焦るが、異なるカテゴリを並べ配置してくれたおかげで、専門的な領域に分化せず、偏りのない概観を得ることもできたし、各分野に興味が湧いた。
ここにあるオススメ本をたどっていると、だんだん無知だった自分が恥ずかしくなってくる。
既出のレビューにある通り、読まなくていい本をひたすら並べるわけでも、読まなくていい理由をじっくり説くわけでもないので、やや誤解を生むタイトルではある。
しかし、これから幅広い知識の世界に歩みだそうという若者にとっては、結局同じ需要を満たすことになるから、そんなに問題は起きない気もするが。
私にとっては、これを読まないといつまでも知れなかったろう内容が多く、本当に助かった。ここに載っている内容だけが最重要な知の世界とは限らないと思うし、誤解しないようにしたいが、ここに出てくる知識はザックリとでも記憶必須な知の分野な気がしている。 -
20世紀後半に、進化論、脳科学、ゲーム理論、複雑系、功利主義について起こったパラダイムシフトを紹介した本。それぞれ紹介された本よりも、著者の理解をまず読むことで今のところは充分。
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情報は整理されてはじめて咀嚼できる。
専門書では読み解くのが難解な内容を、分かりやすく伝えてくれている。 -
Amazonのレビューが良く出来ていたのでパクる。
ここ20〜30年ほどの社会科学におけるベストセラ―のダイジェスト
ポストモダンを代表する思想家、ドゥルーズとガタリの難解な「リゾーム」は、超天才数学者、マンデルブロが発見した「フラクタル」が生み出す「複雑系のスモールワールド」という概念でスッキリと説明できる。よって、D-Gの本は読まなくてもいいです。という具合に、進化論の概念を塗り替えたドーキンスの『利己的な遺伝子』、国際政治学や経済学の一分野を築いたゲーム理論(ノイマン、モルゲンシュテルン、ナッシュ)が前提とする「合理的経済人」モデルに挑戦したカーネマンらの行動ゲーム理論、自由意思など存在しないことを解明してデカルトやフッサールが取り組んだ「こころ」や「意識」の問題そのものを否定しまった脳科学、正義のジレンマや功利主義の限界をテクノロジカルに乗り越えるマーケットデザインやアーキテクチャによる統治など、最新の「知」のパラダイムがこれまで主流だったものの見方をそれこそ地動説がそうだったくらいの勢いで書き変えていきつつあるということを非常にわかりやすく解説した本。 -
あまりにも良質な情報が豊富でこの本を読んで益々読みたい本が増えてしまった。以前なら知の殿堂と言えば、立花隆さんだったと思うが、今なら橘玲さんかなと思ってしまう!
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つまりは古いパラダイムで書かれた本はいくら読んでもベターワールド(より良い世界)には繋がらないということらしい。筆者は進化論や経済学、ゲーム理論に功利主義などを説明しながらそのパラダイムとは何かを論じる。まぁ、確かに大きな知の地図を作ってそれに沿って読書をしていくのは効率がいいのかもしれないが(少なくとも本屋の本を片っ端から読むより),そんなものを作り終えた段階で読書より次のステップに進めそうな気がしなくもないが・・・
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着眼点は好きだし、読むべき書物の諸々も、なるほど的を射たチョイスだと思う。各ジャンルにつき系統立てて読み込んで、その結果、最新の知見からして必要最低限の書物に絞り込まれているのが十分に理解出来るし。あとの問題は、ここで取り上げられている諸問題に関して、自分の関心をどこまで持っていけるか、っていうこと。個人的には、本書で結構お腹いっぱいになってしまい、”次はじゃあ是非この本を!”みたいな感じになれんかった。残念。
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橘氏のベストセラーである「言ってはいけない」と似たような内容。特に本の書評がメインではない。
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本の本
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「寿命を考えると、死ぬまで頑張っても、世界中の0.02%の本しか読めない。だったら、『読むべき本』より『読まなくていい本』の基準を教えたほうが役立つでしょ、教えるよ」という本。
「今の文系学問の多くが、複雑系や脳科学をはじめとした科学のパラダイムシフトによって、とっくに時代遅れになっている」という誰もが”何となく認識してる、だけど実態はきちんと把握していない”ことを、詳らかにしていく。
この手の本には「古典をバカにするなんてけしからん」という批判が飛ぶけれど、そこへの再批判も、きちんと橘氏は用意している。
現実が変わったことを知った状態で過去を振り返る人間と、現実の変化を知らずただただ難しい言葉遣いを読む悦に浸る人間と。現実を変えれるのは、前者である、と明言するのだ。
タイトル「読まなくてもいい本」という尖った橘節が、逆に読者の幅を決めてしまっているのがモッタイナイ。 -
大学入りたて位の人が読むべき本でした
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人文系の人が読むべき最近の目ぼしいトピックを紹介したサーベイ本。読むべきトピックの一つに功利主義があったので気になって読んでみたが、なぜ最終的に功利主義が正義論として優れているとされているのかが一読した限りではわからなかった。テクノロジー(設計主義)と相性がよいからだろうか。
進化論のところはおもしろかったが、脳科学のところはまとまりがなかった。人文系の学生は生き残るためにこういうトピックを学ぶべきだ(それよりも古いものには価値はない)という話だが、たしかにポストモダンには価値はあまりないだろうと思うが、これだけだと薄っぺらい人間になるので、ミルとかデカルトとかプラトンとかアリストテレスとかマルクスアウレリウスその他には価値があるので読んでほしいと思う。というか、日本には読む価値のある古典はないのか。 -
複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学の爆発的な進歩。これらは従来の学問の秩序を組み替えるだけでなく、何千年と続いた学問分野を消し去るインパクトをもつ。
著者はさまざまな知のパラダイム転換を語ったのち、それらがひとつにつながることをマッピングしてみせる。その地図の基盤となるのは「進化論」である。 -
このタイトルは、ちょっとひねりすぎ。「こんな本は読む価値がない!」と、名著の数々をバッサバッサ斬り捨てる内容を想像するだろうが、そうではない。
副題の「知の最前線を5日間で探検する」のほうが、内容の的確な要約になっている。複雑系科学・進化論・ゲーム理論・脳科学・功利主義の5分野の概要と最前線を、手際よく紹介した概説書なのである。
それがなぜ『「読まなくてもいい本」の読書案内』になるかというと、“複雑系科学などの長足の進歩による「知のビッグバン」が起きたあとでは、それ以前の古いパラダイムで書かれた本は読むに値しない”との主張が根幹になっているから。
著者は科学者ではないから、進化論・脳科学・複雑系についての記述は、ありていに言って既成の科学書や論文の受け売りである。
ただ、この著者は受け売りの仕方が抜群にうまく、受け売りであることを読者に意識させない。いわば、“洗練された受け売りのプロ”なのである。ホメているように聞こえないだろうが、100%の讃辞として“受け売りの達人”と呼びたい。
全盛期の立花隆は、科学の最前線を手際よく読者に伝える優秀な「科学啓蒙家」であった。その役割を、本書によって同じタチバナ姓の著者(ちなみに、立花隆の本名は橘隆志)が受け継いだと言えそうだ。
私は当初、本書を図書館で借りて読み、半分ほど読んだところで「これは手元に置いて何度も読み返したい」と思い、Amazonに注文した。
「知の最前線」の的確な概説として、優れた内容だ。難しいことをわかりやすく説明する知的咀嚼力において、著者の力量は池上彰に匹敵する。
ただ、「知のパラダイム」によって、哲学などの古典的教養がすべて陳腐化したかのように著者が言うのは、やや勇み足。古典的教養は、科学の進歩によって無価値になるほど薄っぺらいものではないはずだ。
そのへん、大前研一の「古典的教養無用論」に通ずる底の浅さを感じてしまった。