- Amazon.co.jp ・本 (1216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480816832
作品紹介・あらすじ
150人が語り、150人が聞いた、東京の人生。
いまを生きるひとびとの膨大な語りを一冊に収録した、かつてないスケールで編まれたインタビュー集。
……人生とは、あるいは生活史とは、要するにそれはそのつどの行為選択の連鎖である。そのつどその場所で私たちは、なんとかしてより良く生きようと、懸命になって選択を続ける。ひとつの行為は次の行為を生み、ひとつの選択は次の選択に結びついていく。こうしてひとつの、必然としか言いようのない、「人生」というものが連なっていくのだ。
(……)
そしてまた、都市というもの自体も、偶然と必然のあいだで存在している。たったいまちょうどここで出会い、すれ違い、行き交う人びとは、おたがい何の関係もない。その出会いには必然性もなく、意味もない。私たちはこの街に、ただの偶然で、一時的に集まっているにすぎない。しかしその一人ひとりが居ることには意味があり、必然性がある。ひとつの電車の車両の、ひとつのシートに隣り合うということには何の意味もないが、しかしその一人ひとりは、どこから来てどこへ行くのか、すべてに理由があり、動機があり、そして目的がある。いまこの瞬間のこの場所に居合わせるということの、無意味な偶然と、固有の必然。確率と秩序。
本書もまた、このようにして完成した。たまたま集まった聞き手の方が、たまたまひとりの知り合いに声をかけ、その生活史を聞く。それを持ち寄って、一冊の本にする。ここに並んでいるのは、ただの偶然で集められた、それぞれに必然的な語りだ。
だからこの本は、都市を、あるいは東京を、遂行的に再現する作品である。本書の成り立ち自体が、東京の成り立ちを再現しているのである。それは東京の「代表」でもなければ「縮図」でもない。それは、東京のあらゆる人びとの交わりと集まりを縮小コピーした模型ではないのだ。ただ本書は、偶然と必然によって集められた語りが並んでいる。そして、その、偶然と必然によって人びとが隣り合っている、ということそのものが、「東京」を再現しているのである。
(岸政彦「偶然と必然のあいだで」より抜粋)
感想・レビュー・書評
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150人のロングインタビューで「誰も最後まで読み通せない本」を作る | 文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/40057
「東京の生活史」プロジェクト 岸政彦さん監修、東京暮らし経験者150人の人生をきく|好書好日
https://book.asahi.com/article/13692926
筑摩書房 岸政彦監修 『東京の生活史』プロジェクト
https://www.chikumashobo.co.jp/special/tokyo_project/
東京の生活史 岸 政彦(編集) - 筑摩書房 | 版元ドットコム
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480816832 -
買ってしまった。予想以上に分厚い。
毎日眠る前に少しずつ読んでる。
東京に暮らす人たちがどのようにして地方から東京に流れ着いたのか。
あるいは、どうやって東京で生まれ育ったのか。
チャンスあらば人からその話を聞かせてもらうのがほんとうに好きで、だから自分にとっては安い買い物だ。
読み進めるのがもったいないくらい。
本の中身が定期的にアップデートされないかな、と勝手なことを考えている。 -
150人の人が、その人と何らかのかかわりのある人に、人生についてインタビューした記録集。2段組1,200ページのボリュームで、読むのに1年近くかかった。
聞き手、語り手の年齢やバックグラウンド、関係性もわからないので、いつのこと、何のことを語っているのかわかりにくいところもあるが、祖母の子どもの頃だったり、同僚の知り合う前の話しだったり、同級生の卒業してからの経験だったり、読み進めるうちに少しずつわかってくる。病気、犯罪、ビジネス的成功や失敗、離婚、貧困、戦争体験、政治、人との出会いや別れなど、話の内容は極めて雑多であり、普通に暮らしている一人一人の人生があまりにも異なること、どんな体験をしてきたにせよどれも大切なものであることに、いまさらながら気付かされた。
喫茶店かどこかで隣で話している2人の会話に思わず聞き耳を立てるような読書体験だった。 -
少しずつ読んで、読み終わってしまった。
今年を生き抜くために買ったけど持ち運べないから部屋に爆弾抱えてる感覚だった
大学生のうちに読めてよかった
大阪の生活史も楽しみです 社会人になるからもっともっと時間はかかるだろうけど -
図書館で借りた。タイトルに惹かれて、予約殺到していたが、その行列に並んだ形。
めっちゃ分厚くて重い本。辞書みたい。
いきなりインタビューが前触れ無くはじまり、それが1000ページを超える。インタビューの対象がどんな人の説明はなく、あくまで会話の中に情報がある。
読み応えはすごくある。監獄の中で読むならこんな本が楽しめるんだろうな、って思った。
あとがきまで読んで、ようやく理解したが、最近twitterで募って「みなさんの東京の生活を教えてください」というインタビュー集らしい。
タイトルから、私は「100年前明治時代の東京はどんな生活なんだろう」と思っていたが、上記背景なので、全く記載は無い。ギリギリ「戦争の記憶」があるくらいで、ほとんど現在のお話。"史"って要るかなぁ? -
岸政彦さんが監修ということで期待して、楽しく読んだ。まさか「海をあげる」の上間陽子さんの聞き書きまで載ってるなんて… 素晴らしい。
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東京に住んだ/住んでいる多種多様な人に、生い立ちから東京での過去と現在の生活について聞く。しかも話を聞く人/聞かれる人も一般の人である。150人の聞く人と聞かれる人、私を含める読者と似ている点があると、感情移入してしまう。地方から近郊から、そして生まれながらの東京住人は日本人の縮図であり、社会人・生活者のサンプルでもある。
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様々なバックグラウンドを持つ人々が、聞き手との会話から自身の歴史を振り返っていく。1人1人の回顧にかかるページは少ないものの、本当に多くの人々がインタビューされており、1200ページを超える大作となっている。自分と比較しても、ここまで多くの人が出てくると「良い/悪い」ではなく、「違う」ということが強く印象に残るが、ただ「違う」ということを感じられるのがこの本のよさなのかもしれない。
自分の人生や方向性に悩む人や、将来に悩む高校生・大学生には自分自身への安心感と刺激を同時に与えてくれる本だと思う。
個人的には、割腹や飛び降りなど自殺を図ってきた人が生きることをあきらめたくないと語ったことと、「大学はステータスではなくセーフティーネット」という言葉が印象に残った。また、自分が仮にインタビューを受けたら同じように話せるのだろうかとも心配に感じた。
東京の生活史 岸政彦編 :東京新聞 TOKYO Web
https:...
東京の生活史 岸政彦編 :東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/141234?rct=shohyo
https://www.chikumashobo.co.jp/special/osaka_pr...
https://www.chikumashobo.co.jp/special/osaka_project/