東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ

著者 :
  • 筑摩書房
3.65
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本棚登録 : 460
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480818157

作品紹介・あらすじ

知る人ぞ知るケンカの達人・遙洋子が、そのケンカ道にさらに磨きをかけようと、東大・上野ゼミに入門。今、明かされる究極のケンカ道とは?フェミニズムの真髄とは?格闘技としての学問に分け入り、心の中で「ドーン」と音がするほどの感動を味わったタレントの、涙と笑いの抱腹エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 20年以上前の本。今やフェミニズムは徐々に一般的になりつつあるが、日本国内発信でフェミニズムが浸透しなかった素地が、この本で垣間見えた。

    本作の舞台となる教育現場において、フェミニズム学の探究目的が、正当な評価を学会で獲得するため、海外の最先端の学者たちと議論できるため、という方向に終始し、一般多数の女性たちの行き場の無さや生き苦しさに手を差し伸ばす姿勢が見えなかったのが残念でならない。
    学問は大事だけど、レベルが高すぎて、たとえば空腹な人に、おにぎりやパンじゃなくて、高級キャビアを与えてもなぁ…って感じ。(勝手なイメージ)

    また、過去のフェミニズムは、男性を叩きのめすというイメージが強く、まさにこの本もケンカ上等という姿勢。だから多数の女性たちにとってケンカ前提のフェミニズムは敬遠されてきたし、私もフェミニズムの必要性を感じた事は無かった。

    しかし私も含めて多数の女性が現状の違和感に気付いたきっかけは、国内のフェミニズム学ではなく、国外からの「MeToo運動」や「82年生まれ、キム・ジヨン」であり、フェミニズムは必ずしも戦うだけではなく、感じた違和感を言語化するとか、社会的ジェンダーイメージの押し付け合いはやめて、男女問わず痛みを理解し合うものになり、フェミニズムがいい形で徐々に浸透しているのを感じる。

    それでもやむを得ず戦わなければいけない場面では、この本に書かれている「ケンカのしかた・十箇条」は有効だと思う。そんなケースがない事を祈るが、直面したら使ってみたいと思う。

    ただし、これは高飛車で理不尽な相手や自分よりも立場が強い人に使うべき。間違っても年下や立場が弱い人に使ってはいけない。(これを上司が部下に、年上が年下に行使したら、メンタルやられます)

    そして、世間の共感を得られなかった日本の高尚な学問には、政治を動かす力があるらしいので、社会的ジェンダー格差是正の法案実現のために、ぜひとも頑張ってもらいたい。

  • 東京大学で上野千鶴子先生から学んだ遙洋子先生による著書。議論、ディベートする意味や正しい議論、ディベートの仕方、議論、ディベートの勝ち方を学べます。日本社会がいかに男性優位社会、女性蔑視社会で、女性が過酷な状況に置かれているかも学べます。素晴らしく勉強になる良書で、女性はもちろん、男性にも読んで欲しい一冊。上野千鶴子先生のような能力も信念もあって、かつ明朗快活な女性が増えると、日本社会もきっと変わるはず。

  • 違和感に感じていたことを言葉にしてくれている。私が上野千鶴子に出会えた本。

    色々な人の言葉を引用してくれていて、勉強になる。専門用語や難しい言葉を、わかりやすい言葉で説明してくれていて理解しやすい。

  • とっても、読みやすかったです!

    日常生活の中で、もやもや違和感を抱いているのに、この違和感がなんなのか、どこからくるのか、どうしたらいいのかわからない!でも、このまま流されたくない、押し込められたくない!
    そのために、東大で、上野千鶴子に、抵抗の仕方を学んだ著者。

    わたし自身、学生時代、ほんのちょこっと、かじったとも言えないくらいわずかに、社会学やらジェンダーについて触れたことはあったけど、ちんぷんかんぷんで終わってしまった。
    だけど、この本を読んで、あの頃わからなかったことが、急に繋がってきた気がする…。

    出版が10年以上まえなので、引用している上野千鶴子の著書も10年以上まえのもの。
    この本を読むにあたり、ここ数年の上野千鶴子の著書を読んだところ、上野千鶴子自身が当時の論を訂正しているものもあるようなので、そこはしっかりおさえておく必要があるかと。

  • 「元祖女性は太陽だった」で有名な平塚らいてうの言葉の数々には、らいてう自ら、女を母性という枠組みに押し込めていたという事実があったことに、この本で初めて気づかされた。
    女子校出身のため「女性と社会」について学ぶ機会はおそらく他の共学校出身の女性よりは多くあった。だから、フェミニズムについて多少の見識や意見があると自負していた。しかし実際のところ私は、少しも理解などできていなかったししっかりと考えてなどいなかったのだ。
    この本では上野千鶴子のを中心に、多くの引用文が筆者の理解の過程と共に紹介されているが、中でも印象的だったのは、「世界が言葉で表現されているというよりも、言葉が世界を構成している。」(野口裕二『ナティブセラピーの世界』)という引用だ。世界を構築しているのが言葉なら、再構築するのもまた言葉であるともいえる。私は日々、あまりに言葉に対してぞんざいな姿勢でいる。だから、らいていの言葉の中に潜むものにも気づくことができなかったのだ。
    ケンカの仕方も大いに学ばせてもらったが、それ以上に自分に圧倒的に足りないものを気づかせてくれた一冊であった。

  • 情報生産者に感銘を受け購入。
    複雑なことを複雑に覚えるに目からうろこ
    論文多読も共感
    作者の今どこに
    ケンカというタイトルは上野千鶴子のイメージ

  • タレントの女性が、フェミニズムの大家である上野千鶴子のクラス・ゼミを受けて、その内容・過程を専門家ではない視点で語ってくれる本。
    本業であるテレビ業界や番組での議論がそもそものモチベーションになっており、アカデミックな内容を学びつつ、仕事にフィードバックを図る、そしてまた学ぶ、の操作を繰り返す姿が想像できました。学生たちとの飾らないコミュニケーションがある一方で、勉強量が非常に多く、仕事との両立が大変だったことも伺えました。
    他人の目で映す上野千鶴子の姿も、他の書籍にはない新鮮な部分かと思います。

  • 2008/05/23:初読
    2021/03/27:再読(読書会)

  • 理屈やと言われる人が読むと、きっと面白い。私はとても面白かったと思う(にんまり)

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