プロパガンダ・ラジオ: 日米電波戦争 幻の録音テープ (単行本)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480818324

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  • メディア
    戦争

  • マスコミュニケーションの弾丸効果としてのプロパガンダの役目をしたラジオ・トウキョウについての詳細を説明した本である。授業に役立つし、プロパガンダ研究の基本書であろう。

  • 第二次世界大戦時の日本の大陸進出から日中戦争、太平洋戦争への拡大、撤退(大本営ではこれを転進とよぶ…)、沖縄戦、原爆投下、そして無条件降伏、幻の放送と言われた短波ラジオ局『ラジオ・トウキョウ』の発信する情報の変遷を追ったドキュメンタリー。
    戦況が変化する中で、変化していくラジオ・トウキョウ。読み進めるほどに引き込まれた。今日は寝不足。。。
    プロパガンダは今の時代にもあちこちに存在する。
    現在発信されている情報にも、良きにしろ悪きにしろ発信する側のなんらかの意図が混ざり込んでいる
    情報を鵜呑みにする事なく、「ホンマかいな?」と自分の頭で考え、行動することが必要なんだなぁ。

  • 大戦中に米兵向けに放送された「ゼロ・アワー」や東京ローズの本だろうと思って読み始めた。確かに東京ローズも出てくるが、それよりも、正式な外交ルートがなかった日米間で、戦争終結に向けて、放送を通じて相互に腹の探りあいが行われていたという終戦直前の2~3か月の模様が、緊張感もあり、とても興味深かった。たしかに、映画「日本のいちばん長い日」でも、ポツダム宣言に関するサンフランシスコ放送の傍受から始まっており、ここでいうサンフランシスコ放送が対日宣伝放送であるということも分かった。それにしても、アメリカ側の日本研究の深さには感心する。日本国民のほとんどは短波ラジオを持っていないので聴けないが、要人・中枢500人ほどが国論に影響を持っていて、彼らに放送を通じて働きかければ、本土決戦なしに戦争終結に持ち込めるという分析が行われていたなど、驚くほど的確な分析が行われていた。
    存命の関係者へのインタビューなど貴重な証言も載っていて面白いが、海外向け宣伝放送を開始するに当たっての経緯や当時の意義付けなどは、報道関係者にとっては重要かもしれないが、ちょっと退屈でもあった。著者がNHKの人なので、放送が戦争や軍といかに関わったかという視点が随所に見えるが、そういう点は類書も多いので、もう少し割り切ったドキュメンタリーにした方が読みやすかった気はする。

  • 面白かった。太平洋戦争時の日米の対外向け
    ラジオ番組の内容(過去のテープ)から
    お互いにどういうプロパガンダをやっていたのか
    という取材に基づいた内容。
    著者はNHKの人で、報道にかかわる人が
    戦争に向かう時、戦時中、どういう構造でどういう
    放送を実施したのかということを丹念に取材して調べた
    内容で、読みごたえのある内容だと思いました。
    とてもよかったと思います。

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著者プロフィール

テレビディレクター。1966年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。1990年NHK入局、福岡放送局、番組制作局、大型企画開発センターなどを経て現在はNHKエデュケーショナルプロデューサー。制作した番組に、ETV特集『もういちどつくりたい~テレビドキュメンタリスト木村栄文の世界~』『シリーズBC級戦犯(1)韓国・朝鮮人戦犯の悲劇』、NHKスペシャル『学徒兵 許されざる帰還~陸軍特攻隊の悲劇~』などがあり、3作品とも、ギャラクシー賞選奨(テレビ部門)を、またETV特集『戦場で書く』は、橋田賞を受賞している。他にも放送文化基金賞などを受賞。近年は映画制作にもかかわる。
著書に『戦場で書く火野葦平と従軍作家たち』、『特攻隊振武寮 帰還兵は地獄を見た』(大貫健一郎氏との共著)、『プロパガンダラジオ 日米電波戦争 幻の録音テープ』(筑摩書房)、『最後の言葉 戦場に遺された二十四万字の届かなかった手紙』(重松清氏との共著)ほか多数。『ゲンバクとよばれた少年』(中村由一氏、宮尾和孝氏との共著)は第24回平和・協同ジャーナリスト基金賞を受賞。近著に『まなざしの力』(かもがわ出版)。

「2020年 『少女たちがみつめた長崎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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