嵐が丘

  • 筑摩書房
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480830951

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  • なんとなくあらすじは知っているが読んだことなく終わっていた「嵐が丘」を読んでみた。世界文学全集(集英社)という図書館の古い本のせいか、印刷も薄くなっていて歴史を感じさせる。またその翻訳も「永川礼二」という人で恐ろしく古い言い回しがある。そのせいか何なのか、何故こんなに名作としてそれも激しい恋愛小説の代表のように今も残っているのかちょっと疑問に思う。まず冒頭からなんと言う家族だろうと思う。地方の名家だというが客の前でさえ互いを罵り合う人々。不機嫌な主人のヒースクリフ、狂信的で偏屈そうな老下男ジョーゼフ、粗野でみすぼらしい格好をした荒っぽそうなヘアトン、その美しい容貌とはかけ離れた冷たくふてぶてしい口を利く若奥さんキャサリン。何ここは、山賊の隠れ家じゃあるまいし。都会から来たスラッシュクロス屋敷の借り手のロクウッドにメイドのネリーによって語られる長い話が始まる。親切な紳士によって屋敷に連れ帰られた孤児の少年ヒースクリフ。その子を苛める兄のヒンドリーと最初はつばを吐きかけたりしてたくせに年が近いせいか仲良くなるキャサリン。どちらの子供たちも読んでる限り可愛らしいという感じじゃない。ヒースクリフにしたところで訳隔てなく接してくれる父親の態度を利用し陰で傲慢なんだからやはり好きにはなれない。母親が死に父親も亡くなり、大学に行っていた兄が妻を連れて帰ってくると、父親の愛情を奪った憎い存在としてヒースクリフに意地悪をするが、なんだかそれにも同情する気が起きないような子供のヒースクリフなのだ。何か性格悪い。15歳のキャサリンは同じ様に地方の名家の息子エドガーに求婚されるが、そのときエドガーは18歳、キャサリン15歳、、ヒースクリフ16歳、ヒンドリーは妻を失い生まれたての息子を残されるがまだ23歳なのだ。甘やかされて育ったヨワッチイ坊ちゃんのエドガーと兄に下男扱いされて益々性格が悪くなっていくヒースクリフ、エドガーと結婚してそれでヒースクリフを助けて兄から開放できるなんて甘いことしか考えられないキャサリン。でもそんなキャサリンの言葉に絶望し出奔してしまうヒースクリフ。不幸なのは彼らの周りには大人がいないことだろう。子供、それも自分の感情のままに行動するわがままな子供ばっかり。リントン夫妻も死に、年長なのはジョーゼフとネリーとヒンドリー。そのネリーにしたってヒンドリーと同じ23歳という若さなのだ。みな半分世間から隔離されたような片田舎で家族以外との交流も少なく、互いの感情をぶつけ合う荒々しい接し方しかできない。特にかんしゃくもちだったキャサリン、これは小さいときに母親を亡くし、兄とヒースクリフのいがみ合う仲でわがままに育ったのだから余計に酷い。ほとんど病的にさえ感じる。3年後エドガーとキャサリンは結婚し安息を迎えたかと見えたところへヒースクリフが戻ってくる。その頃はもう酒と博打で身を持ち崩し無法地帯のようになった屋敷に派4歳になるヘアトンがネグれスト状態。なんていうバカな一家。キャサリンも自分の甥っ子を思う気持ちなんてさらさらないのが不思議である。18世紀というイギリスの田舎の社会情勢がそんなものなのかもしれないが、つくづくどいつもこいつもと思うような家族なのだ。やがて悲劇は一気に訪れキャサリンはエドガーの子キャサリンを生み死に、エドガーの妹イザベラはみんなの忠告も聞かず間抜けな思い込みでヒースクリフのもとに走り軟禁状態でいたが逃げ出しリントンを産む。バカばっかし。やがて子供たちが大きくなり、キャサリンはリントンと結婚しエドガーは死に、両家の財産はヒースクリフのものになる。また彼ら子供たちのみんな変。口汚くののしりあったりすぐ暴力をふるったりと、キャサリンお嬢様だって全く下品じゃないか。ヒースクリフの死によって落ち着きを取り戻したキャサリンとヘアトン。しかしそれは陰で支えるネリーが40を過ぎたオバサンになり大人が一人いるからだろう。という事で「嵐が丘」は感情的な子供たちの感情を行く精できないわがままから起こった悲劇だったと、私の中に落ち着いた。昔、リーダーの副読本で読んだのは、荒野をキャサリンの幻を求めて彷徨うヒースクリフの悲惨な姿の部分だったことを思い出す。そのときはなかなか感動的そうだったから、原作はもっといいのかもしれない。この翻訳のせいで評価は下がったのだろう。

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