競売ナンバー49の叫び

  • 筑摩書房
3.59
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本棚登録 : 213
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480831293

作品紹介・あらすじ

現代アメリカ文学史上最大の謎の作家による、隠喩と多義性に満ちた問題作に、本邦初訳短編を併録。

感想・レビュー・書評

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  • ようやくピンチョンの競売ナンバー49の叫び」を読了。
    デヴィッドリンチ的な隠喩と暗示に満ちた展開に、わからないけどいつかわかるかもしれないというわずかな期待が捨てられず案外ドンドン読んだ。

    難しい、といってしまえばそれまでだが、知らない固有名詞の反乱にさえ足を取られなければ、私でもほんの少しだけこの物語の普遍性に触れられたような気がする。

    それは、全ては偶然の一致に過ぎないのか誰か別の存在によって動かされているのか全てただの妄想なのか、というような、不確定な世界の在り方についてである。
    そして、それがどれなのか答えは出ずに小説は終わるのだが、全ての可能性について開きながら、だけど決定せずにすべてを感受し、なおかつ狂うこともしないという究極の在り方、あるいはバランスの取り方が、何か真実らしきものに近づく方法なのではないか、という点である。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「なおかつ狂うこともしないという究極の在り方」
      上手いコト表現するなぁ~久々に読み返したくなりました!
      「なおかつ狂うこともしないという究極の在り方」
      上手いコト表現するなぁ~久々に読み返したくなりました!
      2012/07/09
  • ポストモダン文学らしさ全開の難解さと面白さ。しかし、ピンチョンの作品の中では一番読みやすいのは本作なのだとか。
    いわいる「アンチミステリー」というか、謎解きに見せかけたアイデンティティーの喪失や模索の物語。謎とされているものはある程度謎のままで終わるので、ミステリー好きな人には不満が残ると思う。日本人で、こういう形式の小説を書くのは、村上春樹ですな。
    固有名詞が独特だったり、翻訳でも要所要所で「あ、ここは何か言葉遊びがされているな」と感じるところがあり、原語で読んだらもっと色々面白いのかもしれない。余計難解になりそうだけど。あと、このレベルの英語を読み解く自信がない。相当時間がかかりそう。
    主人公の「エディパ」という名前にも違和感を覚えたら、綴りは"Oedipa"と書く。ここの部分は解説で読んだのだけれど、ああ、オイディプス王のもじりか!とすぐわかった。
    あと、これは解説を読まなければ気づかなかったことだけれど、ピンチョンもかなりE.A.ポオの影響を受けているのだとか。さすが、my beloved Edgar。笑

    総合して、非常に面白かった。久しぶりに読みごたえある小説だったな、と満足感で満たされました

  • "The Crying of Lot49",Thomas Pynchon

    「生かすも殺すもウィーンでは」 収録。
    Mortality and Mercy in Vienna

    初期作。
    タイトル通り、主人公がパーティー招待客の生殺与奪権を握る展開に。

  • 初めてのピンチョンの本にチャレンジ。

    猫町倶楽部に参加するまで、こんな本があるとは知らなかった。
    猫町倶楽部の参加者がピンチョンの読書会をやるという話が去年あって、
    僕はピンチョンとは誰ぞや?と思っていた。

    ピンチョンは謎が多いよね。素性は全く知られていない。
    一方でノーベル文学賞候補に近いとも言われているらしい。

    始めて読んだ感想は、とにかく僕の知識では全く理解できなかった。
    哲学あり、推理あり、そして海外文学・芸能に通じていないと、
    全く時代背景が理解できない。T
    . S エリオットの作品をもじったり、レメディオス・バロというスペイン人の画家とか、
    とにかく理解するのに苦労して、内容がいまいちわからなかった。

    タイトルも非常に暗示が含まれていると思う。
    49というのはカリフォルニア州が49番目に合衆国の中に組み入れられた数字であり、
    この話の舞台がカリフォルニア州だということも考えると、
    決して偶然だとは言い切れない(解説から参考)。

    個人的にはピンチョンのV.には興味あるけど、
    今の僕の知識量だとおそらく理解できないと思うので、
    また色んな本を読み漁り、再チャレンジできる日を心待ちにしたいと思う。
    しかし、本の感想がこんな程度になってしまって多いに反省しないといけないなぁ。

  • 再読必。

  • 「トマス・ピンチョン」は、恐らく現時点で最も難解な、謎が多いアメリカ文学の巨匠的作家であろう。

    彼の作品の中で、一番短い作品(短編を除く)である本書であっても、引喩や暗喩がとても多く何を言っているのかさっぱりだ。

    翻訳者の親切丁寧な解注を頼りに手探りによんでいけば「なるほどなぁー」と合点がいくが、そんなのいちいち読みながらでは、ストーリーについていけない。

    とまぁ散々な評価ではあるが、僕は正直嫌いではない。
    機会があれば、次は長編にチャレンジしたいところ。

  • 本編はよくわかんなかったです。
    でもなんか凄いなぁと思いました。
    解注が面白かったです。

  • ここにきてピンチョンの魔法にかかってきたというか、全部読んでから、もう一度、読み直さなければならないような気がしてきた。ここまで読んだ4作がすでになんともいえない絡まりをみせてきているから。これは、なんというか、劇中における「トライステロ」の存在と似ているかもしれない〈以下、少し内容に踏み込みます〉――――――――――――――――――



    では、ピンチョン全作品を読了したからといって、そこに何かが在るかは――全く解らないわけです。だけど、そうしようとする行為、その過程で生じる過程は――無意味では無いわけです。「ほんとうに存在してる組織?」「誰かがお金にモノをいわせて作りあげた虚構の世界?」「それともワタシのアタマが狂ってしまったのか?」答えなんて誰にも解らないのですが、悶々と思考し行動することは(解注による隠喩に基づけば)塔から脱出しようとする行為だからです。もう一度書きますが、それが結果的に塔からの脱出を意味するわけでは、無いのです。その辺を描いている(というか描いていない)ところが素晴らしいです。

  • 難解です。
    だけれども、読ませてしまうその魔力は
    圧巻なのであります。

    そう、これはある意味巧妙な
    読ませる手段です。
    疑問、疑問の連続だから
    結局読まざるを得ない。

    最後に表題作は
    いろんな意味でつながっていきます。
    難解なんです。
    でも読ませられてしまう。

    強すぎです。

  •  突然、大昔の恋人の莫大な遺産を受け取ることになった主婦の話なのだけど、受け取りに向かってよく分からないバンドをやってるの若い男と知り合って、ホテルに行くあたりから現実のことを言ってるのか何なのか分からなくなった。今、自分が何について読んでいるのかわからなくなったという珍しい作品。途中で放棄。

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