草原の神々の黄昏

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480831675

感想・レビュー・書評

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  • 作者のモスクワ留学の経験を元に書かれた自伝的な小説。

    作家たちの住む寮は、嘔吐と監視、異様な興奮と不穏な気配をはらんでいる。
    冷やりとした気持ちになっていくけど、笑って読んでしまうところも多かった。
    すごく変な雰囲気…!

    美しいタイトルの内側には作者の激しい怒りがあったのだなあ。
    恋人への約束を守ったことが、アルバニア人としての誠実さを持ち続ける誓いのように感じた。

  • フルシチョフがメディアに愛称で呼ばれはじめ、ノーベル賞に推されたパステルナークに対する弾劾キャンペーンが繰り広げられ、ソ連とアルバニアの関係が冷えてゆく時代のモスクワに留学したアルバニア人作家が体験した文壇と政治の様相。凡庸な老人となった御用作家たち、凡庸な鬱屈と挫折を抱える自治共和国の若手エリートたち、凡庸な乱痴気騒ぎと凡庸な恋と監視社会の凡庸・・・とを、主人公が拠り所とするアルバニアの古伝説が、かろうじて神話的な体裁に昇華する。その「かろうじて」の暗澹。

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著者プロフィール

アルバニアの作家・詩人。1936年、同国南部のジロカスタルに生まれる。
ティラナ大学卒業後、モスクワに留学するが、アルバニアとソ連の関係悪化をうけて帰国した。その後ジャーナリストとして活動しながら、詩や小説を発表。1963年の小説『死者の軍隊の将軍』が国際的に注目され、作家としての地位を確立する。労働党の一党体制下で制限を受けながら執筆を続けていたが、1990年にフランスへ亡命。翌年、複数政党制となった母国に帰国、現在も旺盛な執筆活動を続けている。
代表作に本書のほか、『大いなる冬』(1977)など。日本語訳は『夢宮殿』(東京創元社)、『砕かれた四月』(白水社)等が刊行されている。第1回「国際ブッカー賞」受賞。

「2009年 『死者の軍隊の将軍』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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