エクスタシーの湖

制作 : Steve Erickson  越川 芳明 
  • 筑摩書房
4.00
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本棚登録 : 85
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480832023

作品紹介・あらすじ

突然ロサンジェルスの中心部に現われた巨大な湖。息子を救うために湖底へと潜っていく主人公クリスティンの物語と、2017年西海岸のゲリラ隊の物語が絡み合う。原書の実験的なレイアウトを邦訳版でも再現。北米のマジックリアリスト、エリクソンのカオス的な想像力が炸裂。

感想・レビュー・書評

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  • いとうせいこう曰く「うわ、確かに選りすぐりの今だ。」
    その一。

    確かに凄い。

    独白と物語が同時進行で流れていく。

    腰を据えて読む必要を感じたので、図書館には返却。

    購入しよう。

  • これもすごく面白かった。
    この本は『真夜中に海がやってきた』に続く形をとるので、先ず『真夜中〜』を読むことをおススメしたい。
    主人公も同じだし、前作の終わりからの続きの物語だし、他の登場人物や過去もそのまま投影されているから。

    それからこの本の面白いところは、文章のレイアウトにもある。
    段落、標準体と斜体、ページの使い方、文字組み、言葉の見せ方にすべてこだわっている。そうして全体で物語をつくり上げているところがとても興味深い。
    水から掬い取った言葉をまるで泡のように表現したりする。


    この本は、女性の方が興味深く読めるような気がする。
    <産道うんが>というキーワードがあり、カオスというキーワードがあり、
    前者の指す命の連鎖と後者の指す命の喪失と、人間と世界と自然を渾然一体となした物語を、子供を護る母親を主人公にして描いているから。
    生命の源は女性の子宮。赤い血、赤い狂気。喪失する青。

    エリクソンの小説は、いつも私の創作意欲を駆り立たせる。またあとで読み直したい。

  • 三人称があらゆる瞬間に飛び込んでくるので、読みわけに慣れるまで少しかかる。
    あらゆるメタファーが混在するので、読書初心者にはハードかと。
    美しい一文が、あらゆる場面で輝いていて、読み進む度に胸をうたれる。小説の可能性の奥深さ、

  • 新潮2010年2月号より

  • 2010.01.17 朝日新聞に紹介されました。
    ロサンジェルスに巨大な湖が出現するらしいです。。
    著者の他の作品は、「真夜中に海がやってきた」

  • 100117

  • 詳しくは読み終わってから書きます。

    が、とにかく面白い。
    「黒い時計の旅」と並んでエリクソンの最高傑作かもしれない。

    /////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
    読み終わりました。
    装丁で複数の物語が交錯する構成といい、
    エロティシズムとリリシズムを俯瞰的に表現したような文体といい、
    まさにエリクソン的宇宙のただなかに叩き込まれます。
    文学好きを自称するなら一度ページをめくってみる価値はあり。
    (もちろん拒絶反応を示す人はいるだろうけど)
    こういう文学を書ける人はエリクソンしかしない。唯我独尊。

    細かい批評は書ける気もしないし、書く気もしないけど、
    思うのは、サブカルチャーをデータベース化した文学が
    世の中を席巻し、安易な「感動」や、「萌え」に迎合することに
    慣れた思考を、確実に混乱へと追いやる作品だということです。
    また同時に、文学の「古典」や、「王道」に慣れきった思考でも、
    この作品にはたちうちできないだろうとも思います。
    当然のように「起承転結」や「序破急」といった分かりやすい構成は
    ここにはないし、同時に「キャラ萌え」できそうな要素もない。
    それはなぜかというと、「古典」という「昨日」の世界からも、
    「キャラ」や「データベース」という「今日」の世界からも、
    エリクソンは離れたところにいる。
    いわば「明後日」の方向にいる。
    それは「今日」から連続した時間軸上にある、
    「明日」とも違うタイムラインだ。
    文学の使命が「昨日」を分析し、「今日」を生きることにあるとすれば、
    エリクソンは文学から逸脱した存在なのかもしれない。

    だが、これからの文学は「昨日」や「今日」に浸り、「明日」を夢見る、
    そんな生ぬるい態度では機能しないのではないかと思う。

    もちろんエリクソンの文学がこれからメインストリームになると
    いいたいわけではないのです。

    むしろ、エリクソンはメインストリームをある程度意識しながら、
    それを斜め上から眺める視点で作品を創造している。
    その意味で、エリクソンは永遠のアウトサイダーだと言えると思います。
    文学から離れて文学を生きること、それがエリクソン的ロマンなのではないか。
    メタレベルではなく、あくまで「斜め上」に位置すること。
    (メタフィクションならすでにその役割を終えている)

    独創的という一言で片付けられない力を持った一冊です。

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著者プロフィール

1950年、米国カリフォルニア州生まれ。作家。『彷徨う日々』『ルビコン・ビーチ』『黒い時計の旅』『リープ・イヤー』『Xのアーチ』『アムニジアスコープ』『真夜中に海がやってきた』『エクスタシーの湖』『きみを夢みて』などの邦訳があり、数多の愛読者から熱狂的な支持を受けている。大学で映画論を修め、『LAウィークリー』や『ロサンゼルス・マガジン』で映画評を担当し、映画との関わりは長くて深い。本作は俳優のジェームズ・フランコの監督・主演で映画化が進行している。

「2016年 『ゼロヴィル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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