- Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480832054
感想・レビュー・書評
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物語を組み上げることでその人にとっての真実が見つかり、自分のルーツから切断されている寄る辺なさが癒される話として読んだ。繰り返し繰り返し描かれる場景(≒情景)で編み上げられた、ずっしりした構築物を鑑賞し続ける一か月だった。夢破れて新しい道を見つける話でもあり、労働力として島に送られた移民たちの悲惨の話でもあり、読みどころはいろいろ。
自分は両レオンにあまり興味をひかれない、というか応援する気持ちになれなかったのだけど、レオン1はともかくレオン2は齢四十にして何かしらの心もとなさが解消されたのはよかったね、とは思った。でも半分くらいの年齢の娘に会ってすぐ「恋をしている」とか思っちゃうのは気持ち悪いな、と思いました。それ反射的な性欲と何が違うのよ。フランス語では「やりたい」は「恋をしている」なのですか。
読み終わってみればレオン1のキャラデザはレオン2が担当かつレオン2が1に成り代わって語っているのがわかるのだけれど、レオン1と2じゃ年がぜんぜん違うのに、成熟していない感じが好きじゃない。いつまでも少年の心を前面に出すな恥ずかしいぞ。
もとい、モーリシャスの成り立ちに触れられたのはよかった。労働力として人が船に詰め込まれて向かった先は、南北アメリカだけではなかった。好きな場所に住む力を持たないひとたちがいるのは今も変わらない。インドからモーリシャス島へ漂うようにしていったギリバラとアナンタが何を感じ、考えていたのかをもっと読みたかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「…すべてが不滅になることが、あまりに現実的になることが、不意に怖くなった。まるで実際に境界線があって、それを越えるともう後戻りができないみたいだった」
3週間かけてようやく読み終わった。長かった。
<根源への旅>三部作の第2作。前作「黄金探索者」が破格の素晴らしさだったけど、これもとても良かった。
大部でなかなかな話が展開しないが、ゆっくり蛇行して進むことがかえって小説を読むことの面白さ楽しさを示してくれる。そうしてたどり着く最後の余韻もいい。 -
2021年7月期展示本です。
最新の所在はOPACを確認してください。
TEA-OPACへのリンクはこちら↓
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00511186 -
モーリシャス第2作
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岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00605477
フランスからモーリシャスへ向かう船内で天然痘が発生し、一行は目的地近くの島で40日間隔離されることに。医薬品や食品も不足するなか新たな発症者が出て、乗客たちは死と隣り合わせの極限状態を生きる。島の自然、宗主国と植民地、被差別民、疫病、そして若者たちの恋が織りなす豊かで複雑なタピスリーのような人間ドラマ。ノーベル賞作家自身の祖先の歴史に素材を汲み描いた代表的三部作の一作。(出版社HPより) -
とても重層的な物語。物語の大半は、19世紀末にモーリシャスに渡航中、船上で発生した天然痘のために沖合の島に隔離されたフランス人青年が現地のインド系の少女と出会いその原初的な力に魅了されていく過程を詩的に表現したものだが,同時にその少女の母がインドからモーリシャスに連れてこられる航海の途上、やはり天然痘とコレラによって同じ島に隔離された歴史があること、20世紀末の又甥にあたる語り手が自らのルーツであるモーリシャスを訪れる回想も綴られる。読み応えのある小説だった。
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2014/11/28購入