82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

制作 : 斎藤 真理子 
  • 筑摩書房
4.20
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本棚登録 : 312
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480832115

作品紹介・あらすじ

韓国で100万部のベストセラー! 映画化決定!! 
教育や仕事、育児など女性が人生で出会う困難、差別を描き、
絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作。
解説 伊東順子

「女性たちの絶望が詰まったこの本は、
未来に向かうための希望の書」――松田青子

感想・レビュー・書評

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  • 何かカタルシスを求めて読むと読後辛い。ひたすら問題を提起している小説。
    韓国で話題になっているのが分かるし、日本もこの本が話題になる国であって欲しい。
    或いは、昔そんな事もあったの?今では信じられないね、という意味で話題にならない国になって欲しい。

  • 図書館で借りて読む.韓国社会が何重ものイジメのミルフィーユで包まれているようで,重い.社会問題を限りなくノンフィクションに近いフィクション,しかも医師のレポートという視点のものがたりの力を借りて,社会調査的論点をスイートスポットでヒットするかのように鋭く描くので,説得力がある.

  • 多くの人に問いたい。あなたが放つその言葉は自分の娘にも言えるのか?と。僕自身が本を読んでそう問われていると感じた。

    キム・ジヨンという一人の女性に焦点をあてながら終始客観性を感じる内容となっており、読む人自身に何を思うかを委ねられているのがよかった。

    特定の属性や特定の個人の例を誰かやカテゴリーにあてはまるのではなく、もっと解像度高く世界を見ていく必要があると思った。

    日本ではあまり話題になっていないけど、もっと広がって欲しい作品。

  • 電車の中で読んでいたから泣くことはなかったけれど、何度も胸が苦しくなった。でも、ページをめくる手を止められなかった。

    月並みなことかもしれないけれど、困っている人がいたら、ためらわずに手を差し伸べられる人になろうと思う。

  • 韓国における女性差別の歴史について、ある1人の女性の人生を追うことで赤裸々にする小説。読んでいて辛くなるけれど、読むべき小説。日本とほとんど変わらない現実があるとともに、韓国人が声をあげようとする姿勢に感銘を受けた。
    韓国の日常的なしきたりや慣習についても知ることができ、面白い。

  • 「恥を知れ」
    読了後、「キム・ジヨン」氏に、女性たちに、そう言われた気分になった。
    自分に興味のない事・関心がない事は、目の前で起きていても気が付かない。マジックミラー効果。

    女性である、という理由で抱える理不尽な悩み、苦しみ。日頃から性別関係なく、対等に個人として女性と接してきたつもりであったが、薄々気付いていた。

    あるショッピングモールで「お客様からの声」のボードの下に掲示してある店長の顔写真が女性だと
    「女性店長か。珍しいな」と。

    変えようの無い生理的問題(女性しか子どもが産めない)があるにせよ、その事が今現在でも妨げとなり、「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」から何も変わらない現状。

    この本が多くの男性に読まれ、今年3才の姪が大人になる頃には、「女性初の」なんて言葉は死語になり、少しでも女性が「個人」として自由に生きていける環境になる事を望むばかりである。

  • いわゆるフェミニズム文学ですが、ただそれだけであれば100万部のベストセラーにならないでしょう。本書は、精神が崩壊した主人公の主治医(精神科医)の手記という形で、淡々と彼女の身に起こったことが記述されています。それはその年代のごく普通の韓国人女性の歩んできた人生です。その普通さへの共感が、多くの人の心に響いています。

    彼女は、正社員として働き、結婚し、子どもも生みました。それだけ聞くと、とても順調な人生に思えるかもしれません。それにもかかわらず、なぜ彼女は狂ってしまったのか。彼女を狂わせたものはなにか。

    彼女自身の人生を描くことで、彼女のまわりにある空気・社会そのものの輪郭をあぶりだしている、そうした作品です。言うまでもなく、彼女を狂わせたのは、女性への社会的な抑圧であり、それにがんじがらめになっている彼女自身を含めたすべての当事者です。

    この物語に、特に救いはありません。


    この物語が問いかけるのは、「彼女がこうならないために『私たちは』どうすればよかったのか?」です。

    訳者あとがきからの引用になりますが、原書の解説を書いたキム・コヨンジュ(女性学専攻)は、

    "「彼女一人で解決できないことは明らかだ」とし、この本を読んだすべての人がともに考え、悩むことからすべては始まるだろうと示唆している"

    これは、「キム・ジヨン」だけの固有の問題ではなく、「私たち」の問題です。

    タイトルに固有の名詞が使われているのは、固有の問題がそのまま普遍的な社会問題につながっていることを強調しています。

    韓国も、日本と同様にジェンダーギャップ指数のランキングは144か国中、118位(日本:114位)と低いです。

    こうした社会において女性たちがあげ始めた声は、女性嫌悪、バックラッシュ(反動)などさまざま形で現れます。#Metoo運動の盛り上がりによって、女性を忌避したり、男性だけで集まろう、みたいなことが起きるようなものです。そうした反応が、この問題を解決するものではないことは、自明だと思います。

    一般にネガティブなメッセージを発信する場合、小説という形を取ってそれが発せられることが多いです。人間の心の闇や社会の暗部などといったネガティブな描写や言説が通りやすいからです。

    社会がそれによって、1ミリでも動くなら、ネガティブなメッセージにも十分に意味はあるし、それを見ないふりせずにきちんと受け止めることをしたいと思います。

  • 出産で、旦那さんにあなたは何を失うの?

  • 読書中は、ちょっとしたトランス状態に。女性が年齢ごとにうけている理不尽を、自分では気がつかなかった(ふり)理不尽を、たんたんと綴り、読み手の熱狂とヒステリックを誘う小説。
    主人公の母が不動産を転がす場面と、主人公の出産場面はかなり真顔で読みました。

  • 小説という形を取りながらノンフィクションのように、82年に生まれた女性にキム・ジヨンという名前がいちばん多いらしくこのタイトルみたい。
    キム・ジヨンが生まれてから、同時に祖母や母が生きてきた中での女性に起きていた問題や男性の無理解や家父長社会における扱いについて、困難について書かれている。
    日本でも似たような、近いことはあって、読んでいて男性として居心地が悪く思う部分も多々ある。ただ、知らないといけないと思うのは自分が充分に無理解の側にいる可能性が高いからだ。知ればまだ無意識でやったり言ってしまっていたことについても意識できるし、考えることができる可能性はある。
    きっと日本でも多くの人に読まれると思う。

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