82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

制作 : 斎藤 真理子 
  • 筑摩書房
4.01
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本棚登録 : 1845
レビュー : 202
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480832115

作品紹介・あらすじ

韓国で100万部のベストセラー! 映画化決定!! 
教育や仕事、育児など女性が人生で出会う困難、差別を描き、
絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作。
解説 伊東順子

「女性たちの絶望が詰まったこの本は、
未来に向かうための希望の書」――松田青子

感想・レビュー・書評

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  • あまりに本屋で平積みになっているので我慢出来ずに購入、読了。

    この物語はなんてことない、どこにでもある、とりたてて語るほどの事もないひとりの女性の人生の、「衝撃的な」物語である。

    82年韓国生まれ、キムジヨン。

    私は87年隣国日本生まれ、同じく女性で子供はいないが既婚で大卒、フルタイムで仕事をしている。

    読みながら、もう、胸が痛くて何度も何度も手を差し伸べたくなった。強烈な共感がそこにはあった。どうしようもなく聳え立つ壁がそこにはあった。

    キムジヨン、抱きしめてあげたくて仕方なかった。

    わかるよ、良くやってるよ、精一杯生きてるよ、やるせないよね、どうしたらいいんだろうね、何をしたらよかったんだろうね、私たち、どうしたらいいんだろうね。

    読みながら、自分の人生が走馬灯のように思い出されて、止まらなくなった。

    教育実習の先生が「就職試験で男性には質問がそれぞれ10分程度あったの、女の私たちは1つか2つ質問があっただけ、負けちゃいけないよ」と教えてくれたこと、関係ない仕事の接待にも私は連れて行かれたこと、タクシーの運転手にいいお尻だねとか言われて知らない道でもすぐさま飛び降りて歩いて帰ること、転職の面接で子供はいつ頃?と神にしか分からない質問をされること、結婚してるのにどうして働くの?と100回は質問されたこと、私が相手より若くて女だというだけで全てに対して無知と思われること、小さい事から大きな事まで、もう、止めどなく、溢れて溢れて止まらなくなった。気付かないフリしてたけど、わたし、全部、すごく嫌だった!

    キムジヨンの物語は、私たちみんなの物語だ。

    キムジヨン、辛かったね。頑張ったね。本当に偉かったね。みんな、辛かったね、頑張ってるね。悪くないよ。あんたたちの頑張りが足りないんじゃないんだよ、能力がないんじゃないんだよ、悪くないんだよ。あんたたちのことが、愛しいよ。

    読み終わって、大きな声で、誰かわからないけど、周りにたくさんいる、私を含めた「キムジヨン」に、そう言いたくなった。

  • ”女性差別” を描いた作品は 世界中どこにでもあるのではないか?と推測するが この キム・ジヨン氏は 特に日本女性にとって共感しやすいものではないだろうか?
    その理由は言うまでもなく儒教思想の影響。
    家を守るため男性をたて男児を優先する文化の影響下にあるからだろう。

    だから女性達はできうる限り我慢する。
    Me を口にするのは 家族を守ってからなのだ。
    このあたりが、自己判断で No!を言える社会との違いで、強く共感する部分なんだろうな ........

    キム・ジヨン氏の母 オ・ミスク氏の話は明治の女のようだ。学校には行かせてもらえず、ひたすら家のために尽くす。
    それどころか男を産むまで肩身がせまいという。
    胸が詰まる思いがする。
    だが、なんとタフなのでしょうか! 
    家を守る ということは決して容易いことではない、それをやり抜く強さと賢さが鮮やかに書き出されている。

    そして彼女は 娘達にちゃんと教育を受けさせるのだ。
    母のような思いは味あわせないぞと。

    キム・ジヨン氏は社会に出てから強烈な逆風に煽られる。
    女性であるがゆえに。
    仕事は楽しかったが子供を身ごもって退職する。育児に振り回される日に元同僚が遊びに来るくだりがいい。
    ここはホロっとしたな。
    専業母の何が大変かって孤独なことだよね..........
    だが元同僚が話す職場の事件がとんでもない!
    うっかり本を投げつけたくなるくらい酷い。

    さて、お話は、キム・ジヨン氏が我慢を重ねた結果、不調に陥り精神科を受診するというくだりで冒頭に戻る。

    この作品は巻末のいくつもの解説を含めて一層理解が深まるようになっている。
    強く共感を覚える韓国女性の話だが、その際立った特徴もまとめてある。

    面白いのは韓国男性のもつ不公平感のくだり。
    兵役とそれに伴う2年のギャップ。
    それが不公平感の源泉ではないかと。

    考えてみれば、儒教文化の影響で No を言いづらいのは女ばかりではない。
    格下の男達も また押し黙って我慢をしているのだ。
    この社会に於いては 男達のホンネ物語も語られなければならないのではないだろうか。

  • ミステリーかサイコサスペンスと勘違いして読んでいました。(ふざけて言っているわけではありません)
    巻末の伊東順子さんの解説を読んでどういう話で、なぜ韓国でベストセラーになったのか理解できました。
    でも、伊東さんが、殺伐とした東京の地下鉄に比べれば、まだソウルの方が人情がある。と語ってらっしゃるのはショックでした。

    でも、そういえばと思い出したのが自分の経験です。
    20代の頃ですが、東京のとある中小企業に中途採用で勤めていました。「明るく家庭的」というキャッチコピーの会社でした。
    そこで私はなんと、女性の同僚や上司からセクハラを受けました。
    (女性からの場合セクハラとはいわないのでしょうか)思い切って一人で、やんわりと抗議したところ、その場はまるく収まったのですが、その晩遅く、直接の上司だった社長の奥様から他の社員にはわからないように自宅に電話がかかってきて、言いたい放題暴言を言われ、逆に会社を解雇されました。
    後から思えば、そういう職場に長くしがみつかなかったのはよかったと思いましたが、やっぱり、神経がおかしくなり、通勤に使っていた電車に怖くて一人で乗れなくなり、しばらく療養していました。
    この小説は、私にとっても、他人事ではなく、私もある意味、キム・ジヨンであったのだと思いいたりました。

    • まことさん
      ご丁寧にご説明いただきありがとうございます。
      コンプライアンスという言葉は知らなかったのですが、父が存命中に、そのような話をしていたような...
      ご丁寧にご説明いただきありがとうございます。
      コンプライアンスという言葉は知らなかったのですが、父が存命中に、そのような話をしていたような覚えがあるような気がします。
      韓国の同僚の方のお話は、大変、興味深かったです。
      私も、娯楽作品ばかりでなく、少し時事問題の勉強もしたほうがいいと感じました。何から読んだらいいか考えてみるのも楽しいかもしれないと思いました。
      2019/05/22
    • kanegon69 さん
      時事問題は、私は池上彰さんが好きですね。やっぱ分かりやすい^_^
      時事問題は、私は池上彰さんが好きですね。やっぱ分かりやすい^_^
      2019/05/22
    • まことさん
      わかりやすいのはいいですね!
      私も読んでみようかな(^^♪
      わかりやすいのはいいですね!
      私も読んでみようかな(^^♪
      2019/05/23
  • これを読んで勇気付けられない女性がいるだろうか?絶望的な内容でありながら強い希望をもたらしてくれるのは、社会の「当たり前」に殺され埋められてきた、語られなかったたくさんの声が、人生が、決して語ることのできない私にもある闇が、この物語によって確かに慰められているのを感じるから。今はもう去った・今まさに生きている・そしてこれから生まれてくる・全ての「女性」たちへの連帯の歌のような、力強い物語。

  • 自分のようなアラフォー既婚男性にとって、これほど感想を言いにくい本はないが、試しに書いてみよう。

    韓国の現代史にキム・ジヨン氏の人生を重ね、そこで彼女が女性であるがゆえに受けた抑圧を描いている。社会構造や人生のステージが変わっても、様々な形で抑圧が残っていることが、ジヨン氏の辛い経験を通して繰り返し描写される。

    出てくるエピソードがことごとく理不尽で、読み進めるのが辛かった。キム・ジヨン氏が平凡でけなげな女性で、文体も抑えた筆致であることが、理不尽さを際だたせている。特に子どもの頃のキム・ジヨン氏の家庭での扱い(=旧い世代からの抑圧)が酷い。あれは、精神的な虐待だよね。

    前半を読んで「前近代的な話もあったもんだなあ……」と思い、すでに本著を読んだ同世代の女性数名にその感想を伝えたら、口々に「私も子どものころ、同じような経験はあるよ。日本でも良くあること」と自身のエピソードを話してくれた。自分と同世代の日本の女性がここに描かれているような理不尽な抑圧を受けていて、それを自分がまったく知らなかったことがとてもショックだった。

    難をいうなら、「あるある」エピソードの羅列のように読めなくもない。キム・ジヨン氏をああいう「症状」にしたことについて、狙いはわかるが掘り下げが浅い。ただ、そう感じること自体が、ぼくが男性であり、女性の生きづらさを無意識レベルで理解していないからなんだろうなあとも思う。

  • 多くの人に問いたい。あなたが放つその言葉は自分の娘にも言えるのか?と。僕自身が本を読んでそう問われていると感じた。

    キム・ジヨンという一人の女性に焦点をあてながら終始客観性を感じる内容となっており、読む人自身に何を思うかを委ねられているのがよかった。

    特定の属性や特定の個人の例を誰かやカテゴリーにあてはまるのではなく、もっと解像度高く世界を見ていく必要があると思った。

    日本ではあまり話題になっていないけど、もっと広がって欲しい作品。

  • この本を読んだ前と後では世界が違って見える。
    女性としての自分の人生がより息苦しく見えてしまうことを覚悟しなければならない。当たり前だと飲みこんでいた出来事や他人からの発言に対して「おかしさ」を感じてしまうようになる。
    1989年、平成生まれの私ですら同じような経験がある。
    「女の子を東京の大学に行かせるなんて」
    「(就活の面接で)今彼氏はいますか?総合職だと転勤があって結婚が難しいですよ」
    「女の子には実家の近くにいて、面倒をみてもらった方がいい」・・・
    10年以上前のアメリカのドラマであるSATCを今でも日本の女性が愛するのは、いまだに10年以上前のアメリカの女性たちと同じ問題を抱えているからだ。

    この本は女性の置かれている不平等な現状を訴えるものであるため、女性の視点から「おかしさ」を取り上げている。
    それを女性の特権だってあるのに、文句ばかりあげつらっている、と批判するのは間違いである。
    男性視点からおかしいと思うことがあるならば、この本のように声を上げないとわからない。
    例えば、韓国で女性は兵役を免除されている。イスラエルなどでは男女ともに兵役義務があるが、韓国は男性だけだ。
    (果たして、その意思決定の場に女性がいたかどうかは不明だが・・・)

    しかしいずれにしても男女問わず、有利な状況にいる側の人間は、指摘によってその有利な立場が脅かされる可能性があり行動しない方が得であるため、
    状況を理解していても正論を訴えたり、行動したりする勇気のある人は少ないのではないだろうか。
    男性が就職・報酬・昇進で有利なのは「ガラスの天井」として有名であるし、女性が男性との食事でタダもしくは安い値段でいいとされることもよくあることだ。
    男性・女性というくくりで議論するのではなく、「平等」「公平」にどうあるべきかを考えることが大切だと私は思う。
    自分が男性に生まれていても、女性に生まれていても、また性別にかかわらずどのような自分で生まれてきても、生きていきやすい社会とは何か、という視点で行動していきたい。

  • 話題のこちらを読んでみた
    。噂に違わぬ面白さ。なるほど、多くの女性は、これは私のことだ!と思うはず。身に詰まされることばかり。

    1つ1つは真摯に考え抜いてそれしかないと選択してきたことで特に後悔しているわけでもないのに、積もり積もったそれらは確かに自分を縛ってきたのだ。
    親の代、祖母の代に比べれば格段によくなっているけれど、先の代がもっともっとよくなりますように。男も女も、仕事も子育ても(子はいてもいなくてもいいけど)自己実現も、もっともっと楽しくやっていけますように。

    物語としての仕立てもうまく、読ませる。

  • 訳注が適切で耳慣れない国外事情もノンストレスでスルリと読めた。
    解説も丁寧。根幹にある軍役が引き起こしている男女格差についても知ることができた。韓国の過激フェミニズム集団「メガリア」とゲーマー文化の対立について耳に入ってはきていたが、このような前提があるとは知らなかったので勉強になった。

  • 韓国文学に多少興味を持ち始めたので、
    今話題となっているこの作品を
    手にとって読んでみた。
    日本における女性蔑視も
    いまだ問われているが、
    韓国の女児出生制限が
    そんな遠くない昔に行われていた
    ということに驚く。
    メキシコやインドでも女性蔑視、
    性犯罪が問題になっているが、
    全てにおいて根は深い。
    最後の章、
    主人公キム・ジョンをカウセリングしている、
    自分は女性の良き理解者だと勘違いしている
    精神科医が1番、鈍ましい。
    何も分かっていない。
    そして、こういう思考の男性が
    日本でも韓国でもきっと多いのだろう。

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著者プロフィール

1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。卒業後は放送作家として社会派番組のトップ「PD手帳」や「生放送・今日の朝」などで時事・教養プログラムを10年間担当。2011年、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。

「2018年 『82年生まれ、キム・ジヨン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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