子は親を救うために「心の病」になる

著者 :
  • 筑摩書房
4.14
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本棚登録 : 165
感想 : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480842923

作品紹介・あらすじ

親のために、引きこもった男の子。摂食障害になった女の子。善悪が逆転した感覚を持ち、「虐待の連鎖」に悩む子育てママ。親とのつながりを持てずに育った女性の、「異邦人」のような存在感の希薄さ…。様々な症例を基に解明される、親子という「生きづらさ」の原点と、その解決。

感想・レビュー・書評

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  • 人生に投げやりなのは、自分の存在感がないから。

    第五章の、宇宙期に達した人のモデルになった人、ずるいと思った。奥さんが亡くなったりいろいろあったんだろうけど、機能する健全な家庭に生まれ育って、それなりに安定した社会的地位も手に入れて、その上心の平安まで手に入れたと!?ずるいんだぞ。その恵まれてる感自重しろ!ちょっとこっちに回せ!

  • エピローグの、
    カウンセリングはただ「聞く」という作業
    カウンセリングに「理論」は通用しないということ

    これに尽きますな。

  • 著者が患者さんから教わったカウンセリングの本質は、ただ聞くだけでいいということと、理論は通用しないということ。
    その二つの説明を読んで、とても深いなとかんじました。

    カウンセリングは悩みを聞くのではなく、『存在』感をきく、『存在』を確認するものである。
    人と人が向き合って、この『存在』を確認し合う作業がカウンセリングの本質であると。

    また読み直したい本の、1冊です。

  • いや~~!衝撃的でした!自分にとって。

    私は、善悪が逆転していたんだとわかった。
    普通に育った人って、もっと楽に生きてるんだ~。と知った。
    まわりの友達にもすすめて、読んだ人はみんな面白かった!と言っていて、しかも、みんな善悪が逆転していた。

    この本を読んで、本当によかった!すごく楽になった!

  • この人のカウンセリングなら受けてみたいな、と思った。
    「普通の」親子関係で育った子、
    虐待を受けて育った子、
    特殊な親子関係を持った子、
    と分けて説明しているところが新鮮。

  • 虐待されていた人は、善悪の心理システムが逆になっているという。
    物事の判断の物差しが、独自になっているなって思うことがあり、なるほどなと思いました。
    あれ?って思うことからずれてるのが普通じゃなくて、普通って感覚は大事にしていいものだと思った。
    自分の意見を言って、感情を出して、時に揺れ動いて…、そんなこんなで、でもまぁいいか、って自己肯定できることが大事なんだと思いました。

    カウンセリングは問題を解決する作業ではない、自分を確認する作業だ、と最後に書いてありました。話を聞く時に、頭に置いておこうと思う。

  • カウンセリングは悩みを解決する作業ではない。自分を確認する作業である。そうすることで心は安定する。
    自分の心を聞いて自分の話をし、その時の自分を確認する。内容は何でもいい。語ることが話し手の存在を確かなものになる。

    親が子に期待するのは、自分が求めて得られなかった生き方である。
    子供は親の気持ちを読み取り、それに応えようとして生きる。特に親の可愛がり方には敏感で、子供はそれにぴったり合わせてくれる。それは親子で共有できる楽しい時間である。その時に子供は自分が親に愛されていると感じ、親に必要とされている自分を確認できる。

    心理発達段階
    乳幼児期→学童期→思春期→成人期
    思春期は成人型の準備段階である。その最大の課題は親からの精神的な自立である。自立がうまくいくかどうかは、それまでの13年間の親子関係。親の心の矛盾がそれほど大きくなければ親からの旅立ちは大きな混乱もなく進む。

    「無条件の存在感」→安心
    その次の段階が
    「社会的な存在感」→愛情、お金、賞賛

    子供はもちろん親に引っ張って欲しいがでも自分1人でもやってみたい、その両方があって初めて生き方を学びとっていける。引っ張ってもらった経験のある親は、子供が自分でやってみたいと思う気持ちが見えるから、子供のペースを見てその動きを待っていられる。でもその経験のない親は待てない。引っ張られすぎて「ちょっと待って」と思ったことがないからだ。こうして引っ張ってもらう側になった経験がないと引っ張ることばかりになってしまい、親子は一方通行になる。

    子供は母親を通じてこの世界を知り自分を知り人を知り、社会を知っていく。その最初の手がかりが小さい頃の母子関係の中にある。毎日子供は母親の反応みる。それを基準に自分を知る。自分がいい子であるか、悪い子であるか、そういう自分を知る。
    美味しいもの食べてお母さんと喜ぶという体験は人と共感する原点。それが人間関係を作る土台になる。つまり、美味しいものを食べると人は嬉しくなる。それを確認してくれる人がいると美味しい感覚が母親の感覚と繋がり、共感が生まれる。体が感じる感覚を他の個体である母親と共有し、繋がりができる。この生まれてから無数に繰り返された関係の先に多くの人々や社会がある。

  • ブクログやアマゾンでの評価が高かったので期待して読んだが…。
    エピローグのカウンセリングの本質に関する記述については全くその通りで異論の余地はないし、虐待における病理についても納得できる考察がされていると感じたが、それ以外では違和感の方が多い。特に第一章は、表面的な解釈に終始していて本質的なところは触れられていない感じ。
    全体を通して逐語でのやり取りが多く書かれているため、当事者の立場の人が読むと実際のカウンセリング的な効果があり、響くものがあるのかもしれないとは思った。
    2010年出版ということもあり、DVの捉え方や"軽度発達障害"という表現など少し情報が古いのはやむを得ないかな。
    残念ながら、私の期待値には届きませんでした。

  • 実に面白かった。
    著者は心の発達の段階として「乳幼児期」「児童期」「成人期」「宇宙期」というものを想定する。宇宙期というのは著者の実際のカウンセリング経験からこういうものを想定しないと説明できないということであった。
    通常は、子供は親の心理システムを模倣して取り入れながら成長していくことで乳幼児期や成人期などの発達段階を経る。ところが、親が障害を抱えていたり、あるいは人生の危機に直面することで、いわゆる通常の発達論では適応できなくなる。問題を解決するというわけではなく、自分がそこに「ある」ということに目覚めることで問題そのものを超越していくような段階を「宇宙期」だとする。
    実際の臨床現場からでてきた発想であり、とても面白い。

  • 146.8

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著者プロフィール

1931年生まれ。1971年に39歳で早逝。短期間に膨大な名作を遺した天才的小説家。中国文学者。『悲の器』で第1回文藝賞受賞。著書に『憂鬱なる党派』『邪宗門』『日本の悪霊』『わが解体』ほか多数。

「2017年 『我が心は石にあらず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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