つぎはぎ仏教入門

著者 :
  • 筑摩書房
3.76
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本棚登録 : 290
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480842961

感想・レビュー・書評

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  • 印象に残った文章
    「上に立つ者が上から目線であるのは当然ではないか。それのどこがいけないのだろう。」
    「「させていただく」私はこの卑屈さに強い違和感と嫌悪感を持った。それに対抗できる思想として仏教があるのかもしれない。」
    「釈迦は人類史上最古最高の思想家の一人であり、宗教者としても極めて優れた人物であると思う。それは、親や妻子を平然と捨てる釈迦であり、若者たちをかどわかす危険人物として町の人たちに罵られる釈迦である。」

    個人的に、仏像なんてものに関わるため、非常に参考になる。

  • 会心の一冊。

    入門とは言うものの、教科書的に書かれているわけではなくて、むしろ仏教や宗教全体の成り立ちから深い所まで踏み込んでる印象があります。かといって、専門的で難解でもなくて、仏教全体の概略はしっかりつかめるんじゃないかと思います。

    著者の宗教についてのそもそもの立ち位置と同じ、もしくは共感できる人はこういう本を待ってた!っていう気持ちが強くなるのではないでしょうかねー。

    ざっくり書くと、著者自身は特定の宗教を信仰している事はなくて、するつもりもない。それでも宗教の存在意義については高く評価している。が、現在の特に仏教に関しては本来の宗教の役割を果たしていないのではないか、という所から始まってます。

    自分も読む前から同じような事を思っていたので、読み進めていくとうんうんとうなずくような内容が多かったです。

    個人的に、今まで仏教や宗教についての知識を学んだ事はほとんどありませんでした。普段から神社仏閣へ行ったり、冠婚葬祭で宗教にまつわるイベントも多いのに、その意味であったり、そもそも今の宗教はどういう成り立ちで進んできてるのか、全く知る由もなかったです。

    それは宗教色の薄い日本の裏返しなのかもしれませんが、最低限、信仰するしないは別にして、宗教全般に関しての知識は必要じゃないかなと思います。ある程度の知識があれば、宗教まがいの怪しい団体に傾倒する人も少なくなると思うし、そこから正当な宗教を信仰して、支えにしたりする人も出てくると思います。

    そうすると本来の宗教の機能がうまく回って、それが社会の一面を支える事に繋がると思います。

    そういう意味で、本書は基本的な仏教・宗教の知識を得られますし、ここから宗教を再びビルドアップしていくという意味でも、まさしく入門といえる一冊かと思います。

  • 仏門のアウトサイダーだからこその冷徹な記述。そもそも仏教の教義とは、その教義が歴史の中でどういう変容を遂げたか、現代の仏教が抱える矛盾などを鋭く指摘しておりおもしろい。そもそも世俗を超越した仏教を処世術として吹聴する言説への厳しい批判には共感。

  • @MAKOTOKASHI さん

    こんにちは。ことしの読み初めは呉智英の『つぎはぎ仏教入門』(筑摩書房)です。仏教の専門家でない著者が、蛮勇を振るって仏教書や歴史書などを読み、知りえたことをつぎはぎしてみると、かえって仏教が概観でき、核心が現れてくる、と「はじめに」にあります。

  • 20120110読みたい
    聞きかじった内容:現代の葬式仏教は仏教本来の教えからかなり姿を変えている。祈ることで救いを求める他力本願な宗教ではなく、自分がよく生きるための心の有り様を説くのが仏教(思い通りにならぬものは、ならぬものと受け入れる等)で、とても知的な宗教である。
    20130616読了
    一度目はざっと読み、二度目にじっくり。仏教関係の用語に馴染みがないので二回さらった。釈迦に内在した大乗と小乗の葛藤、日本で姿を変えた大乗仏教と本来の仏教との違いなど、流れが分かりやすい。●新発見。日本で仏と言われるものは大きく3つに分かれること。いくつも仏が存在する論理操作。密教、浄土宗・浄土真宗、日蓮宗、禅宗の特徴(いずれも初期仏教とは別物)。などなど知識の整理に有益だった。●大乗と小乗を大学教授に例えて説明しているのがおもしろい。ふと、実存派のニーチェを思い出して思想的に近い部分があるんじゃないか?と思ったら、トーキングヘッズでニーチェやショーペンハウエルは仏教に強い関心を持っていたと著者が言っていた。●仏教で「愛」は否定的な意味。俗人は子どもへの愛を克服できないと詠う山上憶良の歌。たしかに愛は固執と表裏一体だよなと思う。●葬式仏教として成熟すべしという激励が印象的だった。

  • そうなのだよ。仏陀は人間であり極めた人間なのだ。
    だからその哲学と思想になるべく直接触れたいと考える。葬式仏教と揶揄され、そこからの脱皮を図ろう、社会に存在感を知らしめるためには・・等々の下らぬ論議をしている現在の仏教教団は根源を問わなければいけない。
    シンプルに根源を見る事が大事なんだと共感。

  • 非常に分かりやすい。大乗非仏説は納得。

  • ほんとつぎはぎ。

  • 仏教を概観し、また、宗教の現代的な意味を考える視点を持つには、良い本。
    呉さんの本をずっと読んで来た人には、凡そ予想のつく内容かも。
    最後は、残念。

  • 刺激的な記述がある.例えば p170,浄土宗・浄土真宗が仏教とはあまりにもかけ離れた宗教である,... 法華経は仏教とは縁遠い偽経である.p132では,浄土宗は「覚りの宗教」である仏教を一神教の構造を持つ「救いの宗教」に変容させた... 本書の指摘を仏教界は受け止めて,適切な反論なり論争を始めるべきだ.それがないと,仏教は「葬式」産業の一つに成り下がるだろう.

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著者プロフィール

評論家。1946年生まれ。愛知県出身。早稲田大学法学部卒業。評論の対象は、社会、文化、言葉、マンガなど。日本マンガ学会発足時から十四年間理事を務めた(そのうち会長を四期)。東京理科大学、愛知県立大学などで非常勤講師を務めた。著作に『封建主義 その論理と情熱』『読書家の新技術』『大衆食堂の人々』『現代マンガの全体像』『マンガ狂につける薬』『危険な思想家』『犬儒派だもの』『現代人の論語』『吉本隆明という共同幻想』『つぎはぎ仏教入門』『真実の名古屋論』『日本衆愚社会』ほか他数。

「2021年 『死と向き合う言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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