ナマコの眼

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (561ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480855220

作品紹介・あらすじ

ナマコ-この奇妙に魅力的な生物の視座から、アジアと日本の歴史を眺めてみると、何が見えてくるだろう。アジアへの眼差しを深め続ける<歩くひと>鶴見良行が、十五年の熟成を経て、遂に完成した歴史ルポルタージユ大作。90年代の、新しい世紀のはじまりへ向けて、日本のゆくえを考える全ての読者に、いま開かれる。

感想・レビュー・書評

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  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/0000206031

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/418988

  • イリコ
    通貨として高価

  • ただ事実をかいてあるだけら、歴史に興味のない人にとっては一見面白くない本だ。
    なぜなら、あまり普段気にも留めないナマコについて約五百ページもかかれているからである。その対象地域は東南アジアだけにとどまらず、オーストラリアそして、祭冒頭には日本(北海道)も登場する。
    しかし、ナマコを通して、それらの地域の歴史について知ることができる。そして、ナマコを通じてどんな背景があったのか等を知ることが出来る。
    もちろんマナコについて興味のある人にとって非常に参考になる読み物である。そうでない人にとっても、東南アジアはじめ、オーストラリアなどの地域について貿易やナマコの加工工程を通じて、その国事情について知ることがてきる本であるのでとても良い本であると考える。

    私が好きな部分は所々著者のフィールドワークスタイルが知ることができるとこである。そして、著者が言ったナマコに対しての考えである。たとえば、「生きたナマコに国籍はない。だが、商品となったホシナマコは国際関係をひきずっている。」である。(本文より参照)

    私は淡々と歴史についての文章を読むだけの本は普通つまらないと感じてしまのだが、 記録された事実が淡々と記述されていると思いきや、突然この様なつぶやきが見られるので面白いのである。

    繰り返しになるが、約500ページと長めの本であるが、読む価値はあると感じる。著者は『バナナと日本人』で有名な鶴見良行さんで東南アジア学者でもある。東南アジアについて研究している人は彼の本を必読すべきだと感じた。この本はもうすでに出版が停止しているので、図書館や古本屋で見つけて読むことが出来る。

  • 文学研究科・宮内泰介教授おすすめ

    北大所蔵はこちら
    http://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/books-query?mode=2&code=20322313

  • 鶴見良行さんのお宅にお邪魔したのは、彼の死後2年くらいたった1996年頃だったと思う。大学院で「フィールドワークの技法」を研究するため、資料収集のやり方を鶴見さんのアウトプットから学ぼうというのが目的だった。

     鶴見さんはまず、あるいて聞いたことを日記にメモする。そこには絵もあるし、地図もあるし、スケジュールもあるし、移動ルートも記載されている。(これは鶴見良行『辺境学ノート』めこん参照)

    もちろん写真も撮るのだが、鶴見さんの腕はプロ級。朝日ジャーナルや朝日新聞に掲載されたこともあるくらいだ。あるくことでぼんやりと仮説を作る。この仮説を立証するために読書を事欠かない。これが独特の方法で小さいカードにテーマや特徴、文献、引用文、ページ数を記載する。これが何万枚とある。

    鶴見さんの自宅で圧巻だったのは、昔図書館にあった図書カードが入っている木の引出しで、そこに何万枚というカードがあったこと。鶴見さんがこつこつと築き上げてきたデータベースなのだ。論文で書きたいテーマがあるとすれば、各章のテーマやキーワードをピックアップし、カードをグルーピングし、並び替える。さらに日記と写真が加わる。このデータの並び替えで、既に論文のほぼ8割ができあがる「仕組み」だ。つまり、鶴見さんは読書カードで「知のデータベース」を構築して、フィールドワークによる仮説検証ができるシステムを1人でこつこつ作っていたのだった。だからこそ、鶴見さんは晩年にものすごい勢いで書物を世に送り出すことができた。

    その集大成が本書「ナマコの眼(まなこ)」だ。

    とりあえず、ご賞味あれ。その膨大な情報量と編集力は圧巻の一言!

  • 文字通り、ナマコを巡る調査本。おもしろかった。文庫版なら、旅行中に読むのにも、長くてちょうどいい。

  • この本を読んだのは、「ナマコ」についてこんだけぶ厚い本を書けるっていうだけで、まず尊敬に値すると思ったから、という単純な理由だ。

    鶴見氏はアジア学者だそうである。ナマコを通じてアジアにおける海上交易史などが明らかにされている。ナマコといえば「歌う生物学者」、本川達雄氏を思い浮かべる人もいると思う。テーマもアプローチもこの2人は全然違うのだろうけれども、ナマコという、高級食材であり、なおかつ怪物扱いされている変な素材を選んでいるところに共通の何かを感じる。

    それはつまり、生物とかアジアといった主な関心事に近づくための手段の選び方ということであるのだけれども、単に手段であるだけにとどまらず、対象に対する愛が感じられておもしろい。

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