大英帝国の外交官

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480857798

作品紹介・あらすじ

第一次世界大戦、ロシア革命、第二次世界大戦、そして西側同盟の成立…「戦争と革命の世紀」に国運を担った6人の肖像。

感想・レビュー・書評

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  • 【131冊目】外務省に勤める友人の本棚に置いてあったのを発見して一目惚れし、Amazon経由で購入しました。少なからず人と同じように、「外交」「外交官」固有の意義について疑問を抱きつつ。

    本書に登場する5人の外交官たちは20世紀初頭の、まさに国際関係の大転換点において活躍した方々。第一次世界大戦、ロシア革命、国際連盟の成立と崩壊、第二次世界大戦、ヨーロッパの統合と英米同盟の萌芽……

    したがって、本書を読むだけでは「外交」固有の意味合いまでは理解できませんでした笑。いや、以前と比べるとその価値に対する理解は間違いなく深まりましたが!
    なんというか、現代への教訓にするにしては、時代背景があまりにも単純(なように見える)。現代の外交において、最も重要な論点とは何でしょうか?最も重要な地域は?最も重要な二国間関係は?

    ただ、本書から得られたものもいくつか。
    ●「ディプロマチック・センスのない国民は、必ず凋落する」
    チャーチルの言葉ですが、この「ディプロマチック・センス」とは何でしょうか??そもそも国民に外交的感覚なんかあるでしょうか?本書を読んでなんとなーく思ったのは、外交官の仕事というのは、国際秩序とか国際的な利益の構造を見通して、自国をそうした大きな構造の中にどのように組み込んでいくのか、ということのように思えました。それで、「国民」に求められる外交的感覚って??
    ●細谷雄一氏が強調する「人間性」への造詣の深さ
    人間的魅力が個人間の信頼関係につながり、それがひいてはビジネス等で大きな役割を果たすっていうのは時代や場所を問わずに見られる現象でしょう。特段強調するべき内容でもないと思われがちですが、外交を人格を持たない「国家」間の冷徹な付き合いという見方しか出来ないと見落としがちになるのかもしれません。この「humanities」が人間関係において果たす役割が昔と同じかどうかは分かりませんが……

  • 鎌倉図書館で読む。非常に興味深い本でした。著者は、「外交による平和―アンソニー・イーデンと二十世紀の国際政治」等の著書で著名な国際関係論を専攻する慶応大学の先生です。テーマは、英国外交官の評伝です。読んだのは、E.H.カーの部分だけです。大学生のころ、E.H.カーの声望は残っていました。にもかかわらず、僕は、E.H.カーの本を読んだことがありません。「危機の二十年―1919-1939」でも読んでみようかな。

  • 旧外交と新外交、それぞれの時代を生き抜いたイギリス外交官たちの足跡が生き生きと描かれている。

    一次資料と二次資料の組み合わせが秀逸。独特の臨場感はこの為か。
    例)チャーチルが子猫を撫でる記述など

    インターネットと交通手段の発達によってコミュニケーションは容易になり、世界の国境は取り除かれたかに見えた。

    しかし、一方でコミュニケーションの拡大はそれぞれの差異を顕在化させ、新たな障壁も産み出している。

    果たして現代国際社会における理想の外交官とは如何なるものか。優秀なイギリス外交官たちへの追憶は有益だ。

  • 論文のために。
    イギリスの魅力ある外交官5人の生涯や功績など。
    ハロルド・ニコルソンの項目を一番読みました・・・

    外交官が表舞台に出て、国の代表と会談して国際関係を取り決めていく、なんて時代は終わってしまいましたが、
    彼らの思慮深さや考察力、将来の見通しや国際関係上必要なことを判断する力や知識、時代の流れを感じとる勘みたいなものは、彼らの役割に替っている現代の政治家にも必要なんじゃないかなぁ、とか思ってみる。

  • 20世紀、イギリスで活躍した外交官たちの紹介。
    読み物として書かれているので、よても面白くすらすらと読めた。

    とくにニコルソンやE.H.カーの紹介は、興味ある人物たちであるだけに興味深かった。
    ニコルソンが「旧外交」を愛した姿の描写を通して、細谷氏もまたクラシカルな外交観に対して親近感を感じてくるのが伝わってくる。

    気が向いたときに読むと知的刺激を受けられる本。

  • 外交史は、小説か?と思わせるほどの見事な筆の運び、
    読んでいてまったく退屈しません。
    E.H.カー、I.バーリン…歴史上の人物が目の前で動き出すよな
    立体感を与えています。

    外交に特に興味がなくても
    読み物としても面白いでしょう。

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著者プロフィール

慶應義塾大学法学部教授、東京財団政策研究所 研究主幹。
1971 年生まれ、慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。国際政治、イギリス外交史。主要著作:『外交による平和──アンソニー・イーデンと二十世紀の国際政治』(有斐閣、2005 年)、『迷走するイギリス── EU 離脱と欧州の危機』(慶應義塾大学出版会、2016 年)ほか。

「2024年 『民主主義は甦るのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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