オクトーバー : 物語ロシア革命 (単行本)

  • 筑摩書房
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480858108

感想・レビュー・書評

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  • 【体制を終わらせるもの、それは下からやってくる】(文中より引用)

    1917年のロシア革命を、事実のみを頼りとしながら物語風に再構成した作品。わずか先の展開も読みきれない中、ケレンスキーは、トロツキーは、そしてレーニンは歴史の舞台でいかに振る舞おうと試みたのか......。著者は、SF・ファンタジー作家として高い評価を受けるチャイナ・ミエヴィル。訳者は、東京大学文学部卒の松本剛史。原題は、『October: The Story of The Russian Revolution』。

    ロシア革命という波乱に満ちた出来事を静止画で捉えるのではなく、動画として描くことに成功している稀有な作品。「この嵐はいったいどこへ向かっていくのだろう」という寄る辺なさすらも表現されており、革命の只中が眼前に立ち上ってくるかのような感覚を味わうことができました。

    たまに顔を出す警句の見事さが圧巻☆5つ

  • [private]ロシア革命に対する知識が足りないのもあるのかよく飲み込めなかった。
    ロシア革命についてちょっと勉強して読み返したら違うのだろうか?[/private]

  • 叙述中心で心情の描写が少なくてあまり面白くなかった。これ「物語」なのかなぁ。ただ「小説フランス革命」を直前に読んでおいたおかげで、革命政府の動きというのは何となく勘所は押さえられていたかもしれなくて、あちらの本はそれはたいそう人間描写が多かったものだから、それを自分なりに反映させながら読み進めました。
    1917年のロシア革命はまず2月の帝政からセオリー通りのブルジョワ政権への移行、それから10月の社会主義国家へと2段階を経ています。最も遅れていた国が、8カ月で最先端の政治形態へと一気に行ってしまったわけですが、それはやはりレーニンというとんでもない人間と、その思想を受け入れざるをえなかった社会背景がありました。よく調べていませんが、ブルジョワジーはほんの一部で、大半の国民が農奴で、貧しさや飢え、不満が充満していた。そしてブルジョワの支配が帝政とそんなに変わらないというのはフランス革命がもう128年も前のことだからヨーロッパは十分わかっており、次の政治の形態を試すのにほどよく未開だったロシアはで起きたというのも何となくわかるのです。
    レーニンは非常にキャラが立っており、2月革命をスイスで聞くや、ドイツを抜けて北欧を介して戻ってくる劇的さ。そのあとまた追われる身になり、変装して隠れる。そして再び戻ってくるときの鮮やかさ。いつも現状に怒っていて、過激で、筆が立つ。ただ彼が本当に人民を救いたいのかどうか、その政治信条がわからない。単に新しい国家の形を試してみたいだけなのかもしれない。かなり相当魅力的な人物、今度は彼の物語を読みたい。

  • ロシア革命を詳細につづったノンフィクションノベル。名前がたくさん出てきて覚えられないし、翻訳もすごく読みづらい。だが長年続いた帝政を覆した、労働者や兵士や農民の怒りによる革命であることがよくわかった。社会主義者たちが、まずブルジョア革命を経てからでないと社会主義革命は成らないと信じていたことは知らなかった。二月革命も七月の争乱の時もレーニンは国外にいたことも初めて知った。同じボリシェビキでも右から左まで様々な考えの人がいて、その中で最も過激に主張し続けたレーニンが勝利をつかんだ事実はすごく興味深い。激しく対立しながらも社会主義政府樹立のために戦ってきた人々の多くが、後にスターリンによって粛清されたことを思うと打ちのめされる思い。大学の授業をもう一回受けなおしたいなあ。

  • 2月革命から10月革命に至る、0人、トロツキー6を中心とする激烈な革命の物語。

    レーニンは、祖国防衛主義に反対し、革命的祖国敗北主義、を唱える。帝国主義戦争においては、自らの側の敗北を願うと言う、社会主義的主張だ。

  • ロシア革命史って小学校の頃に「世界を揺るがした10日間」の児童書版を読んだ記憶はあるけど中身は覚えてなくて、あとはラスプーチン、ニコライ、アナスタシア、レーニン、ケレンスキー、トロッキーくらいまで名前は知ってた。この本の著者ミエヴィルの小説は読んだことある。そんな状態で読んで見たらこれがオモロい。
    後の世から見ると革命は一直線に突き進んだと思いがちやねんけど決してそんなことはなくて、有名無名いろんな人間のいろんな思惑が渦巻いてぶつかって、最終的に今見る形にたどりついたってのがよくわかる。この辺り、歴史家、研究者だけやなくて、作家の顔を持つミエヴィルの筆のなせる技なんかな。

  • amazonで〈あなたへのおすすめ〉で表示され、「おぬし、分かっておるではないか」と思わず購入。
    帯で「その年、世界は赤く染まった」「SF界の奇才が」と強調してたもんだから、てっきりタイムスリップもの的なラノベ?を想定してましたが(笑)、実際の中身は1917年2月〜10月を丹念に追う読みごたえのある力作でした。
    しかしまぁ、今回も帯詐欺(笑) 史実に則ったロシア革命史なら、世界革命までは起こってないから(笑)
    革命から100年後、2017年の世界が赤く染まる図をイメージして、興奮しながら本を開きましたヨ(笑)

  • あまりにも読みにくい

  • 文学の者にとって興味ぶかいのは、1905年10月のモスクワでの暴動のきっかけが、句読点にあったこと─つまり、一文字あたりで支払われる植字工たちの給料勘定に、句読点も入れろ、という要求から始まり、同情したストが広まったという話ではないだろうか。

    興味ぶかく読みましたが、ロシア語の調査不足が目立つのが残念。「ミリュコーフ」など人名は一般的な百科事典か何か調べるだけでいいし、「ポストル・ク=ポスコル・ク」とかいったい何なのか…。試みとして面白いが、校正か翻訳をもう少し力入れてほしかった。

  • チャイナ・ミエヴィルの描くロシア革命。
    基本的には『物語』と『ロシア革命の概略』の中間に位置していると思う。『物語ロシア革命』とあるので私は物語として読んだが、非常にスリリングな群像劇だった。非常に個人的なことではあるが、『ソ連という実験』『共産主義黒書』などを読んだあとなので、ソビエトという国が迎えた皮肉な結末を実感するところもある。これから読む方、一緒にどうでしょう?w

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