- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480860231
作品紹介・あらすじ
かつては宗教的権威、世俗的権力が都市を作り、いまファッショナブル感覚をうち出してディベロッパーがニュー・タウンを造成する。高騰する地価のもとで、荒々しく顔貌を変える現代都市のなかに、そのクライマクス(極相)を見、あるべき都市の空間と生活を構想する。
感想・レビュー・書評
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都市は植生と同様、遷移の結果、極相状態に達し安定する。一連の自由空間研究とは少し違った観点から都市を見た異色作ゆえに賞を受けたのか。
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中古本として購入。どなたかの参考文献だったはず。
鳴海先生は、兵庫県庁時代に大変お世話になったが、きっと黒いひげの時代の本。
いちいちもっとも。すばらしい言葉が続く。
(1)都市がクライマクス(極相)の状態から人間的な都市らしさを取り戻すためには、空間の利用者であるわたしたちの眼をまずたしかなものにしなければならない。(p265)
(2)アレグザンダーはセラチミスの構造という概念で、生活が端々において重なり合うような状況を表している。(p235)
かばちゃんが、都市計画課の若手職員がアレグザンダーを一人以外だれも知らなかったと言っていたような気がするが、最近の都市計画教育は一体何をおしえているのか。
僕は、ツリー状の組織は、今回の震災でもわかったとおり、とてももろい物だと思う。セラチミス構造のようなかさならいあって、複雑系の形でみんな被災地を助けてきた事実を忘れるべきではないと思う。
(3)社会学者のガンスは、環境を計画するためにはそこを実際に利用する人たちの意見に耳を傾け、その人たちの社会的、文化的な性格までを考慮する必要があると述べているのである。しかし、中途半端に「耳を傾ける」のでは、先に述べたような三点セット型の公園を生み出しかねない。(p231)
鳴海先生は、名コーディネーターだが、名文家でもあるね。