動物と人間の世界認識

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480860682

作品紹介・あらすじ

意味を与えられてはじめてものは存在する。動物たちは自分たちのまわりの世界をどのように認識しているのだろうか。動物たちを知り、われわれ人間の世界認識について考える。

感想・レビュー・書評

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  • Tue, 10 Jul 2007

    ヤコブ・フォン・ユクスキュルという1930年代くらいの生物学者が
    生物記号論というものを考えました.
    生物学の一つの方向性として,「生物にとっての世界」というものを考えようという話です.
    博物的な生物学といわれれば,そうなんですが,
    現代の分子生物学の「解体」の立場とは,大分ちがう進み方ですね.


    ダニにとっての世界とはどんなか?
    猫にとっての世界とはどんなか?


    意外と,面白い発見があって,楽しいのです.


    生態学と共通したものをもっているんですが,ものの見方は人間の現象学などとも
    通じるセンスがあり,動物の認識を考えることで,人間の認識についても相対的な視点で
    再評価しようという意味もあったのだとおもいます.


    こういう見方をすると,ほんとに,生物にとっての世界の中で
    物理的には近接した領域に住んでいても,「まるで関係ない」種同士が直交した世界の中で
    いきていくという,生態学の一つの姿が見えてくるし,進化の中の多様性を理解する上でも
    なんとなく豊かな視点に気付かせてくれる気がします.


    本著者の日高氏はユクスキュルの
    生物から見た世界 (岩波文庫)
    を訳出された方で,
    その人が,自著でもいろいろ書いておられるのを知り,ちょっと読んでみました.


    まあ,「生物から見た世界」の焼き直しといったところですが,
    後半にかけては,ユクスキュルの環世界概念を,勝手に<文化依存の物の見方>とか
    「人によって視点て違うよね~」という,非常にザクッとした話におとしこんでしまっていて,
    なんか,議論のエキサイティングさが醒めてしまう観がありました.

  • ほぼ、ユクスキュルとドーキンス読めばいいやという内容だったが、細かな実例が動物学者ならではなので、面白く読めた。

  • 動物がどのように世界を見ているのかがわかる一冊。

  • 過去に途中まで読んだことがあった本で、
    最近また読み返したかったのにタイトルが思い出せず何年か経った。
    少し前に「日高敏隆」で著者検索したことでようやく見つかった…。

  • 非常に面白い内容。
    イリュージョンなしには世界はみえない。
    人間と人間以外の動物の違い、
    そして、動物と植物の違い。
    動物行動学者らしい見解である。
    古典や輪廻転生の世界感まで話が広げてあり、非常に興味深い内容だった。

    やっぱり、ローレンツと同じ感じだなあ。
    動物行動学者という人間は面白い。

    【メモ】
    ・ユクスキュル、クリサート「動物と人間の環世界をめぐる散策」(邦題「生物から見た世界」)
    ・岸田秀「唯幻論」
    ・ヒューマン・ホワイト、インセクト・ホワイト
    ・リチャード・ドーキンソン「利己的な遺伝子」
    ・ダーウィン適応度
    ・日高敏隆「利己としての死」

  • モンシロチョウは人間の眼には雌雄変わらず白く見えるけれど、チョウにはまったく異なって見える。何故ならば、チョウには紫外線が見えるから。
    虫に見えている世界や、動物から見えている世界は、視界の広狭、複眼、視界の範囲、見える色の違いなどで、まったく異なる。

    物の見方も時代によって変化する。
    ひとつのもの、という決めつけはない。
    どんな環境にあっても、生き物は生きて戦っている。

  • 物の見方を公平に。なんていったって、自分の顔にくっついている目で見えるものしか見えないし、自分の頭でしか処理できない。

    人間にみえるものと、動物に見えるものは違う。

  • 動物の触覚、知覚器官、加えて本能(意味世界)は人間と違うことから
    それぞれの生物種ごとの世界(イリュージョン)で生きていることを説明
    例:モンシロチョウ/アゲハチョウ/ネコ/ダニ/ハリネズミ

    さらに、人間がさまざまな概念をイリュージョンとして認知し生活していることを説明
    ・歴史文書の中に出てこない物事、輪廻の必要性、(ちょっと違うが:文化や見えない色の話)

    人間と動物の違いは、このイリュージョン、知覚の枠組みが変化していること。イリュージョン(世界の見え方)の変化、新鮮さを楽しめること。(とりあえず?)真理への近さとは別のこととして。

    とても納得の内容。(私の目標の理論背景とつながる内容)
    わかりやすい動物の例から説明を始め、
    人間の世界の認知の自体が、ハードウェアに起因し、さらにソフトウェア的にも必要性等から、変わることを自然に説明している。

  • 橋元 淳一郎 さんの 『時間はなぜ取り戻せないのか』で引用されていたので読んでいるけど、読みやすいし面白い。

  • 人間が見ているものが世界そのものなんかではないということを、時々するりと忘れてしまうことがある。<br>
    この本で語られているのは視覚面の話が主だけれど、それ以外にも、色々な気付きのある本。こういう気付きがあるから、文系の人も科学の本をもっと読めばいいのにと思う。<br>
    多様されている"イリュージョン"という用語は定義が曖昧で科学的な意味付けに乏しいが、べつに、詩的な解釈でもいいじゃないか。ロマンのない科学なんて!<br><br>
    どうでもいいけどこの本の装丁がかなり好み。

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著者プロフィール

【訳者】 日高敏隆 (ひだか・としたか)
1930年生まれ。京都大学名誉教授。2009年歿。

「2018年 『利己的な遺伝子 40周年記念版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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