- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480860927
作品紹介・あらすじ
量子論は「物質は実在しない」という。ではわれわれは存在するのだろうか? 名だたる科学者と哲学者たちが繰り広げてきた熱い論争の、知られざる展開を追う!
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20世紀初頭に発見された量子力学は、世界の見方を根幹から変えた。ではそれはどんな世界なのか? その意味をめぐる議論は、「コペンハーゲン解釈」をもって正統とされる。しかしその解釈にはいくつもの問題がある。最大の謎は、世界を構成する基本物質、原子も電子も素粒子も「実在しない」という主張だ。
アインシュタインはこれに猛然と異を唱え、ボーアと激しい論争を繰り広げた。曖昧な決着のまま、長らくこの問題は問うことすらタブーとされてきた。しかしいま、実在をめぐる論争は、物理学のみならず、哲学者、数学者、天文学者など各界の名だたる頭脳を巻き込んで、熱く燃えている。
大いなる問い「実在とは何か」をめぐる熱い論争の100年をたどる知的エンターテインメント。
感想・レビュー・書評
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量子とは別に特別なものではなく、そこら中にある物や自分の身体を構成する原子や、さらに原子を構成する、電子・中性子・陽子をまとめた呼び名だ。この極小の世界が、我々の普段のスケールの物理法則とはまったく異なる法則で動いてる不思議をたくさんの科学者の偉業に触れながら探求していくスリリングな本。
極小スケールだと観測すると言う行為が観測対象に決定的な影響を与える。自分が透明な存在として取り巻く世界を客観的に理解するパラダイムはもう通用せず、自分が見る時に世界が束の間断片的に顔を出す、と言うパラダイムは、科学を超えて、私たちのあらゆる世界認識を大きく揺さぶる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
量子力学界のレジェンドたるボーアのコペンハーゲン解釈を軸とする、著名科学者の伝記・奮闘集といった建て付けと言うイメージでしょうか。とにかく影響力が強く、それに対する疑義を差し挟むことがタブー視されていたコペンハーゲン解釈の牙城に如何に切り込んでいったか、というストーリーとして興味深いと思います。
多くの量子力学のポピュラーサイエンス本が、大抵シュレディンガー関数、エヴェレットの多世界解釈、そしてEPRパラドクスの話を撫でて終わりな中、本書はベルの定理やその実験的検証を試みたクラウザー、そして哲学的見地からのクーンの絡みまで持ち出して描かれています。なかなかここまで踏み込んで書かれた本はないかと思うので、このテーマに明るい方でもいろいろ発見がある一冊かと思います。 -
[出典]
「不確実性を買いならず」 イアン・スチュアート -
哲学好き? 読もう! 学者のケンカ好き? 読もう! 量子力学て何やってんねやーとなりました。あと心臓麻痺で急死した後、家族が本人の望みで火葬にして遺灰を燃えるゴミで出した学者面白情報ナニソレ
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50297231
量子論は「物質は実在しない」という。ではわれわれは存在するのだろうか? 名だたる科学者と哲学者たちが繰り広げてきた熱い論争の、知られざる展開を追う!
(生命融合科学分野 大塚正人先生推薦) -
請求記号 421.3/B 31
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量子力学における「コペンハーゲン解釈」を巡る科学者たち
の研究・歴史・論争・浮沈を、まるで小説のように上手く
まとめあげた本。数式は出てこないので、文系の人間にも
楽しく読めると思う。ただし小説のように書かれていると
いうことは、登場する実在の科学者たちが少なからずキャラ
クタライズされているということであり、差し引いて読むの
が肝要。あとコペンハーゲン解釈はまだ決定的な解決を見て
いないので、エピローグがない小説ということになるかな。
タイトル「実在とは何か」と内容は微妙にずれているような
気もするが、許容範囲だろう。 -
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素人だが、とても面白く読めた。実験などの科学的な説明も分かりやすかったが、何より物理学者一人一人にフォーカスがあたりその考え方や性格まで説明してくれたことで、議論がすっと入ってきた。
量子力学はとてもワクワクする興味深い分野であることが分かったが、哲学と切り離せないというところもまた面白い。この世界は何なの?という根本的なところは考えるだけで楽しいし、その問いに対して科学的にアプローチしていっている物理学者たちを応援していきたい。