ブラッドランド 上: ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実 (単行本)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 367
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480861290

感想・レビュー・書評

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  • 数年前から非常に気になっていた史的解説書。自分の読解力に揺らぎが大きく手に取る自信がなかった。
    年末から正月にかけてじっくり腰を据えて読んだ。
    文庫化もされている単行本、上だけで350頁弱。Amazonに投稿している感想を読むと、思った通り、唯我独尊的感想もあり、逆にその尊大さに感心する。

    ウクライナの歴史に手を伸ばした数年前に知ったか陳の森虐殺事件の深奥が良く理解できた・・してナチスの収容所が全てポーランドにある理由。当然ながらポーランドはロシアを非常に憎んでいる史的要因など実に詳細に綴っている。

    原題「ブラッドランド」とあるがエリアではなくランドの意~広大な大陸の大半を有するロシアと西欧諸国に囲まれたその地。
    ロシアは言うまでもなく 世界最大の多民族国家であるがポーランド、ドイツ、バルト3国、チェコ、オーストリアも同様だ。WW1の敗戦処理で独に苦汁を飲ませたのがWW2の遠因と言われているがオーストリア、チェコ、ポーランドの分割解体をめぐる複雑要因はこのエリアにとてつも状の6割強を占めるのはジェノ状の6割強を占めるのはジェノサイド、飢餓、カニバリズムと圧倒する数の虐殺。
    P227 辺から続く殺戮の大半はユダヤ、ベラルーシ、ウクライナ人。少し前に起こったウクライナの一回目ジェノサイドと合わせると2回地獄を見た人々がいるのが驚愕。スラブ下等人種と称して旧ソ連体制スターリンが都合よく歴史を歪曲させ、隠ぺいした事実の掘り起こしの功績は偉大だ。

    9年ほど前の刊行ながら日本人のアカデミズムの中にはこれすらも受け止めることができない〇〇が存している。「ウクライナは早期に負けを認めた方が・・」とかね。
    東欧の食の一大拠点であり消費の現地であるブラッドランドの戦いは21世紀になって新たなページを開いたままである。
    ナチスドイツの負の遺産とばかり思っていたユダヤ虐殺~ショァー・・その実ヒトラーが海の帝王英国に負けじと陸の王者になるべくソ連を潰さんと計画を立てた大テロルソ連侵攻後の【民間人を肉の楯とした】所業。
    今更言うまでもなく「血が通った人の頭」の生物とは思えない歴史観の枷。私たちの視界を曇らせるだけでは足りない。学ばなきゃ・・史観の現実を。

  • 子供の頃、ショッカーが幼稚園のバスを襲撃したりするのを見て、この人たちはどうして自分のやっていることが「悪いこと」だとわからないのだろう、と不思議だった。子供の自分にも「悪いこと」は「しちゃいけないこと」だとわかっているのに。この人たちは大人のくせに、どうしてそれがわからないのだろう? 

    このモヤモヤは大人になってもずっと残っていて、それでぼくはこういう本を読む。悪いことを悪いと思わない、思っていても「しちゃいけない」とは思わない大人が山のようにいることを知って、モヤモヤはさらに大きくなった。
    第二次世界大戦の戦前から戦中に、ヨーロッパ東部で起きた大虐殺。ナチスのホロコーストはそれなりに知っていたが、それ以前に発生したスターリンの民族浄化についてちゃんと読んだのははじめてではないだろうか。

    ヨーロッパの地獄にも閻魔大王がいるかどうかは知らないが、もし地獄の法廷が開かれるのであれば、ヒトラーやスターリンの弁明を聞いてみたいものだと思う。そしてもちろん、実際に虐殺に手を下した大勢の手下たちの弁明も。

  • 胸に迫るものが色々ありすぎて、途中途中何度も本を手放してばかりでした。
    ナチの反ユダヤ姿勢そのものが愚にもつかない、もはや思想とも呼べるものでもなく、論理的な筋道や政治的志向性の欠片がないものだとは知っていたが、まさかソ連も同じジェノサイドを、いや数だけでいえば、ゆうにナチスを超えるという歴史的事実に相当面食らってしまった。

  • 2022I105 239/S1
    配架場所:C3

  • 3.98/297
    内容(「BOOK」データベースより)
    『ウクライナ、ベラルーシ、ポーランド。ドイツとソ連に挟まれ、双方から蹂躙されたその地で何があったのか?歴史の闇に封印された真実がいま明らかに―。世界30カ国で刊行、圧倒的な讃辞を集めた全米ベストセラー。知られざる大量殺戮の全貌。』


    原書名:『Bloodlands: Europe Between Hitler and Stalin』
    著者:ティモシー・スナイダー (Timothy Snyder )
    訳者:布施 由紀子
    出版社 ‏: ‎筑摩書房
    単行本 ‏: ‎346ページ(上巻)

  • 壮絶な内容が延々と続く、途中までで断念

  • ブラッドランドとはバルト三国、ベラルーシ、ウクライナ、ポーランドといった、ヒトラーとスターリンの両政権によって1933年から1945年までだけで1400万人もの人々が殺された地帯を指す。なお、この犠牲者の数字は戦闘員を含んでいない。
    上巻ではウクライナでの人為的な飢饉から、独ソ戦が始まって日本が参戦するくらいまでの期間を扱っている。ただひたすら餓死と銃殺について記述されている。狂っているとしか思えない。人間の恐ろしさをまじまじと感じさせられる。ウクライナの互いを食べ合う子供たちの話などは大きなショックを受けた。

  • レビューはこちらに書きました。
    https://www.yoiyoru.org/entry/2019/07/31/000000

  • 想像を絶する大虐殺。こんなことが本当に起こっていたとは恐ろしすぎる

  • ソビエト・ウクライナやポーランドなど、全体主義に痛め付けられた土地の歴史。

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著者プロフィール

ティモシー・スナイダー(Timothy Snyder):イェール大学教授。1969年、アメリカ合衆国オハイオ州生まれ。専門は中東欧史、ホロコースト史。著書に『ブラッドランド──ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』(筑摩書房)、『赤い大公——ハプスブルク家と東欧の20世紀』、『ブラックアース──ホロコーストの歴史と警告』、『暴政──20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』、『秘密の戦争──共産主義と東欧の20世紀』(いずれも慶應義塾大学出版会)など。

「2022年 『ブラッドランド 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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